命のカウントダウン(健康余命3605日)

トレッキング、カメラ、陶芸、スキー、釣り、カヌー、遊びなら何でも大好き。仕事も好き、時間がない!

発熱難民?

2023-02-09 14:10:13 | 新型コロナウィルス
昨日の話です。
午後診療中に80代の男性が発熱してしんどそうにしているので診てもらえないかという電話をいただいた。
いつもはCOPD(慢性閉塞性肺疾患)で近くの病院に定期的に通院されているとの事。3日前から37.5℃程度の発熱、咳が続いていて、普段からトイレなどへの移動時には息切れがひどいのだけれど、それが明らかに悪化しているとの事でした。

ご住所を聞くと、医院から1㎞程度の場所なのですが、マイカーは無くて、タクシーで来院したいとの事でした。

以前から何度か問題化したのですが、発熱患者さんがタクシーで来院された場合、「コロナ陽性」と判明したときの帰宅手段が無いのです。

コロナ陽性と分かっているのにタクシーを呼ぶわけにもいきません。非常に近いご自宅まで徒歩で帰宅していただいたこともありますが、坂根医院は「人里離れた」場所にあります。殆どの方の家は遠いです。それに、発熱患者さんを徒歩で帰らせるなんてしたくありませんよね。(COPD+発熱されている呼吸不全の患者さん、1㎞どころか、100mも歩くことは不可能です)

午前中であれば、医院の送迎車(運転席と後部シートの間をビニールシートで遮断してあります)で送るという手もあるのですが、午後診療は送迎しておらず(運転担当者は帰宅)その上、車検の為、代車だったので、感染防護策が全く施されていない車でした。

調べてみると、民間救急車などで新型コロナ患者さんの搬送を請け負ってくれるところも存在はするようですが、転院や退院時など前もって予定された計画的な搬送に使われるようで、急な要請には対応できないことが多い様です。その上高額でした。

来院していただくことが困難であると分かりました。それではどうしようと考えました。結局、「午後診が終わってから、往診に行くしかないでしょう」と、スタッフに促されました。発熱患者さんの往診、「逃げ場がない」ので、あまり好きでは無いのです。

でも、ほかに手段が無いので仕方がありませんでした。
患家に着いて、先ず、新型コロナとインフルエンザの抗原検査をしようと思いました。対応に出て来てくれた奥さんに「患者さん、此処(玄関)まで出て来れますか?」と聞きました。
聞こえていたのでしょう、玄関わきの部屋から、よろよろと患者さんが出て来られました。ハァハァと、息が荒いです。
椅子を持ってきていただいて、座っていただいて、鼻腔に綿棒を突っ込んで抗原検査をしました。インフルエンザ、新型コロナ、いずれも陰性でした。

しかし、酸素飽和度を計ると83%しかありません。ゼロゼロと痰が絡んだお供していたので、背中を軽くたたいて排痰を促したら、86%まで上昇しましたが、それでも良くありません。

新型コロナでも、インフルエンザでも無いと聞いて、奥さんは「ああ、良かった」と、言われたのですが、ちっとも良くない状況でした。

「多分、肺炎だと思います。このままでは良くないので、入院していただきましょう。」
「え、そんなに悪いのですか」
「はい」
「普段の酸素飽和度はどれくらいですか?」
「先月受診したときは91%で、在宅酸素はまだ早いと言われました。」
「そうですか。何とか入院させてもらえると良いのですが。」
通院しておられる病院に電話をし、当直医に現況を伝えました。
そして入院許可をいただきました。新型コロナの検査をして陰性であったと伝えたことで話がスムーズに進んだようです。有難い事でした。

119に電話をして救急車での搬送を依頼しました。
10分足らずで救急隊が到着、搬送を依頼し、患家を後にしました。

医院のスタッフに後押しされて往診して良かったと思いました。
言っていなければ「見殺し」にした事になりかねない状況でした。

自分で動けない発熱患者の来院問題、個人の善意に頼らず、公共のシステムとしての解決策を見つけていただきたいと切に願っております。

移動手段を持たない発熱患者さん、2類から5類になったとしても、何処へも行けない状態に変わりはないと思います。マスコミは、5類になったらすべて解決みたに言っている節もありますが、5類になったらかえって受け入れ先が減るのではないかと危惧しています。
発熱難民、何とかしてあげてください!!!

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-09-18/2020091814_01_1.html



最新の画像もっと見る

コメントを投稿