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沖縄で米軍属による事件

2016-05-22 18:26:25 | 沖縄
 沖縄の米軍属による“死体遺棄”事件が波紋を広げている。
 この問題で、沖縄ではふたたび米軍基地が集中していることへの怒りが広がっている。当然だろう。こうしたことは、これまでにもう何度も繰り返されてきているのだ。最近の例としては、今年3月にも、寝ている女性を暴行したとしてキャンプ・シュワブ所属の海軍一等水兵が逮捕されたばかりである。

 沖縄の反基地闘争に対して「基地があることが沖縄を利している」というような言説も巷にはあるわけだが、それらについてあらためてここで反論しておきたい。

 まず、「沖縄経済が基地に依存している」という話だが、これは非常に疑わしい。
 今年そのような記述のあるコラムを掲載した教科書が問題になったが、現在の沖縄の県民総所得における米軍関係の金額は5%ほどといわれ、それほど大きいわけではない。観光収入の半分ほどなのだという。実態はむしろ、基地があるおかげで効率的な土地(海も含めて)の利用がなされずに沖縄経済に大きなマイナスの影響を与えているのではないか。

 そして、もともと人が住んでいないところに基地が作られ、そこに後からカネ目当てで人が住むようになった……というような話があるのだが、これも事実でないことがあきらかにされている。
 これについては、去年「マスコミを懲らしめる」発言で大きな問題になった自民党の文化芸術懇話会で百田尚樹氏らがそういうことをいっていたのだが、この件で結局百田氏はNHKの経営委員にいられなくなった。これは、彼の主張がまったく間違っていて、もう反論のしようもなかったためとみるのが妥当である。

 文化芸術懇話会の話が出てきたので、ここでついでにもう一つ、彼らの主張を批判しておきたい。
 それは、「米軍関係者が犯罪を犯す率はそうでない人間に比べて低い」というものである。これに関しては、「だからなに?」という話である。そもそも外国に駐留している軍人を民間人と比較するのがおかしな話しだし、沖縄県民からすでにツッコミが入っているように、たとえ率が低かったとしてもそれは米軍がいなければおきなかった事件なのであって、だから問題ないなどということにはならないのだ。

 話をもとに戻すと、沖縄にUSJのテーマパークを作るなどという話もあったが、それも最近になって立ち消えになった。USJが基地問題とかかわりがあるのかということについて断定的なことはいえないが、いずれにせよ沖縄は米軍基地からほとんどなんの利益も得ていないのだ。

 そんな状態で、沖縄では米軍が存在することによってさまざまな問題が起きてきた。
 そういう経緯があるから、翁長知事が激怒するのも当然なのである。政府は辺野古問題で沖縄と一時的に和解して参院選で沖縄のことが問題にならないようにしようとしているが、こんな稚拙な隠蔽工作に有権者はくれぐれもだまされてはいけない。一時的に隠して見えないようにしたところで、沖縄の基地問題がなくなってしまったわけではないのだ。