この薬飲まねば痛みが治まらぬ飲めば眩暈がまた酷くなる
八十歳の壁の向かうに何やある眩暈おさめて見てみなければ
首垂るる柏葉あぢさゐ夏の日に何かせねばと思ひはすれど
肩に垂るる髪くしけづる九歳のやると決めたるヘアドネーション
干瓢に剥かれし後の夕顔の実と泳ぎたるふるさとの川
干瓢に剥かれし後の夕顔の実と泳ぎたるふるさとの川
源氏物語の夕顔の巻のイメージゆえか,夕顔の花には優しくはかない印象が伴う。だが,夕顔の果肉を細長く薄く剥いて乾すと干瓢になる。花と実では,ずいぶん違う感じである。剥かれた後の夕顔の実が川に浮かび,そのそばで泳いだ作者。夕顔の歌として斬新な一首になった。 (栗木京子)
ありがとうございました。