湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

紅葉の思い出〜亡き友が過ごした秋〜

2021-11-26 10:15:00 | コラム
去年の今頃
仲の良い年下の友達と
いつものイタリアンに行って
久しぶりにと、紅葉で有名な近くのお寺に行った。

去年の11月もコロナ禍の中、ほんの少しの緩んだ空気の中、
本当に久しぶりの再会で
彼女は、仕事も家のことも頑張っていた。


思えば、彼女は
いつも、いつも、頑張っていた。
7年前に乳がんを寛解させ、全く心配いらなくなった年に、自分の母親が闘病生活に入った。
それも、懸命に頑張った。
頑張ったけれど、母親の病気は手の施しようがなかった。
看護の甲斐もなく、彼女は、母親の面影を
年上の私に投影していた。

色んな話をした。
彼女は、娘のままだったから
母からの思い、娘からの思いの中で
宙ぶらりんで定かでなく
それが時に彼女をより悲しませた。

私は、曲がりなりにも
娘の時期が介護のため、長かった。
それに、娘を持つ親でもあったから
彼女のお母さんと答えが同じだとは言い難いが
彼女のナーバスな気持ちは、察しがついたので
一般の母親から娘への気持ちは話ができた。

私が自分の母親を老齢の身で失くすまでは
彼女の悲しみも苦しみも、本当は分かりづらかった。
だけど、自分も母親を亡くしてからは、
彼女に少しでも寄り添うことができたんじゃないかと思ってる。

音楽をし、留学もし、歌を歌えばセミプロ、
そんな時、彼女は病に倒れ、その後長い年月は
自分の体と家のことで精一杯。
気づけば、女性の適齢期はとっくに過ぎていた。

残った父親の年金、その後の自分の生活を思えば、
自分1人で食べていかなきゃいけないからと、
資格をとって介護職についた。
元々は、事務のよくできる子だったので
全国的に有名な介護センターを持つ所の事務に入った。

実は相当ブラックな会社で
何度も、辞めようとしたし、
私も提言したが、やはり、頑張り屋さんの彼女は、
引き継ぎもしてもらえず、後を任された経験から
辞めるときは、引き継ぎをしてからと
メモに引き継ぎすることをビッシリ書いて持っていたそうだ。(のちに分かったこと)
なかなか、後のことを考えてばかりだと、辞めるタイミングは、逃してしまう。
自己中でいいのよ〜なんて、何度も言ったっけ。


コロナ禍の中、
介護職がみんなワクチンを打ち始めたとき
彼女は、頑なに拒んだらしい。
事務所、そこに事務手続きでくるヘルパーさん達の
話をよく聞いて、ヘルパーさん達のやりやすいようにしてあげていたと聞いた。
それだけ近い位置にいたのだろう。

しかし、彼女自身はかなりのストレスを抱えていたのだと思う。

周りが全てワクチンを打ち終わる頃、
彼女が1人、仕事途中、体調を理由に事務所を抜け出して、、、、
数時間後、発見された。
彼女は車の中、心肺停止状態だったそうだ。


その後、病院で、かなり広範囲の脳出血によるものだったらしいことが判明。
彼女は何の言葉も残さず、天国へと召されてしまった。


その時は、ストレスが原因かと思っていた。

いやいや、色んなことがわかってきて
私の中では、周りがワクチンを終えたのち
彼女は、暴露(シュディング)を受けてしまい
挙句、ストレスと絡み合ってしまったのんじゃないかーと。


もし、ストレスがあっても、
このコロナ禍を迎えなかったら
彼女はまた、今年も、私と一緒に紅葉を見に行っていたんじゃないかー。


もしかしたら
もしかしたら、
彼女のような人がたくさん、居たのじゃないかーと。

しかし、彼女は彼女、1人。
私にとっては、可愛い妹のような存在の女性。


7月に亡くなった当時は、
無理したからだよね〜
とか、
亡くなったお母さんのところへ行きたかったんだよね〜
とか

そんな言葉で、彼女が『存在しない』と言うことを
私なりに、流していたんだと思う。


去年見た、紅葉した木や、イチョウの木を眺めていた彼女を思い出す。
すると、そこに『存在していた』彼女が脳裏に現れてくる。










彼女は、この8ヶ月後
この世から居なくなるなんて思いもしないで、空を見上げていた。
はしゃいでた。

私だって同じで、
また、来れると思っていた。

しかし、でも。
私は、この場所に行けずにいる。



人生でタラレバは、存在しない。
今あることを受け入れていかなきゃいけない。

思い出しついでに
彼女は、フィギュアスケートのかなりのフリークで。
浅田真央ちゃんの大ファンだったのだけど
この、荒川静香さんの演技と歌だけは、よく話をしていた。
実際に、私にも歌ってくれたことがあったっけ〜



来月からは、3回目のワクチンが始まろうとしてる。

やっぱり、彼女は、
生きていても、なお、生きづらい世の中になっていたかもしれないね。
世の中と政治の不条理を熱く語って怒りまくっていただろうね。
政治通な彼女だったから。


せめて今は、あの世で、大好きだったお母さんと一緒に、穏やかに居るのだと祈ろう。



【レイズ ミー アップ】
落ち込み、魂が疲れているとき

困難に見舞われ心が苦しいとき
私はここで静かに待つの
あなたが来て 私のそばに座ってくれるまで







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8 コメント

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Unknown ()
2021-11-30 20:43:14
…絶句です…
悲しく切ない思いを受け
涙しています。
その彼女様…でも、最後まで一生懸命で、悲しいけれどその方らしい最期だったのかもしれないけれど…

…あぁ…なんて言っていいかわからないのに
コメントしてすみません…。
返信する
Unknown (chachananohana19)
2021-11-30 22:05:33
麦さん
切ない気持ちを伝染させちゃったようですね、ごめんなさい💧
読んで頂いても、どうすることも、変えられないことを長々と書いてしまいました。
が、同時に、『今』を大切にすることなのかなぁ〜と。
誰も、先は分からないので。

スマホの写真を繰って行くと言うのは、順番に思い出を辿ることだと思ってます。
突如、去年の画面に亡くなった彼女が現れ、しかも、この季節と同じ。
蘇る空気の匂いと言うか、肌の感覚と同化。
多分、しばらくは、この季節には
こうした気持ちになるのでしょう。
麦さんの常日頃の優しさは、
沢山の言葉がなくても、わたしには、よくわかりました。
ありがとうございます。
そう、彼女は、彼女なりの逝きかただったのかしらと思います。
返信する
Unknown ()
2021-11-30 22:21:52
こちらでは(どこもそうかもしれませんが)
たくさんご馳走を食べて、故人を偲ぶのが
「供養」です。
たくさん思い出を分かち合って下さった事が、彼女様への供養になると信じています。
また、涙がでますが、これも彼女様への供養です。

ご冥福をお祈りし、また節々で思い出す事も「供養」になると信じております。
返信する
Unknown (chachananohana19)
2021-12-01 16:21:43
麦さん
ありがとうございます。
本当に優しい方なんですね。
私、仲の良い友人の死って、初めての経験でしたので、何かとつけて、切なくなってしまって、、、。
そうなんですよね。
食べて、、、
思い出して、、、
みんな供養になるんだと思います。
生きてる者達が元気でないと、いけないし、元気でいることも、供養の一つ。
季節は巡って、何度も巡ってきて、その度に、私は、彼女と一緒に食べたものを食べ、思い出していくこと、また、それができる感謝も込めて、私なりの供養をしていきたいと思います。
何度も、ありがとうございました😊
返信する
Unknown (ユウ)
2021-12-05 18:12:26
はじめまして。ユウと申
します。

仲良しの友達の死はどんなに切なかったか、お察しします。大切な人の死を経験しているので理解できます。

お友達の心の支えになっていたと思いますよ。だからこそ彼女の突然の死は無念だったとも…。思い出すことが供養になり、生かすことにもなると考えます。

ユーチューブで荒川静さんのスケーティングを見たら、涙が止まらなくなりました。音楽がまた素晴らしくて…。竹内まりやさんの「いのちの歌」も良いですね。

素敵な音楽と情感のある文章だからかもしれませんね。

最後になりましたが、フォローさせていただきました。

お孫さんとのお別れのシーンに胸が熱くなりました。とっても愛らしいですね♥️
返信する
Unknown (chachananohana19)
2021-12-05 19:34:52
ユウさん
こちらにも、コメントが〜
ありがとうございます♪
お返事が遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。
竹内まりやさんの歌は、私も、カフェのママに教えてもらい、初めて聞いた曲でした。
荒川静香さんの曲は、ご存知の通り。
美しい旋律に、前向きなしっかりとした言葉がのってます。
感動的な歌ですね。
私には、友達が歌ってくれた曲と言うこともありますが、
何故か、私に残してくれたのかしらと思うような。
歌はいいです。
その人の欲しい場所や、足りない場所に降りてきてくれますから。
沢山、ブログを読んで下さったようで、重ねて、ありがとうございました。
こちらも、フォローさせて頂きました。
最後に、文章をお褒めて下さり、少しくすぐったいです。
思った時に、散文のような、気持ちの流れるまま、あまり考えずに、その場限りで書いてます。
ですから、日により、定まっておりません💦
ご考慮のほど、お願いしたいとおもいます(笑)
返信する
Unknown (れのタクミ)
2022-02-24 23:03:46
ヤッホーやっと書き込みまでたどり着きましたw

もう4ヶ月も経っちゃいました

別れは悲しいですね 時間は容赦無く進んでいく

たまに覗きに来てますよ ツーカこれ書き込みになっているか

心配なんですけど・・・
返信する
Unknown ()
2022-02-24 23:23:19
れのたん
やっと来たwww
ちゃんと届いてますよ。
ただし、このお返事を返した〜って言う通知は行かないと思うので、コメント書いたら、遡って見に来て下さい。

そうだね。悲しいね。
彼女がこの世に居ない、事実。
今日も、彼女の家の前を通って病院に行って来ました。
また、命日の頃に、会いにいって来ようと思います。
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