宇宙世紀0079、地球・アジア戦線。コジマ基地壊滅により一度は前線を大きく後退した連邦軍だったが、圧倒的な物量によりジオン軍をじわじわと追い詰めてゆく。そしてラサ基地を残すのみとなったジオン軍に対し、掃討作戦を決行する連邦軍。その大隊に組み込まれた08小隊だったが、素人の寄せ集めでしかない連邦軍に愕然とする・・・・・・。そして追い打ちをかけるように出撃してきたアプサラスⅢ。圧倒的な破壊力を目の当たりにしたシロー達だったが・・・・・・!?裏表紙より。
OVA小説版、遂に完結!!
また2週間くらい空くかと思っていたら、
疾走感目当てに読んだ「G.U.+」のヒロインもアイナだった件について。
運命、だな(キリッ)
あらすじ
連邦しね
第一章 消沈営巣入りになった兵士の食事を運ぶ羽目になったアラン少尉。
アランが、こうして食事を運ぶようになってから、もう一週間にもなるが、あの男が寝ているところを見たことがない。いつも、ああして膝を抱えて、壁の一点を見つめているのだ。
(まったく、変なやつだ・・・・・・)
父親のコネで軍にいるだけのダメ士官も、この役はウンザリな模様。
「いい加減、食えよ。毎日、おまえのために食事を運んでくる俺が、バカみたいじゃないか」うわっ、mjktさんじゃないですか。
が、やはり答は返ってこない。
(ま、こいつにマトモな反応を期待する方が無理ってもんか。なんたって、自分の上司でもない――それこそ初めて会った大隊長に、いきなり殴りかかる男だからな)
初対面の、それも上官を殴るだなんてやっばーん・・・・・・
アランは、今度は一層強い調子でいた。なん・・・・・・だと・・・・・・?
「おい、聞いてるのか、シロー・アマダ少尉。ちゃんと食べるんだぞ」
1週間前。
「ジオンは既に馬脚を表した。やつらは悪魔なぞではなく、ただの野蛮な獣に過ぎなかったのだ。だから、見よ――我々は勝利を手中にしつつある。それは、なぜだ。正義が我々の側にあるからだ。獣どもに正義はない。我々が正義を成すのだ」クロフォード大隊を率いる中佐殿のありがたい演説。
正義の戦い――
自信たっぷりにクロフォード中佐は言った。
その時だった。
戦争に正義なんて、ない。連邦軍は正義の軍隊――そう信じていたシローには、耐えられなかった模様。
正義なんて言葉で、誤魔化すな。
おまえたちに、正義なんてない。
シローが殴りかかった時、ミケルには、そんなシローの叫びが確かに聞こえた。
隊長のシローが捕縛されたため、
08小隊の面々も極東方面の事実上の司令部ビッグトレー内に拘留される。
手紙を書けずにいるミケル。
虫ケラのような士官の尋問を無視し続けるサンダース。
軍に入って初めて酔うまで飲むカレン。
殺し合いを避けられると自分に言い聞かせるエレドア。
08小隊の戦いは、これで終わりなのか。
「こうやって、サシで話すのは初めてだな。ノリス・パッカード大佐」サハリン兄妹に知らせずにノリスとコンタクトを取るユーリ。
「俺はまわりくどいのは嫌いでな。単刀直入に言おう」『ケルゲレン――ラサ基地に配備された、ザンジバル級宇宙巡洋艦』。
いつも、にやついているようなユーリの表情が引き締まった。
「ケルゲレンの出港準備を頼みたい」
ザンジバル級の『特徴』は、『ジオンで唯一の大気圏突破できる戦闘艦』であること。
「機械人形なぞ、また作ればいい。だが、人には限りがある。しかも、戦場を経験してきた優秀な兵士は、な」Q.兄さんは、人間よりモビルアーマーの方が大切なんですか!?
なるほど――ノリスには、ようやく得心がいった。
科学者のギニアスは、迷うことなく機械と答えるだろう。ケルゲレンでの脱出なぞ、即座に否定するはずだ。
A.そうだが?
そんなやりとりが容易に想像できる。
しかし、今ケルゲレンの指揮権はギニアスのもの。
ユーリが上に権限の譲渡を交渉しているものの、連邦軍が迫る今、
ケルゲレンの出港準備はすぐに始めておかないと間に合わない計算。
「考えさせて下さい」忠義の武人は難しい決断を迫られたのであります。
ノリスは、俯いて言った。
ユーリの言うことは分かる。軍人としてのノリスは、そうするべきだとも思う。
しかし、ギニアスとアイナを裏切る気にもなれなかった。二人の父親が死んだ時、ノリスは約束したのだ。幼い兄弟を支える、と。
第二章 覚悟『軍人として』『私人として』・・・・・・
二人のノリスは、一晩議論したが、結論を出すことはできなかった。
でも悩める時間もそんなに残っていない。
(自分は、どうすれば・・・・・・)誰にも相談できないんだもんなぁ。
ノリスは、ふと、懐に入れた御守りを取り出した。
それは、つたない折り紙だった。風車のように見えるが、作った当人によれば、これは勲章なのだそうだ。
そんなノリスに『神託』が下る。
「一生かかっても、返しきれないかもしれません。それでも、私は助けたい。あの人が、私を救ってくれたように」『人形』とまで言われたアイナが、今は女神のような表情を見せる。
助けたい。
人を助ける。
その言葉を、アイナから聞けたことが、ノリスには神託に思えた。
心は決まった。ケルゲレンの出港準備をこっそりやるだけっしょ?
もう、躊躇いはしない。
「アイナ様、救いましょう。我らの仲間を、できるかぎり」
「はい」
アイナが、力強く頷いた。
もちろん、アイナは、ノリスが何を考えてそう言ったのかは知らなかった。
何か変なフラグっぽい言い方はやめてよねっ・・・・・・ね。
ギニアス以下基地の研究者は、アプサラスⅢの建造を急ピッチで進めておりました。
が・・・・・・
「メガ粒子砲の形式を、変更してはどうでしょうか?」今の仕様――『最大で256本のビーム』を放つ拡散型のそれの調整に難航中。
ウォルター・ヤノウィッツ技術少佐が、ギニアスに進言した。
「形式を変更だと? どういうことだ、ヤノウィッツ」
「連邦の総司令部まで飛んでって強力ビームぶっぱ」がアプサラスの運用目的。
連邦が迫る現状、ヤノウィッツの進言は正しいと思われるのに、ギニアスは一蹴。
「光は、広がらなければならん」いやいやいや、今造ってんのはお前のオモチャじゃねーから・・・・・・
荒く息をつきながら、ギニアスが言った。
「広がるのだ・・・・・・そして、雨のように地表を覆いつくす。私のアプサラスは、そうでなければならないのだ」
「光の・・・・・・雨だ」(( ;゜Д゜))
ギニアスは、どこか陶酔した声で繰り返した。
「私のアプサラスは、光の雨を降らせる・・・・・・美しい、光の雨を・・・・・・」
やっぱりやばい人だ・・・・・・!
ケルゲレンの機関室に、ノリスは部下を『極秘裏に』招集。
「ケラーネ少将は優れた軍人だが・・・・・・この兵力差は補いきれまい」
「もって一週間といったところか」
「完全に、取り残されたな」
男たちの口調は重苦しい。多少なりとも軍事に通じたものが見れば、ジオンに勝ち目がないのは明らかだった。少なくとも、この地図内では。
ノリスの言葉は、簡潔だった。ジオニストは燃えればいいと思うよ・・・・・・!
預けてくれ――とは、あえて言わなかった。返すことは、まずできないだろうから。
しかし――
連邦がゴミ過ぎるのも手伝って、ジオニスト獲得に大きく貢献するであろう場面。
・・・・・・サイド2の件をはじめジオンも相当なんだけどね。
死は怖くなかった。「独りでも構わないと思っていたのに」となる原因は、この辺なのかもしれない。
ただ、何もなさずに死んでいくことが、怖かった。
場面は連邦に移る。
「よう、青いの。久しぶりじゃな」ニッカードのじーさんおひさー。
聞き覚えのある声に、思わずシローは顔を上げた。
「何があったのか知らんが、いいかげん喋ったらどうじゃ。どうせまた、青い理由なんじゃろう」
「まったく、おまえさんは相変わらずじゃな。直球ばかりじゃ、いつまでたっても試合には勝てんぞ」ははは、笑えない。
シローは、ジダンから顔を背けた。
そんなことは、分かっている。自分が不器用な生き方をしているということは。
だが、器用に生きるなんて、まっぴらだった。それが人生に勝つということなら、そんな勝ちは必要ない――そうシローは考えていた。
せめてスローボールも混ぜよう(提案)
「ま、おまえさんは、これまで、せっかちすぎたからな。たまには、そうしてじっくり悩むのもいいじゃろ」シローが再起する日は来るのか・・・・・・。
そして、扉の閉まる音が聞こえた。
ジダンが出ていったのだ。
しかし、シローはジダンが来る前と同じ格好で、ただ壁を見つめ続けた。まだ、戻る気にはなれなかった。
ジオンに戻って今度はユーリ視点。
確かに、ノリスは、サハリン兄妹と浅からぬ繋がりがあるようだが、それによって状況判断ができなくなるような男ではないはず――そうユーリは考えている。いや、信じていると言ってもいい。この2人は特に親しい関係って訳ではない。
武人は武人を知る、か。
んだば、ケルゲレンの件の返答を聞こうじゃあないか・・・・・・
「ノリス大佐の副官、コート・ファルケンバーグ中佐であります」ケルゲレンの出港準備は進行中。
「大佐はどうした。俺は、大佐に話があるのだ」
「大佐は、出撃なされました」
ファルケンバーグは、苦渋に満ちた表情で答えた。
しかし、いかにノリスとて出撃したら必ずしも時間通りに『帰還』という訳には・・・・・・
「そうか・・・・・・大佐は、出撃されたか」
ユーリは、画面に映った男の、苦渋に満ちた表情を理解した。
「分かった。その伝言、このユーリ・ケラーネ少将が必ず果たすと伝えてくれ」そういうのいっくなーい・・・・・・
ユーリは、最敬礼をしてみせた。
それは、伝言が届かないであろう男に対する、最大限の敬意だった。
『敬意』とかいいから!やめてよ!
「ジオン程度になめられてたまるか。敵の中央に、砲身が焼けただれるまで銃弾を叩きこめ!」アプサラスとの戦いで壊滅したコジマ大隊への増援は、
がなりたてるジェイコブズ大尉に、ロブ少尉はすっかり反論する気を失った。ジャブロー組のジェイコブズ大尉は、戦争といえば、突撃しか知らないドンキホーテだ。今さら、戦術論を説いたところで、どうなるものでもない。
『まったくの新兵とこれまで後方で縮こまっていた士官ばかり』。
『連邦魂』(笑)
(バカだったが、臆病者じゃなかった。ジャブロー組に、せめてあいつの半分でもクソ度胸がありゃあな・・・・・・)
(こいつも新品なのは結構だが、こっちが狙撃を担当する部隊かどうか、もう少し考えて配属してほしいもんだな)頭がバカだと苦労するのが手足というわかりやすい例。
突撃役の部隊にジムスナイパーてwww・・・・・・マジで笑えない。
「ええい、能なしの部下のおかげで、足を引っ張られるわ」しねばいいのに。
そんな大尉様の下に、衝撃の情報が届く。
「それが・・・・・・モビルスーツが、空を飛んでいると・・・・・・」な、なんだってー!?
「いいか。目標は、連邦の司令官だ。頭をつぶせば、連邦は止まる。そうすれば、一週間は時間が稼げる」
『ハンス、ウォルター、突入するぞ」涸れ谷を抜けた先には、極東方面の事実上の司令部ビッグトレー。
ノリスは、懐の御守り――折り紙の勲章に手をやって言った。
そのまま、三機のグフはスピードをゆるめることなく、涸れ谷に飛び込んだ。
つまり・・・・・・!
2章ここまで。
時間もここまで/(^o^)\