余談が長くなりました。職場イジメに誘われた話を書いていたんでした。
とにかくそんなわけで私はシノヅカさんに一目置かれているので、ヨシカワさんも仲間外れにしにくいのでしょう。
私を仲間に引き入れない限り、カドタさんをハブることはできないと思ったようです。
「まだ大丈夫ね」
自分のバスの時刻を気にしながら、ヨシカワさんはまだカドタさんの悪口を並べています。
私は車通勤なので、早く話が終わればそれだけ早く帰れるのですが、
ヨシカワさんはぎりぎりまで解放してくれる気はないようです。
「カドタさんの言い方には本当に腹が立っちゃった。ひとの悪口言うより仕事に集中すればいいのに」
わざわざ残業後に人を引き留めてまで悪口を言っているのはヨシカワさんのほうなのですが……。
義母もそうでしたが、『いい人』は周りに悪口を言いふらすことで味方を増やそうとします。
ケンカは味方の多いほうが勝ちです。そうなっては面倒なので、正面切って反論はせず、
「まあ嫌いな人とは距離を置くことですよ」
と当たり障りのない返事をしておきました。
きっとヨシカワさんは不安なのでしょう。
年齢も高いし、特に仕事ができるわけでもない。次に首を切られるとしたらヨシカワさんかもしれません。
そう思うと気の毒な気もします。
ヨシカワさんはほぼ内定していたパート先があったのに、サキサカさんに誘われてここに来たのです。
なのにサキサカさんはさっさと辞めてしまいました。
サキサカさんはまだ30代ですから、いくらでも他の仕事が見つかるでしょうが、ヨシカワさんはそうはいきません。
ヨシカワさんは、サキサカさんの代わりに誰か味方が欲しいのでしょう。
誰か標的を決めてイジメるということは、結束を固めるための手っ取り早い方法なのかもしれません。
バスの時間が来て、ようやく解放された私は、明日の朝礼でみんなが集まった時、誰に話しかけるべきかと考えました。
ヨシカワさんに話しかけて、派閥とやらに入れてもらう?
普段どおりにカドタさんと話す?
それとも誰とも話さずに済むように、ギリギリに行く?
考えた末、明日からもカドタさんに話しかけようと決めました。
私は昔から学校や職場という組織で浮いていて、よくイジメの標的にもされました。
息子が学校に行けないのも、私と同じように組織になじめないからではないかと思います。
そんな私がイジメに加担するわけにはいきません。
正直、本当に仲間はずれにされたらどうしようという不安がないわけでもありませんが、倉庫という職場では、
どうせ朝礼の前5分くらいしか雑談の時間はないのです。
ヨシカワさんの言う「派閥」以外にも他の契約会社から来た人もたくさんいるし、男性はたぶん派閥に入っていないでしょうし、
留学生や社員、それに若い人も派閥と無縁な人が多いでしょう。
話す相手は誰かいるし、もしいなくても一人でいればいいのです。
繰り返しますが、ここは中学校の教室ではないのですから……。
とにかくそんなわけで私はシノヅカさんに一目置かれているので、ヨシカワさんも仲間外れにしにくいのでしょう。
私を仲間に引き入れない限り、カドタさんをハブることはできないと思ったようです。
「まだ大丈夫ね」
自分のバスの時刻を気にしながら、ヨシカワさんはまだカドタさんの悪口を並べています。
私は車通勤なので、早く話が終わればそれだけ早く帰れるのですが、
ヨシカワさんはぎりぎりまで解放してくれる気はないようです。
「カドタさんの言い方には本当に腹が立っちゃった。ひとの悪口言うより仕事に集中すればいいのに」
わざわざ残業後に人を引き留めてまで悪口を言っているのはヨシカワさんのほうなのですが……。
義母もそうでしたが、『いい人』は周りに悪口を言いふらすことで味方を増やそうとします。
ケンカは味方の多いほうが勝ちです。そうなっては面倒なので、正面切って反論はせず、
「まあ嫌いな人とは距離を置くことですよ」
と当たり障りのない返事をしておきました。
きっとヨシカワさんは不安なのでしょう。
年齢も高いし、特に仕事ができるわけでもない。次に首を切られるとしたらヨシカワさんかもしれません。
そう思うと気の毒な気もします。
ヨシカワさんはほぼ内定していたパート先があったのに、サキサカさんに誘われてここに来たのです。
なのにサキサカさんはさっさと辞めてしまいました。
サキサカさんはまだ30代ですから、いくらでも他の仕事が見つかるでしょうが、ヨシカワさんはそうはいきません。
ヨシカワさんは、サキサカさんの代わりに誰か味方が欲しいのでしょう。
誰か標的を決めてイジメるということは、結束を固めるための手っ取り早い方法なのかもしれません。
バスの時間が来て、ようやく解放された私は、明日の朝礼でみんなが集まった時、誰に話しかけるべきかと考えました。
ヨシカワさんに話しかけて、派閥とやらに入れてもらう?
普段どおりにカドタさんと話す?
それとも誰とも話さずに済むように、ギリギリに行く?
考えた末、明日からもカドタさんに話しかけようと決めました。
私は昔から学校や職場という組織で浮いていて、よくイジメの標的にもされました。
息子が学校に行けないのも、私と同じように組織になじめないからではないかと思います。
そんな私がイジメに加担するわけにはいきません。
正直、本当に仲間はずれにされたらどうしようという不安がないわけでもありませんが、倉庫という職場では、
どうせ朝礼の前5分くらいしか雑談の時間はないのです。
ヨシカワさんの言う「派閥」以外にも他の契約会社から来た人もたくさんいるし、男性はたぶん派閥に入っていないでしょうし、
留学生や社員、それに若い人も派閥と無縁な人が多いでしょう。
話す相手は誰かいるし、もしいなくても一人でいればいいのです。
繰り返しますが、ここは中学校の教室ではないのですから……。