2008年、カメムシの大発生によって、温州ミカン全滅を味わった、阿部みかん農園。
それでも、乗り越えました。
この話をすると、人によっては、
「貯金があったんでしょ?」
と、考えるようです。
なので、この時のことを、もう少し、詳しく説明しておかなければ、なりません。
自己資金ゼロからの新規就農を、2005年から果たした私は、最初の数年間は、ほとんど売り上げがありませんでした。
新しく商売を始めたわけですから、お得意さんがいるわけでもありません。全くのゼロからの、スタートです。
ちなみに、かんきつ類の「生産量」は、最初の年からかなりありました。しかしながら、畑の生産量はあっても、売り先がないので、通常1キロ数百円で販売できるような質のいいみかんを、泣く泣く、キロ数十円の加工用として販売しなければならないこともしばしばでした。
そんなこんなの4年目で、温州ミカンの全滅。これは、痛かった。
預貯金なんてありませんから、借金で乗り越えました。
まあ、借金ができるだけの『社会的信用』という、数字には表れない「ちょきん」は、たくさん積み重ねてきたつもりです。それが功を奏したと、言えます。
そして、翌年2009年度は、史上最高の生産量と、売上額を記録。そこで、きれいに借金返済が、出来ました。
その後現在も、信用第一をモットーに活動を続けていることで、お得意さんが増え、今では生産の方が追いつかない感じになってきています。相変わらず、預貯金はからっきしですが、生きていくうえでの、数字には表れにくい「ちょきん」は、どんどん増えていると、言えると思います。
わたしは、自分の経験から、若い人には、一番大事にしてほしいことを、大事にしてほしいと願っています。
備えあれば、憂いなし。「ちょきん」を、大切に。
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