南シナ海を巡る中国の主張を全面的に否定した国際仲裁裁判所の判断を受け、中国政府は13日、南シナ海に関する「白書」を発表した。記者会見した劉振民外務次官は仲裁判断を厳しく批判。「この判断に基づいた交渉には応じない」と述べ、申し立てたフィリピンに対し判断を「棚上げ」にした上で対話に応じるよう求めた。
対外宣伝を担う国務院新聞弁公室の名前で出された白書は約50ページ。「中国人民は南シナ海で2千年余り活動してきた歴史があり、中国の主権と権益は十分根拠がある」と主張し、フィリピンが南シナ海諸島の一部を「不法占拠」していると非難。その上で対話による解決を訴えた。対話に前向きな姿勢を示すフィリピンのドゥテルテ新政権を念頭に置いているとみられる。
劉氏は「仲裁判断は紙くずであり、ごみ箱に捨てれば終わりだ」と強調。今回の判断に関わった仲裁人5人のうち4人を選定した、当時の国際海洋法裁判所の所長、柳井俊二氏が、集団的自衛権の行使容認を安倍晋三首相に提言した有識者懇談会の座長という経歴に言及。「(仲裁判断は)政治的に操られた結果だ」と批判した。
仲裁判断を受け、南シナ海に防空識別圏を設定するかどうかについては「われわれが受ける脅威の程度によるが、当然権利がある。総合的な判断によって決まる」と含みを持たせた。
関係筋によると、中国外務省は12日夜、北京の日本大使館の公使を呼び、抗議した。仲裁判断に従うよう求めた岸田文雄外相の談話を受けた措置とみられる。
=2016/07/14付 西日本新聞朝刊=
それにしても、現中国政府のレベルの低さは…。