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報道の自由度72位の衝撃――「日本の報道の独立は重大な脅威に直面している」

2016-04-21 19:15:22 | 政治・経済
「国境なき記者団」による最新の「報道の自由度ランキング」が公表され、72位という順位に衝撃が広がっている。
 同時に、日本の「表現の自由」について調査していた国連の特別報告者デヴィッド・ケイ氏が日本の状況に深い懸念を表明した。これを報じる朝日新聞の記事によると、ケイ氏は「日本の報道の独立は重大な脅威に直面している」として、ジャーナリストからの聴き取り調査で「政治家からの間接的圧力で仕事を外され、沈黙を強いられた」という訴えがあったことをあかし、特定秘密保護法の危険にも触れた。

 これらは、この一年のことを考えれば、まったく驚くべきことではない。
 自民党がNHKやテレ朝の幹部を呼びつけた件や、「マスコミを懲らしめる」発言で問題になった文化芸術懇話会、そして高市総務大臣の電波停止発言、鋭く政権を批判するキャスターらが一斉に降板……といったことがあった。なるべくしてなった順位、落ちるべくして落ちた72位なのである。

 当ブログではこれまでにも何度かこの「報道の自由度ランキング」を取り上げてきたが、つい5年ほど前には日本は11位だったということももう一度指摘しておきたい。それが、60位以上もダウンしてしまった。民主党政権時代に東日本大震災で原発に関する取材・報道が自由になされない状況があって下がったということもあるにはあるのだが、それにしても、安倍政権のメディアに対する抑圧的な姿勢が報道の自由度を押し下げていることは否定し得ない。
 先のケイ氏の発言にあったように、「間接的圧力」によってジャーナリスト沈黙を強いられたということが現におきているわけである。以前からささやかれていたことが、はっきりしたのだ。
 圧力をかけた側はそのことを認めないが、圧力をかけられた側も、圧力に屈した場合にはそのことを認めない。双方の当事者が「圧力はなかった」と主張するから、これまでは「圧力」は疑惑としてささやかれるだけだった。だが、海外の記者や国連の報告者という立場であれば、日本の権力者による圧力から完全にフリーなので、「圧力があった」と堂々ということができる。それで、今回はっきり圧力の存在が示されたのだ。
 ネット上では、このランキングやケイ氏の発言自体に難癖をつける言説が出ているようだが、こういうことを書いている人たちには、さすがにいい加減にしろといいたい。いったい、どこまで安倍政権を擁護し続けるつもりなのか。ネット工作員ならカネをもらって仕事でやっているのだからしょうがないのかもしれないが、そうでない一般人がそういう書き込みをしているのであれば、あまりに無責任な態度である。
 この国の表現の自由は、いま深刻な危機に瀕している。それを、国際機関がはっきりと認定しているのだ。これだけ警報が鳴り響いているのに、それを無視するのは、愚かである。当ブログで以前一度書いたが、見ないふりをするのはもうやめよう。異常事態であることをしっかりと認識しさえすれば、「選挙で投票に行く」というなんの危険も伴わないまったく合法的な方法で現状を変えることはできるのだ。その受け皿を作るべく、野党共闘も進んでいる。この国の有権者が、有権者として適切な行動をとってくれることを切に望む。