あまり一人で出かけることがないのですが、昨年、奈良町にぎわいの家で展示をされた、大和絣の作家、亀山知彦さんの作品が、日本伝統工芸近畿展に入選され、招待券をいただいたので、京都の高島屋へ。
亀山さんの「雪片」と名付けられた大和絣は、展覧会全体、華やかな作品も多いのですが、その中でも私は、別の輝きをはなっていると感じました。「雪」のはかなさが模様や色にあり、しかも、とけるまでの一瞬の時間を丁寧に表現されているような…そんな印象を受けました。
今後とも、伝統の織にご自身の美意識を反映されて、益々、良い作品を作られることを祈っています。
さて、そもそも、河原町と聞くだけで「こんでいる…。」と頭から思って、もうずっと河原町へ行ってませんでした。ただ、とても懐かしい場所で、京都に伯父や伯母がいたので、子どもの頃は高島屋の屋上に連れていってもらったり、レストランで食べたり、いわゆる「昭和の子ども」で百貨店が大好きでした。それに河原町通りに「京都書院」があって、学生の時は必ず「不思議な変な本」はここでゲット!80年代の演劇やアート、哲学書、いっぱいありました。今はそういう文化の場所というよりは、グローバル経済の代表的なブランドが軒を連ねているような…。
ところで、その日曜日の目的は、高島屋の展覧会でしたが、思わぬところでいろいろ楽しい休日になりました。
①電車のお嬢さん二人
演劇に関わっていると、「人」を見てしまう、というか、昔の写真の日本人が笑っている顔とかに会いたいな、などいつも思っているのですが、たまたま、一人の高校生か大学生のお嬢さんが、電車に一人乗ってきました。なぜ、目をひいたかというと、履いているadidasのスニーカーが、私と同じだったからです。そのスニーカーは、私は買ったまま、まだ履いていない、薄いピンクのものですが、それがその人にとても良く似合ってました。
長いシャツに短いキュロットに素足が長く伸びて、化粧はせず、目の輪郭だけきれいにかいてました。とても春らしくて、いいなぁと見ていたら、途中の駅で友達が乗って来ました。そして、二人で話をしていました。
乗ってきた友達もすっぴんで、サロペットに白のニューバランスのスニーカーがよく似合ってました。何より私が見てしまったのは、彼女がずっと笑顔だったこと。なんというか、おかしくて笑う、というのでなく、そこはかとなく、ずっと笑顔なんです。きっと何を話しても楽しいんだろうな、そういう時があったな、とも思いましたが、何しろ、普通の話でも、ほんのり笑顔が続き、それはおそらく、日々そんな顔なんだろうなと思うと、なんかいいなあ、こういうタイプの顔は、中々、いないなあ…と見とれていました。ファッションも笑顔も、いたって普通で何か突出してるわけでない、普段着の「春」の二人のお嬢さんが、楽しい時間を過ごしている…。いいものを見たなあと、これを思い出すたびにほんわかとなります。
②お昼ごはんのお蕎麦
奈良でもそうですが、円安もあるのか、外食の値段が跳ね上がっています。河原町でランチとなると…と覚悟してましたが、昔「田ごと」のお蕎麦が好きで、母とにしん蕎麦を食べたのが思い出ですが、なんかそんなの食べたいなあ…と思っていたら、烏丸駅の方へ四条通り歩いていた時、1000円で食べられるきつね蕎麦と五目御飯のセットのメニューをみつけ、店に入るべく地下に降りていくと…広い!しかも、すいている!ということで、
早速注文しいただきました。嬉しかったのが、小鉢の「大根のたいたん」。しっかり煮含められていて、歯ごたえもあり…。それから、お蕎麦の御出汁も私にナイス!また絶対来ます。
③京都文化博物館別館 クラウディア・アンドゥハル「ヤノマミ」展→
何か展示があるでしょうとリサーチもなく入ったら、アマゾンの先住民の「ヤマノミ族」の写真と映像展があり、これがとてもよくて…何気に入ってこういうのに巡り合うとテンション上がります。
この展示は「京都国際写真展」の一環で、写真家のクラウディア・アンドゥハル「ヤノマミ」展です。今年で93歳の作家は、第二次大戦時にユダヤ系の父親がジェノサイドにあった背景を持ちます。ブラジルに住むようになってから、先住民の権利と住む地域を守る活動家としても著名ということで
今回、たまたまこの展示からこの作家を知ることができて、すごく良かった!と思いました。
映像は、「ヤノマニ族」のシャーマン、ダビ・コペナワとの出会いや会話、その一族との映像です。「精霊」たちを怖れ、敬い、共に暮らす中で培われた、ダビさんの言葉は…奈良の誇る、短歌の師、前登志夫と重なるところがあります。ユーモアたっぷりなところもね。
ダビさんと別れる前に、クラウディアは皆で記念写真のようにカメラに向かうのですが、クラウディアも一緒にとるのですが、ダビさんの手をにぎって、その手にいっぱいキスをすると「チッ、チッ」と音がするくらい、キスするんですが、するとダビさんが「(手)汚いのに。」と笑います。
このシーンは一緒に鑑賞している私の隣の人もくすっと笑っていました。そんな微笑ましいシーンであると共に、おそらく、高齢のクラウディアさんは、この時も車イスでの訪問でしたが、もしかすると、もう会えないのではという予感を、お互い感じているかのようにも見えました。
なので、ダビさんの手にした「キス」は、胸に詰まりました。
この映像を見た後に、写真作品を見ると、中々、理解が深まりました。アマゾンのにおいと吉野の山は違うけれども「森」の文化の中で生まれる精霊たちの「歌」の魂は何か通じているのです。前登志夫は短歌の世界だけでなく、こういう世界につながる特別な歌人です。と、先生の話でオチをつけてしまいました…。
④高倉通り
学生のころ、新京極、寺町京極、うろうろしていましたが、文化博物館の道中の高倉通り、楽しかったです。高倉小学校では少年野球の練習が、それからいろいろとお洒落な店もあるけれど、個人のお店なのですが、敷居が高くなく、値段も手ごろで、ショートケーキとコーヒーのセットが1000円なら、いい感じですよね。間口が狭く奥行きが深い喫茶は、メニューを出す前に「ようこそ、お越しくださいました」と声かけが。この一言もなんだか嬉しいですね。ただ、このあたりのマンション、高いだろうなあ…など、自分には関係ないのに気になったり。町中の小学校がしかし、残っていることはとてもほっとしました。
というわけで、日曜の一日でした。またなんとなく出かけて、なんとなく良い時間が過ごせたらなあ…と思っています。
亀山さんの「雪片」と名付けられた大和絣は、展覧会全体、華やかな作品も多いのですが、その中でも私は、別の輝きをはなっていると感じました。「雪」のはかなさが模様や色にあり、しかも、とけるまでの一瞬の時間を丁寧に表現されているような…そんな印象を受けました。
今後とも、伝統の織にご自身の美意識を反映されて、益々、良い作品を作られることを祈っています。
さて、そもそも、河原町と聞くだけで「こんでいる…。」と頭から思って、もうずっと河原町へ行ってませんでした。ただ、とても懐かしい場所で、京都に伯父や伯母がいたので、子どもの頃は高島屋の屋上に連れていってもらったり、レストランで食べたり、いわゆる「昭和の子ども」で百貨店が大好きでした。それに河原町通りに「京都書院」があって、学生の時は必ず「不思議な変な本」はここでゲット!80年代の演劇やアート、哲学書、いっぱいありました。今はそういう文化の場所というよりは、グローバル経済の代表的なブランドが軒を連ねているような…。
ところで、その日曜日の目的は、高島屋の展覧会でしたが、思わぬところでいろいろ楽しい休日になりました。
①電車のお嬢さん二人
演劇に関わっていると、「人」を見てしまう、というか、昔の写真の日本人が笑っている顔とかに会いたいな、などいつも思っているのですが、たまたま、一人の高校生か大学生のお嬢さんが、電車に一人乗ってきました。なぜ、目をひいたかというと、履いているadidasのスニーカーが、私と同じだったからです。そのスニーカーは、私は買ったまま、まだ履いていない、薄いピンクのものですが、それがその人にとても良く似合ってました。
長いシャツに短いキュロットに素足が長く伸びて、化粧はせず、目の輪郭だけきれいにかいてました。とても春らしくて、いいなぁと見ていたら、途中の駅で友達が乗って来ました。そして、二人で話をしていました。
乗ってきた友達もすっぴんで、サロペットに白のニューバランスのスニーカーがよく似合ってました。何より私が見てしまったのは、彼女がずっと笑顔だったこと。なんというか、おかしくて笑う、というのでなく、そこはかとなく、ずっと笑顔なんです。きっと何を話しても楽しいんだろうな、そういう時があったな、とも思いましたが、何しろ、普通の話でも、ほんのり笑顔が続き、それはおそらく、日々そんな顔なんだろうなと思うと、なんかいいなあ、こういうタイプの顔は、中々、いないなあ…と見とれていました。ファッションも笑顔も、いたって普通で何か突出してるわけでない、普段着の「春」の二人のお嬢さんが、楽しい時間を過ごしている…。いいものを見たなあと、これを思い出すたびにほんわかとなります。
②お昼ごはんのお蕎麦
奈良でもそうですが、円安もあるのか、外食の値段が跳ね上がっています。河原町でランチとなると…と覚悟してましたが、昔「田ごと」のお蕎麦が好きで、母とにしん蕎麦を食べたのが思い出ですが、なんかそんなの食べたいなあ…と思っていたら、烏丸駅の方へ四条通り歩いていた時、1000円で食べられるきつね蕎麦と五目御飯のセットのメニューをみつけ、店に入るべく地下に降りていくと…広い!しかも、すいている!ということで、
早速注文しいただきました。嬉しかったのが、小鉢の「大根のたいたん」。しっかり煮含められていて、歯ごたえもあり…。それから、お蕎麦の御出汁も私にナイス!また絶対来ます。
③京都文化博物館別館 クラウディア・アンドゥハル「ヤノマミ」展→
何か展示があるでしょうとリサーチもなく入ったら、アマゾンの先住民の「ヤマノミ族」の写真と映像展があり、これがとてもよくて…何気に入ってこういうのに巡り合うとテンション上がります。
この展示は「京都国際写真展」の一環で、写真家のクラウディア・アンドゥハル「ヤノマミ」展です。今年で93歳の作家は、第二次大戦時にユダヤ系の父親がジェノサイドにあった背景を持ちます。ブラジルに住むようになってから、先住民の権利と住む地域を守る活動家としても著名ということで
今回、たまたまこの展示からこの作家を知ることができて、すごく良かった!と思いました。
映像は、「ヤノマニ族」のシャーマン、ダビ・コペナワとの出会いや会話、その一族との映像です。「精霊」たちを怖れ、敬い、共に暮らす中で培われた、ダビさんの言葉は…奈良の誇る、短歌の師、前登志夫と重なるところがあります。ユーモアたっぷりなところもね。
ダビさんと別れる前に、クラウディアは皆で記念写真のようにカメラに向かうのですが、クラウディアも一緒にとるのですが、ダビさんの手をにぎって、その手にいっぱいキスをすると「チッ、チッ」と音がするくらい、キスするんですが、するとダビさんが「(手)汚いのに。」と笑います。
このシーンは一緒に鑑賞している私の隣の人もくすっと笑っていました。そんな微笑ましいシーンであると共に、おそらく、高齢のクラウディアさんは、この時も車イスでの訪問でしたが、もしかすると、もう会えないのではという予感を、お互い感じているかのようにも見えました。
なので、ダビさんの手にした「キス」は、胸に詰まりました。
この映像を見た後に、写真作品を見ると、中々、理解が深まりました。アマゾンのにおいと吉野の山は違うけれども「森」の文化の中で生まれる精霊たちの「歌」の魂は何か通じているのです。前登志夫は短歌の世界だけでなく、こういう世界につながる特別な歌人です。と、先生の話でオチをつけてしまいました…。
④高倉通り
学生のころ、新京極、寺町京極、うろうろしていましたが、文化博物館の道中の高倉通り、楽しかったです。高倉小学校では少年野球の練習が、それからいろいろとお洒落な店もあるけれど、個人のお店なのですが、敷居が高くなく、値段も手ごろで、ショートケーキとコーヒーのセットが1000円なら、いい感じですよね。間口が狭く奥行きが深い喫茶は、メニューを出す前に「ようこそ、お越しくださいました」と声かけが。この一言もなんだか嬉しいですね。ただ、このあたりのマンション、高いだろうなあ…など、自分には関係ないのに気になったり。町中の小学校がしかし、残っていることはとてもほっとしました。
というわけで、日曜の一日でした。またなんとなく出かけて、なんとなく良い時間が過ごせたらなあ…と思っています。