内装業をしているT君から突然連絡があった。
t:「bibblyさん、僕の家で急遽賢人会議を開催します。H社長には連絡済です。」
聞けばT君は夫婦喧嘩をして奥さんが子供を連れて実家に戻ったらしい。一体何度目だぁ。
てなワケで中古車屋の友人HとともにT君宅で鳩首凝議した。T君は既にヨッパだった。
奥さんの悪口をさんざん聞かされたあとT君からお題が出た。
t:「みなさんは死ぬ前に何を食べたいですか?」
h:「おー、最後の晩餐かぁ。俺ならかねりんのうな重上だ」
h:「できれば名古屋出張のとき新幹線で食べる自笑亭うなぎ弁当の代わりがいい」
h:「名古屋駅に到着するまえ、お新香とお茶で〆てポックリ逝きたい」
b:「んー、うな重より舞阪堀江商店の釜上げしらす丼かな、それと赤だしの貝汁でポックリ」
t:「みなさん、贅沢ですね。僕はナポリタンでポックリします。」
h:「ナ、ナポリタン、なんだそれ、アッハハハ~」
Hに笑われたヘベレケのヨッパT君は再び奥さんの悪口を言い、高校時代つきあっていた彼女が作ったナポリタンが忘れられないと力説した。それでもHの笑いは止まらない。それから3人は沈黙。
暫くしてT君が口火を切った。
t:「ナポリタンはヤメます。ダルマワンのバビグリンを最後の晩餐にしよう。」
この言葉にさっきまで笑っていたHは感嘆した。
h:「それだ、それそれ、ナイス」
HとT君はサーファー仲間で2人ともバリ・フリークス。初めてバリ島へ行ったときもこの3人だった。ダルマワンはT君のバリ島現地の友達で常宿するホテルの従業員。そのホテルに宿泊したワケだが生憎ダルマワンは年に一度地元の大切なお祭りがあって休暇をとっていた。
そしてお祭り最終日の深夜、ダルマワンが突然ホテルに来た。出勤は明日の夕方からなのに。しかもお土産にお祭りで地元の村人が食したバビグリン(豚の丸焼き)を持ってきてくれた。
後で教えてもらったがダルマワンの地元ギャニャールはスペインのイベリコ豚に匹敵するほどの豚の名産地。HもT君もバビグリンをお店で食べたことはあるが、祭礼に供されるバビグリンは初めて。
まず、T君がお皿に盛られたまだ温かいバビグリンを一口食って絶句。続いてHが一口食って絶句。で、ワケワカラン状態で初めてバビグリンを一口食ってみたら、これがもう奥さん、ジューシーなんてものじゃない、口の中に入った瞬間トロケルチャーシューって感じの食感で言葉を失い絶句した。
h:「ダルマワンのバビグリンに勝る食べ物はないよなぁ」
こうして3人は最後の晩餐バビグリンの思い出に浸り、賢人会議は大いに盛り上がった。続く。
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そうそう豚の丸焼きは世界各国にあるワケでフィリピンならレチョンバブイ
バーベキューのようなシンプルなレシピだとやはり産地、素材の肉質によって決定されるなぁ。