誰しも 彼の名前は聞いたことがあるでしょう、、、。
もう 66歳 なんだ。
そうです、 モダンホラーの帝王。
私も28歳から10年以上かけて、 夢中で愛読したものです。
勿論、 彼の活動はモダンホラーのみには留まりません。
ヒューマン小説家、映画監督、カメオ出演者、ホラー評論家、バイカー‥。
日本の作家たちにも多大な影響を与えています。
景山民夫 宮部みゆき 小野不由美 小池真理子 高見広春 高橋克彦 ‥
今日は単純に、スティーヴン・キングのマイベストを選ぼうかな、 と。
① 刑務所のリタヘイワース Rita Hayworth and Shawshank Redemption(1982年)
シネマ・タイトルは『ショーシャンクの空に』。
映画のメガヒットにより超メジャーになった作品です。
原作は中篇小説として'82年に発表されました。
映画よりも、より精緻な表現は文句のつけようがなく、
キング作品の筆頭にあげられるべき名作と言っていいでしょう。
特に"ひとり語り"の小気味良さに、キング一流の洒落っ気が感じられます。
② シャイニング The Shining (1977年)
これは2本の映像作品になりました。
1本はS.キューブリック監督、もう1本はキング自らがメガホンを取りました。
キングは、S.キューブリック作品の出来に怒り心頭だったのですが、
やはり「鍛冶は鍛冶屋」。 映像作品はキングの惨敗に終わったのです。
しかしホラー小説のほうは目を釘付けにする傑作中の傑作です。
特に中盤から終盤を闇のように暗くする展開は読む者を眠らせません。
アメリカ国内便の機内、妙齢の女性がペーパーバックに夢中になっていました。
③ ゴールデンボーイ Apt Pupil (1982年)
これも、もとは中篇小説です。
明るく屈託のない「アメリカンボーイ」と、隠れナチスの老人が出会い
どんどん「転落」が始まって行く"心理戦"が、読む者の心を鷲掴みにします。
映画ではドゥサンダー役がピタリとはまっているイアン・マッケランが
実生活においてはゲイであることが実に興味をそそります。
もちろん、映画よりも小説のほうが勝っています。
④ スタンド・バイ・ミー The Body (1982年)
原題は「死体」。
これも『ゴールデンボーイ』同様、中篇として発表されました。
4人の「友情 そして 分裂」が胸に沁みます。
ハッピーエンドで終わらせないところがキングたる所以でしょう。
映画ではクリスを演じたリヴァー・フェニックスがいい味を出しています(涙)
映画・小説、ともに素晴しい出来栄えでした。
⑤ イット It (1986年)
これも映像化されていますが、断然書籍の方をお薦めします。
その気になれば他人を殺してしまえそうな圧倒的な文字の量。
そしてグイグイと引き込まれる内容の深さ。
「友情、愛とは何なのか」
友人全員と肉体関係を持ったべヴァリーの気概に目が眩みました。
⑥ アトランティスのこころ Hearts in Atlantis (1999年)
読後10年経った今でも心をしめ付けられる名作。
ほんのわずかでも違う行動を取っていれば‥、という心情に激しく共感します。
原作が映画を上回った典型例のひとつ。
映画では名優アンソニー・ホプキンスが力を発揮しています。
~ ただし、少しだけベクトルが違う方向を向いてしまったけど ~
そもそも映画化には若干無理があったかも知れません、 もとが長いので。
⑦ ミザリー Misery (1987年)
小説と映画がピッタリ! という意味では、断然NO.1です。
交通事故で雪山に閉ざされた流行作家と、熱狂的愛読者である元看護師。
映画の話ですが、ともかくキャシー・ベイツがこれ以上ないハマリ役で
アカデミー賞主演女優賞に輝いたのも当然の話です。
お陰で、おバカなコメディ『ラットレース』を観ても何となく怖い(笑)。
『メン・イン・ブラック』監督のバリー・ソネンフェルドが撮影してます。
⑧ ザ・スタンド The Stand (1978年)
人々の心に潜む「悪」と「善」。
いつかやって来るふたつの対決をじっくり描いている秀作です。
もちろん映像作品にもなっています。
私的にはここまでよく作りこんだな、と思いましたが
やっぱり原作をゆっくりと楽しむ方が心に残るものが大きい感じでしょうか。
キング氏自身に「おつかれさま」と言ってあげたい長さです。
⑨ ペット・セマタリー Pet Sematary (1983年)
まずは小説。
ひとつずつのプロット&シーンが目に浮かぶようで、まさに傑作と言えます。
”後悔~狂気”、 そして ”愛してる?”の台詞が永遠に記憶されます‥。
「怖すぎて」映画化を見送られていたという噂も伝わって来ましたが、
低予算・マイナーな俳優でここまで描写して大変優秀な作品になりました。
女性監督ならではの細やかなセンスが、ここそこに散りばめられています。
⑩ ダーク・ハーフ The Dark Half (1989年)
小説を書く人間なら一度は考えてしまうだろう「もうひとりの自分」。
(日本の作家にもダブルネームを持つ人が意外に多いんです)
平凡な教師である男が、もう一つの顔である「売れっ子作家」を葬ろうと考え、
激烈な闘いに巻き込まれて(巻き込んで?)いく非日常を丁寧に描いています。
映画版の監督は『ゾンビ』でお馴染み、巨匠・ジョージ・A・ロメロ。
⑪ グリーンマイル The Green Mile (1996年)
毎月一冊、計六冊によって出版された作品。
刑務所を題材にした内容ながら、深く人間の悩みに切り込んでいます。
半年間、毎月楽しみに心待ちしていた私の気持ち、わかっていただけます?
小説につきましては「たいへんよくできました」を献呈いたします。
映画の方は、フランク・ダラボン監督(『ショーシャンクの空に』)、
&トム・ハンクス主演ということでアカデミー賞も予想されましたが 長過ぎた。
⑫ 痩せゆく男 Thinner (1984年)
これを読んだとき、あらためて「キングは天才だ」と思わされました。
太りすぎの中年男にとって”何となく痩せる”のは夢のような話‥の筈でした。
不注意でロマ(ジプシー)を撥ねた主人公の男は、老人に呪いを掛けられる。
そして己の人生を賭けた闘いは思いもよらぬ結末を迎えてしまう。
で、映画ではカリ・ワーラーが魅力的でした。(あくまでパーソナルな意見です)
しばらくの間、パイを食べられなくなったのは私だけでしょうか?
⑬ 呪われた町 'Salem's Lot (1975年)
とてもムードのある小説で、明らかに他のキング作品とは一線を画しています。
吸血鬼モノとして一級の雰囲気に、襟を正して読んだ記憶があります。
二度読んで、より味わいが深まります。
小野不由実に『屍』というオマージュ作品があるそうです。 が、未読です。
⑭ 死のロングウォーク The Long Walk (1979年)
『痩せゆく男』同様、リチャード・バックマン名義の作品。
私ならどういう作戦で行こうか……なんて甘い・甘い。
まさに「Long Walk」は、死への行進でしかないのだから。
友情すら消えて行く、持って行きようのない哀れさ。
⑮ デッドゾーン Dead zone (1979年)
先のことが予知できる超能力。 あればいいなって思いませんか。
この小説を読んだあとも同様の考えをお持ちの貴方‥‥、 えらい!!
私はきっぱりと遠慮させていただきます。
映画はキングにハマる前、テレビ放送で観たような気がします。
これも細かい心理描写が重要な作品なので原作をお薦めします。
他にも、
『ミスト(霧)』
『キャリー』(旧)
『キャリー』(新)
『黙秘』
など
小説・映画の名作が、多数 貴方を待っています。
一の事象を十にでも百にでも出来る天才、
66歳という年齢や 数々の持病になんか負けないで
これからも私たちを驚かせ 震わせてください。
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