深夜の稲村家。女は夫に火を放とうとしている。忍び込みのプロ・真壁修一は侵入した夫婦の寝室で殺意を感じた――。直後に逮捕された真壁は、二年後、刑務所を出所してすぐ、稲村家の秘密を調べ始めた。だが、夫婦は離婚、事件は何も起こっていなかった。思い過ごしだったのか? 母に焼き殺された弟の無念を重ね、真壁は女の行方を執拗に追った・・・・・・。(「消息」より)裏表紙より。
『忍び込みのプロ』『刑務所を出所』・・・・・・
そう、ドロボウが主人公の探偵小説です。
元の本は2003年11月。
消息
三月二十五日早朝――。
三寒四温で言うなら、真壁修一の出所は寒の日にあたった。高塀の外に出迎えの人影はなく、だが内耳の奥には耳骨をつんつんと突いてくるいつもの合図があって、啓二の晴々とした声が頭蓋全体に響いた。
≪修兄ィ、おめでとさん! えーと、まずは保護司さんのとこ?≫
<いや>
≪ねえねえ、それじゃあ例の件、ホントに調べる気?≫(。´・ω・)?
<そうだ>
『人影はなく』なのに・・・・・・
『修兄ィ』ってことは、啓二ってのは弟だよね?
なお、〝ノビカベ〟――住民が寝ている家に忍び込む「ノビ師」で、
取り調べに口を割らないしたたかさと名字をかけた綽名――真壁の調べ物は、
<自分がパクられた時のことは正確に知っておきたい>だそうで。
最後に忍び込んだ家の夫婦を見て、妻から夫に対する殺意を感じた云々。
刑務所にいた2年の間のニュースを調べ、幼馴染の刑事・吉川にも話を聞くと
・・・・・・別に何も起こってない模様。
それでも今度は『同業者』相手に聞き込みを始める真壁。
啓二は『妄想』とまで言って真壁の行動を理解できず・・・・・・
≪最近多いもんなあ・・・・・・。前は聞かなくったってなんでもわかったのに・・・・・・≫なん・・・だと・・・?
無理もなかった。啓二が死んで間もなく十五年になる。実の母親に焼き殺された魂はどこへも行き場がなかったのだろう、他にどうすることもできずに、もともと一つだった命に還ってきた・・・・・・。
まさかの「幽霊係」系。
双子の弟(真壁は今34歳だけど、啓二は死亡時の19歳)じゃ、あんまり嬉しく・・・・・・
柏木爆発しろ。
記憶力抜群の啓二と共に調査を進める真壁。
2人が辿り着いた真相は・・・・・・
「じゃあな。悪いが行くぜ」うわぁ、しねばいいのに。
刻印『規則』『法律』・・・・・・
十五年前のあの日、真壁は法を捨てた。
うーん。
知人が死んであらぬ疑いをかけられた真壁。
『強行犯の刑事にまでマークされ』続けたら『仕事』に影響が出るため、
犯人探しを開始するの巻。
≪でもさ、一回も同じ番号って見なかったなあ。世の中って広いんだよねきっと。一度手放したものは二度と戻ってこないんだ≫「失くしたもの」はいつか見つかる・・・・・・
「捨てたもの」は見つからない。
「死ねよ! 死んでくれよオ!」だが断る。
・・・・・・「救いの手」は、時に人を道から引っ張る。
抱擁まともな仕事に就いたら蝶・出世しそうな男なのに。
≪今出るとヤバイんじゃない?≫
<気掛かりは早めに潰しておいたほうがいいだろう>
恋人?・安西久子の『ピンチ』――職場でのドロボウ疑惑――を知った真壁は、
彼女の無実を証明するため行動開始。
(ひどい!)また1つ我々は真実を知る・・・・・・
あえて言おう!(そういうのは)幻想であると!
≪戻ってよオ、修兄ィ! お願いだから戻ってよオ! 俺、消えるから。俺、どこかに行くから。父さんと母さんのとこに行くからア! 修兄ィ! 修兄ィ! 修兄ィってばあ! 馬鹿ア! 馬鹿ア!≫修兄ィー!!
・・・・・・(´-ω-)ウーン
業火同業者から物騒な話を聞かされた真壁。
「盗人狩りの話だよ。耳にしてるかい?」
今夜の旅舎検のことを言っているのではなさそうだった。
「初耳だ」
「半月前から同業者が襲われてるんだ。立て続けに三人もだぜ」
『消息』にて真壁が接触した同業者・黛も襲われ、もう『きっと助からねえ』レベル。
「やられた三人は、みんなこの界隈で仕事をしてる連中なんだ」おい、そういうのやめr
「・・・・・・・・・」
「おい、聞いてるのか? 次は、俺かあんたかもしれねえって話なんだぜ」
「コソ泥ふぜいが手間かけさせやがって」\(^o^)/
幸い命は助かった真壁。
負傷した体に鞭打って、襲われた原因を知るため行動開始。
ニコチンの禁断症状に感謝すべきだろう。パンチパーマがロビーのソファーにいたら終わりだった。いや、五階で看護婦に見られた。真壁が病室を抜け出したことはすぐにでも奴の耳に入る。見張りの最中タバコ吸いに行ってターゲット(真壁)を逃がす。
仕事に悪い影響が出ていることを自覚しないのが1番の問題。
どうやら「敵」は『バリバリのヤクザ』らしい・・・・・・!
啓二は調査を続けることの危険性を訴えるも・・・・・・
<何も知らないでいるってことが、何より危険なんだ>修兄ィ、ドロボウやめよう。
アンタ絶対、蝶・仕事できる人だ。
はたして、『盗人狩り』の黒幕の正体は?
不意に答えが浮上した。鋭い(確信)
使徒刑務所で同業者から頼まれた、
サンタクロースをやってくれ――。
「ノビ師」にしかできないこと・・・・・・『サンタクロース』。
<そういうことだ>『勝手気ままにやりたい』・・・・・・
≪嘘だ≫
<だったらそう思ってろ>
それだけなのか?
「いつまでも子供じゃない」(´;ω;`)ブワッ
遺言『業火』にて『盗人狩り』にあった黛、やはり回復ならず。
「この男が俺の名前を呼んでいたと聞いた」
・・・・・・意識を失う前に、真壁を呼んでいたらしい。
1回会っただけなのになー?
実力と人柄を感じて、なのかね。
真壁は手帳に目を落とした。全部わかったあなた、自首しよう。
アイチャン――ドウカツ――ナカヌキ――ウキス――ナミヒキ――ハコシ――バンカハズシ――ハボク――スギモト――。
黛が遺した言葉はもう1つ・・・・・・
≪父ちゃん、行っちゃやだよ、父ちゃん――泣かせるよなあ、黛の奴≫いやー修兄ィは優しいなあー。
<・・・・・・・・・>
≪うん、伝えてやろうよ。遺言みたいなものだもんね。けどさ、うわ言の内容からして、おそらく黛の親父もカタギじゃないね、たぶん――≫
<何がだ>修兄ィ・・・・・・(´・ω・)
でも俺も修兄ィ派かな。
行方あ・・・ありのまま今起こったことを話すぜ!
「・・・・・・そうよね。何もかも同じものを分け合っているんだもの。平気なのよね」
「デートに出かけたら相手が双子の兄と入れ替わっていた」
な・・・何を言っているのか(以下略)
いやー、そんな男はエロ漫画の見過ぎじゃないっスかね。
いくらなんでもそれはねーよ・・・・・・ないよね?
世話焼きの母の友人は、すべてを語ったわけではなかったということだ。あの手の連中は「数」しか気にしないから・・・・・・
後でどうなろうが知ったこっちゃない。
バカな双子の弟(兄は確かにクズだけど、これは何が何でも断れよ・・・・・・)を
フったら兄の方がストーカー化。
困った久子が真壁に相談しに来たところ、
勘違い(でもないけど)したバカストーカーは2人がいた宿に火を放つ。
幸い2人は助かったものの、死者まで出る騒ぎに。
そんな事態でも、警察が「ノビカベの女」久子を助けるとは思えず・・・・・・
こうなったら真壁がストーカーをとっ捕まえるしかないッ!
<啓二、おふくろが憎くないのか。たったの十九だったんだぞ。あんなおふくろじゃなけりゃあ、お前は今だって好き勝手に手や足を動かせたんだ>(。´・ω・)?
≪・・・・・・違うんだよ≫
啓二の声がひどく沈んだ。
「覚えておけ――俺はいつだってお前の寝室に忍び込めるんだ」※エロくない意味で。
啓二は答えを知っていた。あー・・・・・・。
「ドロボウが主人公」ってことで、受け付けない人は受け付けないかもしれない。
カッコよさげに見せたところで、「ドロボウはドロボウ」と言ったらそれまでだし。
久子も現実にいたら「バカ女」で片づけるレベル。
いわゆる不幸になりたくて不幸になるタイプ。
好きにしろ、こっちには関わんなって感じ。
真壁に感情移入させるためか、警察の人間がことごとくクズなのも気になる。
クズというと語弊があるかなぁ・・・・・・
なんていうか、クリーンな、正義のヒーロー感のする刑事が1人もいない。
探偵小説を読む時は「カッコイイ刑事」を望む気持ちが少なからずあると思う訳です。
真壁がカッコイイかどうか・・・・・・
カッコイイとは思うけど、真壁の生き方を肯定できるかは別問題。
なんとなく「オッサン判定本」な感じがした。
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