個人的に立ち上げた勉強会を月一回の頻度で開催した。少ない謝礼(それもほとんど受け取ってもらえなかった),多忙な中にも関わらず,6人の方々にお話しいただいた。「墓石は語る」(地質研究家)「命に寄り添う」(看護師)「ボランティアの楽しみ」(臨床心理士)「今を生きる」(僧侶)「感謝して生きる」(道徳研究団体役員)「子どもが危ない」(NPO理事)いずれも専門的な知見に基づいた有意義なお話しであった。
最終回は私が標記のテーマで話した皇太子妃殿下,皇后陛下,上皇皇后陛下としてこれまでにお詠みになられたお歌
あづかれる宝にも似てあるときは吾子ながらかひな畏れつつ抱く
(昭和34年)から
今しばし生きなむと思ふ寂光に園の薔薇のみな美しく
(平成31年)までの45首,もちろんいちばん好きなお歌
命あるもののかなしさ早春の光のなかに揺(ゆす)り蚊の舞ふ
も含めて鑑賞した。
美智子様のお歌を進んで読むという人は,ファンか研究家でなければそう多くないと思われる。文語,旧仮名遣いで書かれたお歌を分かりやすく伝えるために苦慮した。そこで,当時の報道写真やエピソードなどを利用し,56枚のシートで約2時間のパワーポイントにまとめた。さらに資料として「ご略歴」を作成し配布した。
この話を通して伝えたことは次の三点であった。
- 雅子さまがどうとか秋篠宮妃殿下紀子さまがどうとか,ゴシップしか伝わってこない皇室の本来の姿を考えること。
- 私たちが生きてきたここ80年の出来事や歴史を振り返ること。
- 何よりも美智子様のお歌そのもののすばらしさ~思いやり・慈悲の心に満ちたお歌を味わうこと
美智子様のお歌には「光」が歌われることが多い。この「光」とは,神仏のまなざしや思いなのだろうが,美智子様ご自身の「思いやり・慈悲のお心」であるように考えられる。「かなし」の平仮名にはどのような漢字をあてればいいのだろうか・・・十分に美智子様のお歌の意味を伝えられたかどうかは分からない。参会してくださった方々が,美智子様の「やさしさ」に包まれてくれたのなら嬉しいのだが。