不登校の息子とビョーキの母

不登校の息子との現在、統合失調症の母との過去

また、オーバーなんだから

2019-09-24 07:36:10 | 日記
棚間にいたMさんを見つけて、声もかけずにその場を離れた私ですが、
Mさんは私の姿に気づいていたようです。

昼休みのあとピッキング事務所から現場に向かう通路の脇に、Mさんが立っていたのです。
こちらに背を向けて、声をかけてもらいたそうにして……。

2週間も会えなかったので、私の心には恨みが溜まっていました。
私はMさんに会いたいと思っても会えないし、避けようと思っても避けられないのに、
Mさんは自分の都合で私を応援に呼んだり姿を隠したりできるのです。

まあ元はと言えば冷たい態度をとったのは私なんですが、2週間は長すぎました。
寂しいのを通り越して、私はうんざりし始めていました。

何にって?
Mさんの執念深さももちろんですが、周囲の好奇の視線とか、
リストラの進む中で梱包の仕事に戻れないことへのいら立ちとか、
夫も子供もいながら息子ほどの年の男に振り回されていることへの自己嫌悪とか。

好きなことは好きだけど、付き合う気なんかないのだから、気を持たせるだけ残酷なのです。
(距離を置いたほうがいいんだ)
私は心を鬼にして、声をかけてほしそうにしているMさんをわざと避けて通りました。
実際、何と声をかけていいかもわからなかったのです。

けれどこれがMさんにはこたえたようでした。

次の日から私は梱包の仕事に戻してもらえました。

けれどその後久しぶりに2階の応援に行った時、Mさんの憔悴した姿に私はたじろぎました。
何というか、目に光がなくてどんよりと落ち込んでいて、マスクまで掛けて顔を隠しています。
(かわいそう)
と思うと同時に、
(また、オーバーなんだから……)
とうんざりしました。

Mさんのことが嫌いとかじゃなくて、梱包に戻りたいって言っただけなのに!

単に私は梱包の仕事が好きなのです。
コミュ障の私に、朝から晩まで独りでブースに籠ってする梱包の仕事はぴったりなのです。

私はいよいよ何と声をかけていいか分からなくなりました。
「この前はごめん」
くらいの軽い謝罪で済むような雰囲気では到底ありませんでした。
「本当は好きです」
と言って抱きしめてあげたら元気になるかもしれませんが、そんなことして責任取れるわけありません。

(どないせえっちゅうねん)
思わず関西弁になって私は思いました。