ことのはのはね~奈良町から

演劇、アート、短歌他、町家での出会いまで、日々を綴ります。

小町座公演1週間前

2017-07-14 | 小町座
7月22日のならまちセンターホール公演まで1週間…。第2部の一人芝居の稽古をしました。母親たちに、よくこんな大変なことをさせるなあ、と書いてから思います。演じる本人のレベルはおいといて、こう書いた方がより人物の深さがでる、ということを、今の段階でする?!というようなことをしてしまいました。
一週間前にホール稽古をした時、現代の母の一人芝居で「うーん」と思い、書き直すことにしました。演じるのは、今回ホール初めて、しかも本格的な芝居は初めてというMさん。小町座三年目のママさんです。彼女は技術的なことは、まだまだですが、セリフの核心というか、こうしてほしいというニュアンスを大変よく理解できる人。ただ、それが表現に追いつくかというと、課題は多いのですが…。これまで覚えたセリフを変えて書き直す、と告げた時、驚いたものの、しかし彼女は書きかえたところをすぐに覚え、稽古にそなえてくれました。日々の暮らし、家のこと、仕事いろんなこと含めての彼女の努力…。そのぎりぎりのところが、逆に芝居に向かわせるのかもしれません。
本人は自分がまだまだ出来ないということを一番わかりながらも、書き換えたところ、最後のシーン、母が「尾」を持つ?!のですが、そこのところの悲しみをなんとか出そうと頑張っています。本当に、彼女のレベルでありえないような課題をドーンと与えています。けれど、このドーンに、ひるまない、というより、「やるしかない」と覚悟を決めて立ち向かうのは、「母」ならではの力のような気がします。彼女のお子さんが、今までセリフもそんなに言ったことのないのに、今回一人芝居と知って、凄くびっくりしたと聞きました。…確かに…心配だろうなあと…。でも、大丈夫!いつも小町座のキャストにいうのは、どんなに稽古の時に私がうるさく細かく言っても、舞台ではそのせりふは、もう私の元から完全に離れて、あなたのところにある。なので、私にはどうにもできない、だからどうぞ、あなたが言いたいようにやって、自由に。…と言いながら、終わってからダメだし?と、話したりしてます。作者としては、あなたに託したこのセリフをどうぞ、自信をもって、のびのびと舞台に上げてください、本当にそんな気持ちです。三人の母たち、それぞれの一人芝居への挑戦を、お客様、どうぞ、はらはら?どきどき、見ていただきながら、今後につながる厳しい感想も、是非、お願いしたいと思います。

小町座 6月最後の稽古

2017-06-29 | 小町座
7月22日、ならまちセンターでのホール公演、6月は本日、最後の稽古です。第2部の稽古をしました。今回、第2部には、芝居の骨格に、歌人、前登志夫先生の歌を使わせていただいています。
「たましひは尾にこもるかな草靡(なび)く青草原に夕日しづめる」
が核となる歌です。この歌を、写真家で元お笑い芸人のピン前川さんが声にします。
宮中の歌会始めの披講など、年に一度テレビで聞きながら、長く母音を残す読みに「へえ」と思ったりしますが、舞台でとなると、こうした古風な読みともまた違います。今回、時代ごとの母親の一人芝居のため、歌を父の視点におきました。父は登場しないけれど、「歌」で母を見つめる、そんな構造です。この構造がいかされるような演出に、果たしてなっているのかどうか…。いろいろ考えます。
その「父」ですが、生身の父でない、時間を超越した、人というより時間の象徴が「父」なので、表現が難しい。ピン前川さんはとてもいい声をしていますが、こういった舞台は初めて。歌の中味にも心を寄せなければならない、かといって、心を寄せすぎると「人」になるのでそれではダメ。時間を超越した「歴史」の証言者としての「父」の声って、どんなでしょうね。「わたくしをなくし、まっさらによむ」…こんな読みを聞いてみたい…。ピン前川さん、頑張ってください。
さて、第2部の芝居は、一人芝居。今回、効果音も多用しますが、この効果音とのタイミングをあわせるのが中々、難しい。鳥の声、羽ばたきにどう反応するか、目に見えない人が走ってきてそれを阻止するのに、どうしたら大きく見せられるか…。小町座の面々、音を聞きながらの繰り返し稽古になることでしょう。来週はホールにたてるので、どうなりますか…。
皆様には、まだまだ、チケットございますので、どうぞおいで下さいませ!



小町座「お、あるひとへ」稽古から①

2017-06-01 | 小町座
今回の公演は第1部、第2部と2本、お芝居を見ていただける、お得?!な舞台ですが…。第2部は、チャレンジ?!企画ともいえる、短い一人芝居が3本続きます。小町座のメンバーが一人ずつ、舞台をしきるのです。私は戯曲賞をいただいたことから演劇に関わったので、本当に書くことは好きというか、日常の一部というか、苦になりません。イメージを持ったら、だーーっと知らないうちに書けている、そんな感じなのです。「仕事」としてラジオドラマなど書く時は、かなり自分から「ひいて」、距離をとって書きます。「商品」として形になっているかどうか、ということです。でも、小町座の演劇は、もう自分の世界全開で…だから演技にも厳しくなります。
さて、今回の一人芝居3本、ようやく本日、全て演技をつけました。一人で舞台を背負うので、本当に大変、しかも、私がとてもうるさく、細かい。小町座のメンバーは私の早い指示についていくのが必死です。今日は、戦争中の母をざっと芝居をつけたのですが、いつも口うるさく言うのは、「必然」ということ。こういう気持ちがあるからこそ、次の動きが出て、その動きの間だから、次はこうなる、といった感じ。例えば、言われたことに「え?」と思う時、それは相手によっても、対象との距離によっても、体が思わず動くか、動かないか、「え?」と言ってから、次にどれだけ「ま」をとるかで、人間関係がわかったりもする…となると、その人の感性からの役作りはあるとしても、そもそも、どういった人物に仕上げるか、そこは演出の醍醐味になります。特に私は自分で本を書くから、おかしな読みをしたら「ちょっとそれは違うでしょう。」とまあ、わがままになってしまうわけで…。でも、それは、こう言った方がわかる、面白いというイメージがあり、それに近づいてくれると、ほぼ、間違いはない…。このことは、小町座のメンバーはよくわかっていて、いつも言ってくれるのは、自分たちだけで読んでいると、ある種の「パターン」読みになってしまうが、演出がはいると、全く違う人物になる、と言ってくれます。(そうでなければ、私の役目もないですしね。)
ただ、演技をつけると、ほとんど私自身も芝居をしている感じになり、この年になると、かなり疲れます…。書くことは一生できても、このやり方では中々、体力が続かないでしょうねえ…。
以前、テレビで見た蜷川幸雄さんの稽古風景も、絶えず、叫んでおられました。そんな御大と比ぶるべくもないけれど、その叫ぶ気持ちはわかります、なんだか、もうそうなるんです。力が抜けない…。演劇が好きなんですね、だからもう真剣になってしまう…。
今日、小町座のメンバーに伝えたことは「あなたの声を知って出しなさい」ということ。「あなたが、あなたの声で舞台に立ってもらわなければ困る」。
それは、変わりがきかないということ。日々の暮らしの中で、変わりのきかない「母親」という役目を果たしながら、演じることから「変わりのきかない」自分をさがす…。四十代の出演者が、母にもおばあさんにも子どもにもなります。その暮らしの「リアリティ」に私は胸をうたれています。


小町座、五年ぶりのホール公演です!

2017-05-29 | 小町座
以下、公演の告知を!「尾」をモチーフに書き下ろしました。第1部はきつね?!をモチーフのファンタジードラマ、第2部は、短歌の師、前登志夫の歌でつなぐ、三人の母のドラマ。現在、小町座稽古中!皆様、ご予定くださいね。

最新公演情報!7/22(土)2時~ならまちセンター市民ホールで小町座演劇公演、「お、あるひとへ」開催!

小町座第15回企画「お、あるひとへ」(奈良県新たな文化活動チャレンジ採択事業)
第1部 きつねものがたり/第2部 「父のうた 母のうた」

奈良の母親劇団「小町座」旗揚げから10年、5年ぶりのホール公演開催!

第1部は、キツネか人か、「尾」を持つ末の妹とその姉たち、三姉妹の小町座ファンタジー。「尾」に込められた喜びと悲しみとは?

第2部は、過去、現在、未来の母たちの三本の一人芝居。現代アート作品を取り入れた舞台美術(林和音、岡田一郎)に、日本を代表する歌人、前登志夫の短歌が劇空間をつなぎ、不思議な時空を越えた舞台空間が出現、乞うご期待!

前売り 2000円、大学生まで1000円(当日各500円UP)  後援  奈良県・奈良市 
チケット予約問いあわせは、http://komachi-office.saloon.jp/ 小野小町事務所の問いあわせホームからどうぞ。












小町座 放課後子ども教室

2017-03-12 | 小町座
3/11、地元の椿井小学校で、今年度最後の、放課後子ども教室「ことばであそぼう」がありました。放課後子ども教室は、地元の方が講師になって子どもたちと関わる、文科省が推進している事業の一つで、小町座は、4年前から関わっています。
小町座の西村さんが、この教室のいろんな企画をたててくれています。毎年、最後の会はお楽しみ会ということで、小町座のミニお芝居の鑑賞と、子どもたちの朗読を収録した「わたしのわ」を聞き、子どもたちが考え作った、カルタで遊ぶという盛りたくさんな内容でした。
まず、小町座のミニお芝居は、私の作、演出の「学校へ行こう」。わがままで学校へ行きたくない、まーちゃんのところに、学校に行きたいが家の手伝いで学校に行けない、貧しい明治の子ども、クマがやってくる。布団の中から、着物を着た明治の子(小町座の役者はもちろんママ!ですが)が出てきた時、子どもたちは一瞬びっくり、ざわっとしました。こういう反応はとても嬉しい。最後は悲しい話なのですが…。以下が子どもたちの書いてくれた劇の感想です。

「学校に行きたい」は、むかしの人が大変だから学校に行けるのはすごいということがわかりました。来年もお芝居見せてください。」
「劇はとてもおもしろかった、なかでもまーちゃんがおもしろかったです。」
「まーちゃん、どんだけめんどくさいの?冬ねむいけどおきなきゃいけないじゃん!!」
「わたしもさむいときは、ふとんにもぐりこんでおきないときがあります。」
「なまえが、クマ、カメ。トラという名まえがおもしろかったです。またやってください。」
「今日はとてもおもしろいげきをみせてもらいありがとうございました。れきしの勉強にもなりました。」
「学校にまーちゃんが行っておかあさんはうれしい、いいこととおもいました。」
「おしばいを考えるのはすごいおしごとと思います。マーちゃんの気もちもわかります。(わたしも)とうみんしたいです。」
「げきはめっちゃくちゃおもしろかったです。おもしろかったところは、名まえが、クマとトラとカメがおもしろかったです。またきてください。」
「「学校に行きたい」や「もちもちの木」やいろんなことをやってくれました。みんなを楽しませてくれたりありがとうございます。」

本当に、子どもたちの言葉は、劇作家冥利?!につきますが、今回の芝居は、小町座の稽古の中でも、中々、充実したものでした。たった15分の芝居の中に、いろんな感情があります。(出演者奮闘?!の稽古の様子は小町座フェイスブックをどうぞ。https://www.facebook.com/komachiza/)

ミニ芝居鑑賞の後は、これも私の書いた朗読詩「わたしのわ」を子どもたちの声を収録、西村さんがオーディオ作品に仕上げました。三つの班がそれぞれ読んだのですが、収録するのは一苦労。マイクを前に盛り上がる子、真面目になる子…。けれど、YouTubeにあげるから!の声に、みな、収録モードになるあたりは、現代の子だなとおかしくなりました。そのみんなの熱演、YouTubeで見られます。「わたしのわ」https://www.youtube.com/watch?v=ynHH4eF4saQ&t=18s
子どもたちの作ったカルタも見られますよ。

自分の子どもはとおに小学校を卒業しましたが、こうして今も子どもの近くで、言葉と芝居に関われるのは、有り難いことです。

「わたしのわ」  おの・こまち