佐藤忠良生誕百年展をいわき市立美術館で観ました。
忠良さんが亡くなったのは東日本大震災のおきた1911年の同じ3月でした。何回かアトリエを訪問し,製作中の作品はもちろん,たくさんの有名作家の作品をみせていただきました。ピカソやシャガールが無造作に目の前に展げられるのですが,これがみんな本物かと思うと震えるような興奮を覚えました。
帽子シリーズなど改めて清冽かつ抒情的な彫刻に触れ,素敵な時間を過ごしました。アトリエで製作中の写真も数点あり,親しくお話しいただいた当時を懐かしく思い出しました。
小春日や忠良展のカフェテラス
いわき市からの帰路,前から行ってみたかった「白水阿弥陀堂」に立ち寄りました。紅葉のベストシーズンは終わっていましたが,イチョウやカエデの葉が残り,傾きかけた初冬の日に映えていました。境内にはほとんど誰もおらず,国宝の阿弥陀堂の前に立っていたら,中から堂内に誘われました。静寂な堂内で重要文化財指定の六体の御像を拝見しました。お話を聞きながら見あげた堂内周囲の壁板には絵が描かれてあったらしいのですが,ことごとくはげ落ちてしまっていました。持国天王立像などにかすかに残る極彩色の跡とともに思いを巡らせば,建立当時の堂内のきらびやかさが眼裏を明るくしました。この阿弥陀堂は藤原清衡の娘によるもの。あの平泉の中尊寺や毛越寺のきらびやかさを嫁いできたいわきの地にも再現しようとしたのでしょうか。
拝観を終え薄暗い阿弥陀堂を辞すと,境内の冬もみじが一層鮮やかに見えてきました。
冬もみじ杮葺(こけらぶき)なる阿弥陀堂
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