文化の日。現憲法が公布された日ということを、案外、知らない人も多いかもしれないですね。とまれ、文化の日はよく晴れるとのこと。我が家の屋上から全方位で見える、文化の日の奈良の山の稜線は、まさに「大和しうるわし」。「文化」がこの風景のように、いつも側にあればいいなと思う、晴れた日。文化勲章の授与も行われましたが、なんといっても、草間弥生、87歳!赤い髪で文化勲章をつけて、前衛芸術家ならではの迫力でしたね。
さて、草間弥生のみならず、創作者として生き続けている、おばあ様たちが大好きです。なんといっても、103歳、美術家の篠田桃紅。この方の本、とても売れているそうですが、その言葉は毅然としてて、究極の「1人」いる姿だな、と感心します。甘えがない。この「私は私」は、現在蔓延している「空気をよむ」の対極にあります。学生のころ、映画監督、篠田正浩さんの従姉ということから知ったのが始まりでした。1人でたつ、大きな芸術の母です。
で、なぜタイトルのファッション誌『装苑』かというと、今年になってからなんとなく、表紙がお洒落で、定期購読を始めたのですが、これがあたりでした。『装苑』は、若者対象のやや尖ったファッション雑誌ですが、誌面のヴィジュアルデザインもさることながら、内容のセレクトの仕方が、アバンギャルドなにおいが、全体にあり、きれいなものと尖ったもののバランス感覚がよくて、思わず、見てしまいます。そうそう、小さいころ、服を作っていた母の近くに、『装苑』がありました。洋服の「型紙」(昔の言い方ですねえ…)があるのも、この雑誌の特徴で、うーん、作ってみたいなあ、そんなパターンが掲載されています。
毎回の連載の一つに、デザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッドの活動の紹介があります。彼女はイギリスのデザイナーで75歳のキュートで反骨精神のあるおばあ様。百貨店でそのブランドをよく見かけるので、知っておられる方も多いでしょうね。さすがは大英帝国の迫力とエレガンス、そこに、ロックな反逆の精神も見られる、知的で行動的なデザイナーです。今月号は、『装苑』80周年ということで、このヴィヴィアンの言葉に、デザイナー、ポールスミス(こちろらは70歳)そして、一番「わぁ!」と嬉しかったのは、表紙が、イラストレーターの宇野亜喜良!寺山修司の演劇実験室「天井桟敷」の舞台美術で私には印象的なイラストレーター。宇野さんは82歳!皆さん、若者ファッション誌『装苑』に、ものすごくぴったりなんです。芸術は世代を超える!
私の短歌の師、歌人、前登志夫は82歳でなくなりましたが、前先生にも、これら芸術家と同じ匂いがします。伝統と前衛と保守と反逆が混沌とある…そこから照らされる世界の豊暁なこと!…前先生の話はまた時間をかけてするとして…。
『装苑』の話を。今月の80周年の企画で、ヴィヴィアン・ウエストウッドはこんなことを書いています。「自分の感覚は自分で磨くことができます。本を読んでアートを学んで、そして興味のあることに取り組んで、自分のあるものを磨いていくことによって、本物の文化を生み出すことができるのですから。(中略)一着の服のデザインも、100を越える決断をしながら形つくられていきます。デザインとは存在するのに正当な理由がなければなりません。それができなければ、世界はその服を必要としないのです。」
そして、もうお一方のポール・スミス。こちらも有名なイギリスのデザイナー。ポール・スミスを着ている人も多いですよね。実は今年、全国でポール・スミス展が。関西では、京都国立近代美術館で6~7月に行われました。私はそれを知らなくて、ある日主人が、京都に行くことがあり「ポール・スミス展は面白かった。」。もう最終にかかっていて、私は行けず…無念でしたが、とにかく若い方が多く、自由に写真を撮ることができるので、大変盛り上がっていたとのこと。
そんな70、80代の芸術家、デザイナーの創作が、美や世界の成り立ちを、教えてくれます。翁、媼のパワーでございます。年月を重ねて、変わらないものと、成熟していくものを大事に持ちながら、年をとることの素敵を見せてくださる皆さんに拍手!と、そんな感性を知らせてくれる『装苑』にも拍手。
最後に、この『装苑80周年記念号』の「ART」に取り上げられていたのが、クリスチャン・ボルタンスキー!彼は、空間そのものを作品にする、それでいて祈るような、懐かしいような、死がそこにあるような、作品なんですが、東京都庭園美術館で開催中の展覧会の紹介がされてました。彼の展覧会を25年前に見てから、その名前だけは頭にあって、時々、その時のインスタレーションの写真を見たりしていましたが…うーん、関西ではしないのかな…。奈良でしてほしい!!懐かしい名前をカムバックしてくれた『装苑』は、時代のラインと物を創ることへの意欲に満ちた雑誌です。皆さん、是非、ご覧ください。
『装苑12月号』 宇野亜喜良さんの表紙
さて、草間弥生のみならず、創作者として生き続けている、おばあ様たちが大好きです。なんといっても、103歳、美術家の篠田桃紅。この方の本、とても売れているそうですが、その言葉は毅然としてて、究極の「1人」いる姿だな、と感心します。甘えがない。この「私は私」は、現在蔓延している「空気をよむ」の対極にあります。学生のころ、映画監督、篠田正浩さんの従姉ということから知ったのが始まりでした。1人でたつ、大きな芸術の母です。
で、なぜタイトルのファッション誌『装苑』かというと、今年になってからなんとなく、表紙がお洒落で、定期購読を始めたのですが、これがあたりでした。『装苑』は、若者対象のやや尖ったファッション雑誌ですが、誌面のヴィジュアルデザインもさることながら、内容のセレクトの仕方が、アバンギャルドなにおいが、全体にあり、きれいなものと尖ったもののバランス感覚がよくて、思わず、見てしまいます。そうそう、小さいころ、服を作っていた母の近くに、『装苑』がありました。洋服の「型紙」(昔の言い方ですねえ…)があるのも、この雑誌の特徴で、うーん、作ってみたいなあ、そんなパターンが掲載されています。
毎回の連載の一つに、デザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッドの活動の紹介があります。彼女はイギリスのデザイナーで75歳のキュートで反骨精神のあるおばあ様。百貨店でそのブランドをよく見かけるので、知っておられる方も多いでしょうね。さすがは大英帝国の迫力とエレガンス、そこに、ロックな反逆の精神も見られる、知的で行動的なデザイナーです。今月号は、『装苑』80周年ということで、このヴィヴィアンの言葉に、デザイナー、ポールスミス(こちろらは70歳)そして、一番「わぁ!」と嬉しかったのは、表紙が、イラストレーターの宇野亜喜良!寺山修司の演劇実験室「天井桟敷」の舞台美術で私には印象的なイラストレーター。宇野さんは82歳!皆さん、若者ファッション誌『装苑』に、ものすごくぴったりなんです。芸術は世代を超える!
私の短歌の師、歌人、前登志夫は82歳でなくなりましたが、前先生にも、これら芸術家と同じ匂いがします。伝統と前衛と保守と反逆が混沌とある…そこから照らされる世界の豊暁なこと!…前先生の話はまた時間をかけてするとして…。
『装苑』の話を。今月の80周年の企画で、ヴィヴィアン・ウエストウッドはこんなことを書いています。「自分の感覚は自分で磨くことができます。本を読んでアートを学んで、そして興味のあることに取り組んで、自分のあるものを磨いていくことによって、本物の文化を生み出すことができるのですから。(中略)一着の服のデザインも、100を越える決断をしながら形つくられていきます。デザインとは存在するのに正当な理由がなければなりません。それができなければ、世界はその服を必要としないのです。」
そして、もうお一方のポール・スミス。こちらも有名なイギリスのデザイナー。ポール・スミスを着ている人も多いですよね。実は今年、全国でポール・スミス展が。関西では、京都国立近代美術館で6~7月に行われました。私はそれを知らなくて、ある日主人が、京都に行くことがあり「ポール・スミス展は面白かった。」。もう最終にかかっていて、私は行けず…無念でしたが、とにかく若い方が多く、自由に写真を撮ることができるので、大変盛り上がっていたとのこと。
そんな70、80代の芸術家、デザイナーの創作が、美や世界の成り立ちを、教えてくれます。翁、媼のパワーでございます。年月を重ねて、変わらないものと、成熟していくものを大事に持ちながら、年をとることの素敵を見せてくださる皆さんに拍手!と、そんな感性を知らせてくれる『装苑』にも拍手。
最後に、この『装苑80周年記念号』の「ART」に取り上げられていたのが、クリスチャン・ボルタンスキー!彼は、空間そのものを作品にする、それでいて祈るような、懐かしいような、死がそこにあるような、作品なんですが、東京都庭園美術館で開催中の展覧会の紹介がされてました。彼の展覧会を25年前に見てから、その名前だけは頭にあって、時々、その時のインスタレーションの写真を見たりしていましたが…うーん、関西ではしないのかな…。奈良でしてほしい!!懐かしい名前をカムバックしてくれた『装苑』は、時代のラインと物を創ることへの意欲に満ちた雑誌です。皆さん、是非、ご覧ください。
『装苑12月号』 宇野亜喜良さんの表紙