9月中旬は,東北では,タカの渡りの盛期。
期間限定で,上空を,北から南に渡って行くタカたちの姿を見ることができる。
9月16日の鳥海山鉾立。
露払いはツミだった。
9時15分に飛んできた6羽を皮切りに,次から次に飛んで来た。
ツミは,オスがヒヨドリ大,メスがハト大の小さな猛禽なのだが,撮ることができるだけの近さを飛んでくれた。
ここは,タカの渡りネットワークの定点観測地点ではないので,カウントする人がいなかったが,午前中だけで20羽は超えていたと思う。
ツミに続き,9時40分頃,サシバも現れた。
これは,カッコイイ暗色型。
サシバは,北海道にほとんどいないので,龍飛崎では稀(まれ)にしか観察できないのだが,この日,ここでは,4羽の群れを観察できた。
4羽だって,立派なタカ柱を作れる。
ハチクマが,この日,最初にやってきたのは,10時05分頃。
その後,途切れることもあったが,川が流れるように,どんどん継続してやってきた。
10数羽から20数羽のタカ柱になることも,しばしば。
写真なんか撮っている場合じゃなくて,今,双眼鏡でしっかり見て,ライブを味わわなければ,と思う一方,つい,カメラに手が伸びる自分もいたりする。
この感動は,写真では残せないし,伝えることがむずかしい。
近くを飛んだときは,すげぇ,カッコいい,などと,つい,連呼してしまう。
周りに,同種の人たちがいたので,気持ちが反響しあって,興奮は,いやが上にも,昂(たか)まった。
ここから見ると,北は,遠く,男鹿半島や秋田市まで見通すことができ,
西の洋上には,日本海に浮かぶ飛島が見え,
眼下には,風力発電が立ち並ぶにかほ市が見える。
そして,東の間近には,稲倉岳が聳(そび)えており,
その向こうには山々の連なり。
そんな雄大な風景の中を,次々に飛んでくるタカたちは,超カッコいい。
雄大な風景があってこそのカッコ良さだ。
基本,北から南に飛んでくるが,コースがさまざまで,海側のにかほ市上空に見事なタカ柱ができた,その次の瞬間には,山の稜線から湧き出すように群れが現れ,別のタカ柱ができる。
かと思うと,頭上を通過する個体が続く。
そんなだから,語彙が乏しくなって,すげぇ,すげぇ,しか出てこなくなる。
カウントしていなかったので,全くの掴みだが,200羽や300羽は,超えていたと思う。
充分に楽しんだので,15時に引き上げたが,そのときも,山の稜線の向こうに複数羽が浮いていた。
タカの渡りは,タイミングを外すと,1羽も見ることができないこともあるが,運が良ければ,まれに,こんなこともある。
終わりを見ていなかったので,この日のカウントは,『無限』,ということにしておこう。
たぶん,この日が,ここの今季のピークで,かつ,未だかつてなかった『伝説の日』になったと思う。
良い写真がなかったのはご愛敬。
その代わり,すべて,私の目に焼き付いている。
その代わり,すべて,私の目に焼き付いている。
(2024/09/16 ツミ,サシバ,ハチクマ)