ちいさなつづら

肩幅で暮らす。

こたえ

2013-12-14 07:01:58 | 栽培の現場

 真実は、いつも、現場に。


 現場を見ずして理屈を語るのは、病人を診察しないで、医者が勝手に病名を告げるようなもの。


 最近は、そんなお医者さんもいますから、大変な時代になったものです。




 さて、写真の植物。


 私は、正式な名称を知りません。この辺では、「よせ」と呼んでいる、イネ科の雑草です。

 海岸線や谷沿い、みかん園の際などに生えています。


 この「よせ」、きちんと管理しないと、どんどん勢力を拡大して、手が付けられなくなります。竹林と、同じです。


 当農園のみかん園にも、結構生えていたりして、管理に手を焼いてきました。


 ところが、ヤギを飼いはじめてから、この葉っぱが、冬場のヤギのえさに重宝することがわかり、数年前から、手入れをしてきて、徐々に整備されています。


 


 3年ほど前は、荒れ放題だったところ。枯れたよせを取り除き、根元からきれいに刈り取り、葉っぱをヤギに与えます。

 

 茎の方は、わりと硬いので、束ねておいておきます。直に土の上に置くと、新たに発根してしまうので、気を付けます。

 

 去年刈り取った茎。見事に乾燥しています。これはウッドガスストーブの燃料にももってこい。

 雑草が、飼料と燃料の『資源』に、うまれかわるという、真実。


 

 なぜ、管理が必要なのかと言えば、放置しておくと、よせ自ら枯れた葉っぱや茎が微生物によって分解され、ふかふかの上質な腐葉土に、なってゆきます。

 また、この薮のような状態が、あらゆる生き物の住処となったり、周辺の落ち葉などもたまりやすい構造なので、どんどん土が肥えてゆくのです。

 土が肥えれば、よせはどんどん肥大して、勢力を拡大します。人間が肥料を与えなくても、自然に豊かになってゆくのです。

 
 よせが拡大すると困るのは、人間。近くでも、農道のわきにぎっしりよせが生えているところがあり、農家さんたちは、夏になると草刈り機で何度も刈りとばして、農道整備をします。

 ところが、刈り倒した後、集草をしないものですから、それがまた土を肥やすことになり、毎年、大変な草刈りを強いられることになります。

 
 つまり、農家ががんばって雑草を育てているようなもの。


 これを私は、賢いと、思わないのです。


 急がば回れ、と、昔の人はよくいったものです。これが、賢いということだと思ってます。



 


 さて、よせの葉っぱをよく見ると、写真のような形状。

 これにも深い意味があります。

 
 葉っぱと茎の間には、ちょうど、人間の歯と歯茎の間にある、歯周ポケットのような隙間があります。


 雨が降ると、ここに水が集まる仕組み。


 

 

 葉っぱと茎は、密着していて、ここに水が入ると、表面張力で、晴天が続いても、水分をきっちりキープできる仕組みになっています。

 ここの部分の湿度が保たれるので、ここから、不定根が発根して、新たな株も生まれます。

 子孫繁栄のための、植物の、知恵ですね。



 さて、先ほども言いましたが、植物は、自ら土を肥やす仕組みを利用しています。

 果樹栽培の場合、一度樹を植えたら、畑を耕すことはほとんどしません。葉っぱが落葉したり、鳥がフンを落としたり、自然に土が肥えてゆきます。


 なので、無肥料栽培が可能になってきます。


 一方、広大な野菜畑で、トラクターで土をかき混ぜ、特定の野菜を作ると、どうなるかと言えば、土地がどんどん痩せてゆきます。

 なので、肥料が必要になるわけです。


 無肥料栽培で柑橘ができる仕組みは、農業の現場を見ていれば、当たり前のように理解できる、とっても簡単なお話。


 特別難しいことは何にもないのであります。


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