季節風~日々の思いを風に乗せて

喜寿になったのを機に新しいブログを始めました。日々の思いをつぶやきます。

夕顔の実~『塔』11月号 栗木京子選

2022-12-05 21:17:09 | 短歌
この薬飲まねば痛みが治まらぬ飲めば眩暈がまた酷くなる
八十歳の壁の向かうに何やある眩暈おさめて見てみなければ
首垂るる柏葉あぢさゐ夏の日に何かせねばと思ひはすれど
肩に垂るる髪くしけづる九歳のやると決めたるヘアドネーション
干瓢に剥かれし後の夕顔の実と泳ぎたるふるさとの川

干瓢に剥かれし後の夕顔の実と泳ぎたるふるさとの川
 源氏物語の夕顔の巻のイメージゆえか,夕顔の花には優しくはかない印象が伴う。だが,夕顔の果肉を細長く薄く剥いて乾すと干瓢になる。花と実では,ずいぶん違う感じである。剥かれた後の夕顔の実が川に浮かび,そのそばで泳いだ作者。夕顔の歌として斬新な一首になった。                  (栗木京子)

 ありがとうございました。