前回の記事の、まさかの後日談。
店舗倉庫の一件の次の日、
私は店長に事務所に呼ばれた。
またシフトを増やして欲しいとの
お願いかしらん。と呑気に向かう。
まだ20代の店長。
しかし
異例のスピード出世しただけあって、
肝っ玉が座りまくっており、おまけに妖艶。
私はその気質と色気に骨ヌキ。すっかり
心から信頼をよせる相手でもある。
(何より美しい。ながめているだけで
私なんぞは癒されるここは是非追記したい)
〇〇さんとやり合ったらしいですね。
美しい黒髪をサッとかきあげながら
店長はいきなりくりだす。
あ。それほどの事ではないですよ。
(ほんとに、あんな中途半端な負け戦)
どうやら、
娘スタッフがあれからおしゃべりの
ネタとして風聴して回ったらしく
店長の耳にも届いたらしい。
まったく。娘よ、
あとで倉庫裏にでも呼び出すことにしよう。
〇〇ちゃんを庇ったらしいじゃないですか。
店長、バンビのような大きな瞳を向ける。
いぇ。庇ったというか、
私が勝手にイラついただけです。
まあ。〇〇ちゃんは、
何かと口が悪い〇〇さんのせいで
辞めようと思ってたけれど、
うみさんがいるなら
頑張ろうかなと言っていたようですので
結果オーライなんですけど。
あ。それは。
責任が重いので勘弁して下さい。
ふふ。うみさんはいつも通りでいいですよ。
店長のピンクな唇から笑みが溢れる。
問題があるのは〇〇さんの方なんです。
確かに今回の言い方はイラつくと思います。
〇〇さんがなんて言ったか
実は覚えてないんですよね
頭の中が沸騰したせいで。
え、そうなの?店長は笑い
内容を教えてくれた。
そんなに酷かったかな、
誇張されている気がするんですけど。
まあ、私も人から聞いた話なんで
少し盛られているかもしれませんが。
チームワークを乱すには充分な内容です。
それで。
と、店長が切り出す。
酷いお願いかもしれませんが、
〇〇さんと今後は
もめないでもらいたいんです。
わぉ。
そうきたか。
私は思わず呟く。
勝手なお願いだとは分かっています。
でも〇〇さんと揉める可能性があるのは
今回のように、
歳が近くて歴が長いうみさんです。
(他のスタッフは大分年下)
〇〇さんの性格とあの言い方は
残念ながら多分治らないでしょう。
だから、柔軟な方のうみさんの方に
お願いするしかないんです。
わーぉ。
私はもう一度呟く。
分かってます。本当にごめんなさい。
店長はその美しいこうべを下げる。
〇〇さんは口が悪いとはいえ、
レジも早いし荷出しも早い
スタッフ不足の今、辞められては困る。
お店を回さなければならない
店長がそう考えるのは分かる。
いぇ、口車に乗った私が悪いですから。
それに私は、
言いたいことも言えない
チキン野郎なんだと
いうことが今回わかりましたんで。
もうしません。
ふふふ。
店長の天使の調べと頬笑み。
それは喧嘩をしたくないって
自然とブレーキがかかったんじゃないん
ですか?
まあ、ポジティブに捉えると。
。。。うまいですね。店長。
ふふふ。店長の長いまつ毛が揺れる。
揺れる揺れる。そして私が酔う笑
いつも。うみさんに負担をかけさせて
すいません。頼りにしてます。
うわぁ。そう締め括られると
なんも言えないなぁ。
この借りは、年末の査定で(時給アップ)
形にしますので。
うわぁ、うまいなぁ。
なんも言えないじゃないですか。
でも今回の件は私が悪いです。
申し訳ありませんでした。
失礼します。
私は事務所から退出しようとすると
うみさん。
店長が呼び止める。
私ってずるいですか?
店長の心情が揺れる。
店長はそれぐらいが丁度いいかと
思います。むしろ。
私は素直に答える。
ふふふ。大好きです。うみさん。
奇遇ですね。私もそうです。
大人な遊びを交わす。
そうして店長はパソコンに向かい
私はレジに向かった。