真夜中の2分前

時事評論ブログ
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日本民主化運動

2016-04-19 22:58:30 | 日本を守るためのアクション 2016
14日と16日、九州地方は、大きな地震に見舞われた。マグニチュード7.3という阪神淡路大震災級の地震で、その後も余震が続いている。
 佐賀、福岡といった熊本に隣接する各県でも震度5強が観測されている。私の住んでいるところでも、震度4ほどの揺れが観測された。もちろん震源地である熊本に比べれば揺れは大きくないが、それでも、ひっきりなしに襲ってくる余震は、不安をかきたてずにはいなかった。このように余震が続いている状況では、なかなかほかの問題についての記事を書こうという気にもなれずにいたのだが、このあたりはどうにか落ち着いてきたので、このあたりでブログを再開したい。被災地ではまだ厳しい状況が続いているが、政府の震災への対応にもいろいろと疑問符のつくところがあり、そういったところも今後書いていこうと思う。

 さて、今日は19日である。
 当ブログでは、毎月19日には安倍政権への抗議行動について書いているが、今回もその例にならいたい。

 先日報じられたところでは、高校生の団体T-ns Sowl が、毎週金曜日に国会前で抗議行動を行うということである。心強い動きだ。
 このブログでは、熊本、宮崎、長崎、島根・鳥取合区などの野党共闘をとりあげてきたが、それ以外にも、新潟、青森、茨城などで野党統一候補の動きが進んでいるという。こうした動きを市民運動が後押しているというのは周知のとおりだが、とりわけ、SEALsやT-ns Sowl をはじめとする若者を中心とした団体が大きな力になっている。

 この現象は、世界的な潮流の一環としてとらえることができる。

 たとえば、香港では「デモシスト」という運動が最近起きているそうだ。
 これは、2014年に香港行政長官選挙の民主化を訴えて学生たちが起こした「雨傘運動」の流れを汲むもので、実際に政党を立ち上げて政治の世界に入っていこうというものである。
 このデモシストは、台湾で立法院を占拠したひまわり学生運動、アメリカの“オキュパイ・ウォールストリート”ムーヴメントやサンダース旋風、スペインのポデモスといった運動につらなるものがある。
 いずれも、特権階級にある一部の人間だけが一般市民の意見を黙殺して政治を動かすのではなく、一般市民が主体的に政治に関与しようという運動であり、若い人たちがその主体になっているということも共通している。そして、日本で去年勃興した運動も、その延長線上にあると私はみる。
 先進諸国では、経済的な豊かさから一般市民が政治に無関心になり、それが何十年と続くうちに、政治家が国民から遊離したところで「聞く耳もたぬ」という態度で政治をやるようになった。そういう状況に対して、これはおかしい、このままではいけない、という考えが若い世代を中心にして広がってきた。それが、先述した各種の行動になって表れている。これらの運動は、決してラディカルではなく、ゆるやかな社会民主主義を志向している場合が多く、その意味で間口が広く、一般的にも受け入れられやすいものになっているというのが特徴だろう。
 そしてその日本における表出が、去年から今年にかけて次々に誕生した市民団体なのだ。経済的な繁栄を謳歌しているうちに、いつしか民主主義がさび付きかけていた。野党共闘は、それを元に戻そうという民主化運動といえる。そしてそれは、いまの日本はもう「民主化」をしなければならないレベルにまで政治が劣化してしまっているということでもある。

 しかし、そういう危機感が広く共有されているとはいいがたいようだ。
 たとえば世論調査をみると、安保法もいまなお反対が多く、アベノミクスももう「失敗」とする人が圧倒的多数になっている。なのに、なぜだか安倍政権の支持率ということになると支持のほうが多く、参院選の投票先ということになると自民党が圧倒的に多くなっている。
 おかしいでしょう、といいたくなるわけである。
 それが「野党に魅力がない」からだということは百も承知だが、それにしても歯がゆくてしかたない。安倍政権の政策がうまくいっていないと考えるなら、すぱっと安倍政権そのものにノーといったらいいじゃないかと思うわけである。
 たしかに、民進党に魅力はないかもしれないが、このまま安倍政権が続くよりははるかにマシだ。そういう、「どっちがよりマシか」という基準で考えてもらいたいのだ。
「あるのは悪い政府ともっと悪い政府だけだ」とブコウスキーはいったそうだが、これは慧眼である。
 政治に過大な幻想を抱くべきではない。「よい政府」などというものはありえないのであって、われわれは、「悪い政府」と「もっと悪い政府」のどちらかのうちから、いくらかでも悪の度合いが少ない政府を選ぶぐらいのことしかできないのだ。
 そういう比較の観点でいえば、安倍政権というのは最悪のチョイスである。
 もし民進党と共産党の合同がマイナス20であるとしたら、安倍自公政権は日本にとってマイナス100ぐらいの存在なのであり、これをのさばらせておくよりは、マイナス20とか30ぐらいのほうにするべきなのだ。安倍政権に問題があると考えるなら、惰性で自公政権を継続させるよりも、きっぱりノーの意思表示をするべきだ。このことを、何度でも訴えておきたい。