ことのはのはね~奈良町から

演劇、アート、短歌他、町家での出会いまで、日々を綴ります。

奈良町にぎわいの家~一刀彫の名人「森川杜園企画」第8回 朗読と展示 

2022-06-15 | にぎわいの家・奈良関連
奈良市の文化観光施設、奈良町にぎわいの家の開館は2015年。当時「奈良町」と聞いて、誰の顔を思い浮かべるかと考えました。たまたま、当館の二軒隣に、幕末から明治に活躍した、一刀彫の名人、森川杜園が住んでいたと聞き、調べてみると、これが面白い!既に、当ブログで書いてますが、大津昌昭著「芸三職森川杜園」に出会ったことは、本当に幸いでした。「芸三職」というのがすごくて、演劇に関わる私には、杜園が狂言師として、興福寺の薪御能はじめ、茂山千作との舞台など、弟子を抱えて舞台をこなしていたということにびっくり。彫刻、絵、役者、つまり三職、三つの仕事をしていた杜園。奈良町にそんな人がいたなんて、つくづく嬉しいです。
で、杜園企画の8回目は…6月生まれの杜園にちなみ、6月を「森川杜園月間」と銘打ちました。作品展をしながら、その作品を前に、毎週土曜日に朗読を3回、しかも演目が違うという…大変な試みです。朗読は私が指導する「言の葉の羽」。これまで、何度も朗読劇に関わってくれたメンバーで立ち上げました。とはいえ、毎週、演目が違うので、読む方は大変です。①絵師となるまでの十代の杜園。②一刀彫の道に進み名人となる杜園。③明治になってから晩年まで。とりあえず、先週、①が終わりました。
毎回、読みながら、大津先生の本の「台詞」が素晴らしく、テキストが素晴らしいと、自ずから気持ちが入り、深いところまで連れていってくれると、感じています。良い本は深い心を作ってくれると、声にすると余計に思います。登場人物は男性がほとんどで、出演は皆、女性なのですが、無理なく自分の出しやすい声に近いところで、演じます。おかげで、とても手応えのある朗読会になりました。終わってから、出演者に「杜園さんが奈良奉行に名と号をもらうあたりは、涙が出そうでした。」と感想をくれました。読み手にとって、なんとも嬉しい言葉です。
さて…先週の第1回目の朗読会は、読み手が一人、出演できず、私が?!読むとなりました…。いつもはえらそうに演出してますが、そちらと出演の能力とは全く別ものです。が、劇場でない、町家でもあり、なんとかなったようです。こんなこと二度とないから?!小野小町出演、最初で最後のシーンでお得だった?!…そんなわけはないので、2回目はいつものメンバーが揃うことを祈って。
6/26まで座敷に杜園と関連作品がを展示します。朗読は、土曜日の2時から、出入り自由、無料。
お近くに来られたら、是非、お越しください。



 大津昌昭先生
 朗読中。