これまでにも、旧ブログなどで、腐敗防止剤のことを取り上げてきました。
昨日も、農協へ出荷している農家さんが、腐敗防止剤を、伊予柑畑で散布しているのを見かけました。
腐敗防止剤が、必要なのかどうかは、以前書きましたので、今日は、別の視点から、考察してみましょう。
国内で一般的に出回っているかんきつ類は、ほぼすべて、腐敗防止剤が使用されています。
収穫前に、散布されます。
海外からやって来る柑橘が、収穫後に農薬を散布されるの(ポストハーベスト)と、少し違いますね。
で、思ったのですが、なぜ、収穫前に散布するのでしょう?
効率や、経済性から言えば、収穫後に散布した方が、良いといえますね。なぜなら、畑で散布するということは、広大な面積を、いちいち歩いて移動しながら、大量に散布することになるからです。
腐敗を止めたいのは、果実だけでしょうが、園地内で散布する、ということは、樹木全体にかけることになるわけです。
樹木の半分以下の体積しか、果実がないとすれば、農薬半分を、捨てているようなものと言えると思います。
収穫後に散布するのであれば、倉庫内で散布することも可能で、上手に管理すれば、余計な飛散(ドリフティング)の心配もないのでは、と思います。
不思議に思うのは、農協の、指導。
腐敗防止剤は、収穫の数日前まで(品種により、差があります)に、使用せよ、とのこと。
直前や、当日じゃ、だめらしいのです。
なぜ?
残留農薬の程度が心配だから、という人がいるかもしれませんが、現実に即してないように思います。
例えば、伊予柑などは、収穫2日前までに、散布せよ、とありますが、伊予柑は、収穫後長期保存してから、出荷するのが一般的です。消費者のもとへ届くのは、腐敗防止剤散布から1週間以上後になることの方が、多いと思います。
このことに気が付いている農家さんは、どれくらいいるのかな?
無農薬であろうと、農薬使用であろうと、はさみで傷のついた果実や、選果中、輸送中に傷のついた果実は、いずれ腐ります。
腐敗防止剤の散布は、旧態依然の何かの儀式みたいに思えます。得をするのは、農薬を製造、販売している人だけですな。
もちろん、ご存知の通り、私の農園では、腐敗防止剤は使用しておりません。