ことのはのはね~奈良町から

演劇、アート、短歌他、町家での出会いまで、日々を綴ります。

「おにはうちものがたり」公演を終えて

2019-02-13 | 演劇
2/10、無事終了しました。開演1時間前には、え?並んでいる?!ロビー外の階段にお客様が階下まで並んでいました。二月は八月と並び、イベントにとっては、「入らない」月。それが、開けてみればホールは満員で…皆様、ありがとうございました。アンケートに、テレビを見てという方もおられ、NHKの放送も大きかったり、皆さんの草の根のお声かけや、いろんな相乗効果があったのでしょう。初めての方も多かったように思います。これを機会に是非、地元のオリジナル劇、また見たいと思って下されば、嬉しいです。
キャストの皆さん、熱演しました。稽古回数が限られていた中で、今できることはされた、そんな芝居だったと思います。気持ちが揃っていました。舞台に良い空気が流れていました。照明、音響、美術、衣装…その支えも十分受けての舞台でした。制作トークからもそれがわかったのではと思います。舞台半ば、雷の子が「元興寺へ。」というシーンがあります。このシーンに舞台美術となる吊り物が降りてきます。とワークショップで、たかはしなつきさんが用意した染料で皆さんが染めて下さり、それを加工して作った「屋根」のモチーフです。これが成功するかどうかが、舞台の要でした。元興寺の古代瓦は有名ですが、私はこの古代瓦の色、煉瓦のようなオレンジ色がとても好きです。それが今回、染めの色にまさに重なりました。また照明によって布は変化し、悪霊とガコゼの戦いのシーンでは、恐ろしい色に染まりました。
効果音も、鬼の吠える声などなかなか、雰囲気があり、これも参加して作った皆さんの声も入っているのですが、こうした全体の手触り感が、今回の舞台を形づくっていました。
短歌仲間のNさんがラストのシーンを見て「前先生(歌の師の歌人、前登志夫)を感じた。」と感想をくれました。ラストシーン、幼いころ、山に迷った祖母を助けてくれた少年(鬼?)の話をしてこの劇は終わります。まさに私の中では、ラストシーンは、前登志夫先生へのオマージュでした。山の鬼として手を振ってくれている、我が師のイメージを、まま、舞台にあげた…といえます。前登志夫は、歌の鬼、山の鬼を背負った歌人ですから。
一方、奈良町の鬼、ガゴゼも本当に魅力的です。その怒った形相を、今回あえて舞台にはあげませんでしたが、あの顔から感じることを、また書きたいなと思います。異形者の力の可能性、それが奈良町にあるということ、本当に面白い!です。
またこうしたイベントができましたら。皆様、今後ともよろしくお願いします。


「おにはうち」で呼ばれた鬼たち勢揃い。


ガコゼと悪霊、まもなく対決!


ラスト、山へ向かって祖母はモノローグを。