不登校の息子とビョーキの母

不登校の息子との現在、統合失調症の母との過去

ストーカー王子の劇場型恋愛

2019-05-19 14:40:24 | 日記
ストーキングは犯罪です。

ただ私は昭和の女なので、この手の愛情表現にそれほど違和感はありません。

「明日がある、明日があるさ…」
というCMがはやったことがあります。

確かこんな歌詞でした。
「ある日突然考えた、どうして俺は頑張ってるんだろう。家族のため?自分のため?答えは風の中…」

でもこれはもっと昔の曲のカバーで、元の歌はこんな歌詞なのです。
「いつもの駅でいつも会うセーラー服のお下げ髪(中略)あの角まで、あの角まで、今日は諦めた…」

これはまさにストーカー。昭和の頃にはこんな恋愛が容認されていたように思います。

いつしか私は朝のエレベーターホールで、昼休みの食堂で、Mさんの姿を見つけられないと寂しく感じるようになっていました。

付帯業務の応援が終わった今、仕事で会えるのは私が2階へピッキングの応援に行った時くらいです。
ピッキングの応援があるかどうかはその日にならないと分かりません。
梱包で人手が足りなかったり、そもそも物量の少ない日には応援もありません。

その日私は朝からGASのブースで梱包をしていました。

「当配(当日配送分)が終わったら応援だからね」
GAS担当の黒シャツのオバサンが寄ってきて、含み笑いをしながらなだめるように私に言いました。

「あ、そうですか」
なぜそんなことを言われたのか分からずに私はきょとんとしました。


GASとは同時に最大10個の荷物をコンピューターの指示で仕分けできる新しいシステムです。
手梱包のバラに比べて生産性が高く、ゆくゆくはラインのほとんどがGASに取って代わるという噂でした。

つまりGASの練習をさせてもらえないということはリストラの候補であることを意味します。
だから朝からGASのブースに入れるのは私にとってうれしいことでした。

あっ、と思いあたったのはしばらくあとでした。

あとでMさんに会えるから我慢してね、という意味なのです。

彼の友達ばかりでなく、いつの間にか私とMさんの噂は3階にまで飛び火していたのでした。

それも無理はありません。劇場型恋愛とでも言うのでしょうか、
Mさんときたらわざわざ梱包事務所にまで乗り込んできて上司の前で流し目をくれて行ったり、
私の行く先々で待ち伏せしてみたり、これ見よがしに私への思いを宣伝するのです。

頬がカッと熱くなりました。Mさんのことは好きですが、仕事には人並み以上に真剣に取り組んできたつもりです。
彼の派手なパフォーマンスの前では私の真面目な仕事ぶりなどかすんでしまい、
男に会うためならみんなの嫌がる応援に喜んで行く都合のいいオバサンとしか扱ってもらえないのです。

私のプライドは傷つきました。けれど仕方ありません。
私だって、30歳も年下の男に追っかけられて喜んでるオバサンが職場にいたら、
若い男とイチャコラするために職場に来ている仕事そっちのけの色ボケババアだと思うでしょう。