昨日から息苦しい、しんどいと訴えられ 来院された高齢患者さん
顔色不良、顔に赤みが皆無。真っ青って言うけれど、真っ白と思いました。
SpO2:70台前半・・・・異様に悪いです。
えっつ???happy hypoxia ????
新型コロナ肺炎で有名な、自覚症状の少ない低酸素血症を真っ先に思い浮かべました。今日納入されたばかりのPCR検査機の最初の出番か!!!
でも、発熱も無ければ、咳も痰もありません。
デイケアには隔日で出かけているそうですが、周囲に新型コロナ患者も疑わしい方もおられないようです。
胸部聴診でも、肺炎を思わせる「肺雑音」と呼ばれるような炎症や痰による音は聞こえず・・・・・ん??聞こえなさすぎ??? あれ???
胸部レントゲン写真を撮りました。立位不能なので、車いすに座ったままです。
右肺が・・・・・・真っ黒け・・・
肺がギュギュっと縮んでしまって、心臓の右側に半円形になって張り付いています。写真の向かって左半分が黒っぽいのは・・・下の図の一番右のピンクの部分と同じく、肺が無くなって、ただの空間になっているからです。
重症(3度)の右気胸でした。
救急車で、昨年12月まで通院されていた大学病院へ搬送していただきました。(本年1月に大学からの分厚い紹介状を持参して来院された方で、今日が2度目の来院でした。)
コロナ患者で外来入院を受け取りにくいのに受け入れてくれた本日内科救急担当の先生ありがとうございました。
救急搬送してくれた、救急車のスタッフさんたち、ご苦労様でした。
コロナ患者で外来入院を受け取りにくいのに受け入れてくれた本日内科救急担当の先生ありがとうございました。
救急搬送してくれた、救急車のスタッフさんたち、ご苦労様でした。
私としては、こんな分かりやすい疾患を見逃さずに済んで、ホッとしております。分かりやすい疾患でも、油断していると見落とす可能性あります。思い込みってありますから・・・
見落としたらあかんやろ、何言ってるねん、アホ医者 と、思われるでしょうが・・・・医者も生身の人間ですので、ミスは犯してしまいます。何とか、取りこぼさない様に、毎日必死で診療しております。
この患者さん、慢性気管支炎、夜間無呼吸症候群、心不全傾向がありまして・・・
来院された時は、分厚い紹介状に書いてある、上記病変の急性増悪だろうと思っておりました。「塩辛いもの食べたんじゃないの?」などと、言ったこと、猛省しております。レントゲンを撮るまで、気胸は疾患の候補に入っていませんでした。
今頃、患者さんは、胸腔に空気を抜くドレーンチューブを挿入されて、状態は徐々に改善していかれると思われます。(急に肺を拡張させてもいけないのです)
今夜、来院されていなかったら・・・・危なかったと思います。SpO2:70台は本当にアブナイ!!
今夜の症例見落としていて・・・明日、取り返しのつかない状態で発見されていたら・・・・ぞっとします。
気胸は、交通事故や、女性の場合生理に関連して起こる事もありますが・・・自然気胸は特に原因なく起こる事が殆どです。背の高い若い男性に起こる事が多いですが、今回は、ずんぐりした高齢男性でした。症状としては、胸の痛み、呼吸困難、咳などがあります。今回の患者さんは、痛みも咳もありませんでした。呼吸困難は、生命の危険があるので、早めに医療機関を受診してください。息苦しいと感じたら、早めの受診をお勧めします。
今日も色々な物語がありました。この仕事、大変ではありますが・・・やはり、面白いです、やりがいあります。引退すると、今でも危うい惚けが急速に進行しそうですしねぇ。今しばらくは仕事させていただきたいと改めて思いました。
日々是好日 明日も今日と同様な一日であれば何より・・・
日々是好日 明日も今日と同様な一日であれば何より・・・
イージーミスだけはしない様に、今後も気を付けていきたいと思っております!
本来的にガサツな性格なので、何とか見落としの無い様に考え考え行動しているつもりですが・・・想像もしていない事態もあり得ると思いますので、医院の電話は、携帯電話に転送になる様にしています。
伝わってくるシーンでした。
医師が「医者をしている瞬間」って、、、こういう事なんですね!
危機感と、安堵感と アハッ体験 がごちゃまぜ。
とても濃い時間でした。