アジア世界に12億の読者を持つという金庸の処女作がこの「書剣恩仇録」です。
日本では武侠小説と言っても知らない人がほとんどでしょうが、香港とか台湾、韓国なんかでは映画やドラマはもちろん、アニメ、コミック、ゲームと凄い人気らしいです。
韓国で嫁さんの先生のお宅でご馳走になったことがあるのですが、やはり先生も良く知ってらしたみたいで、大変人気のある作家だ!と仰ってました。(^^)
さて、この「書剣恩仇録」は一言で言えば、中国は清の乾隆帝の御世、滅満興漢を掲げる秘密結社「紅花会」の活躍を描いた武侠小説です。
紅花会には党首を始めとして14番差配までの親分衆が居て、それぞれ個性的な性格と武術の持ち主で、特に二番差配から六番差配までは無敵とも言える武芸を誇っています。
しかし、金庸の後の小説の「射英雄伝」や「天龍八部」のような、カメハメ波と見間違うような相手に触れずとも敵が吹っ飛ぶような技はまだ出て来ないので、ブルース・リーやジェット・リーのような達人が大暴れするような物語を想像して貰えれば良いかな?
ただ、派手なアクションだけでなく、謎解きあり、恋愛ありの面白い作品に仕上がってます。
個人的にお気に入りは「西川双侠(せいせんそうきょう)」の異名を取る、五番、六番差配の常赫志、常伯志兄弟です。
顔も怖くて口も悪く「亀野郎!」を連呼する二人ですが、抜群に強いし作品中でも特別な味を出してると思います。
それと、この物語を読んでいる時には気が付かなかったのですが、後に「飛狐外伝」を読んで存在に気づき、再び「書剣・・・・」を読んでお気に入りになった、見かけは冴えない小太りの中年男、三番差配、千手如来の趙半山も良いです。
あと、憎たらしい程の強さを誇る敵役、張召重は、映画「ドラゴン・イン」のドニー・イエンを彷彿させます。
この手の書物でよく言われるのが、登場人物の多さにウンザリするという事ですね。
しかし、三国志演技、水滸伝ほどではありませんので頑張って読むしかありません!(^^;
あと、特に金庸作品は「技の名前が多くて良く分からない」「実体の無い技で文字だけが躍っているだけ」とかいう批評も時々見ますし、納得もします。(^^;
しかし、頑張って読むしかありません!(^^;
技の名前は適当に素早く流し読みして、流し読みのスピードをもって技のスピードを味わうとか、字面を楽しむ位の余裕が欲しいものです。(^^;
頑張って、頑張って、たくさんの人が金庸作品を読んでハマってくれれば嬉しいです。(^^)
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