うみにおふねをうかばせて

四十路 田舎嫁 あれやこれや。

ただのチキン野郎。その2

2020-06-30 13:46:00 | 日記
前回の記事の、まさかの後日談。

店舗倉庫の一件の次の日、
私は店長に事務所に呼ばれた。
またシフトを増やして欲しいとの
お願いかしらん。と呑気に向かう。

まだ20代の店長。

しかし
異例のスピード出世しただけあって、
肝っ玉が座りまくっており、おまけに妖艶。
私はその気質と色気に骨ヌキ。すっかり
心から信頼をよせる相手でもある。
(何より美しい。ながめているだけで
私なんぞは癒されるここは是非追記したい)

〇〇さんとやり合ったらしいですね。

美しい黒髪をサッとかきあげながら
店長はいきなりくりだす。

あ。それほどの事ではないですよ。
(ほんとに、あんな中途半端な負け戦)

どうやら、
娘スタッフがあれからおしゃべりの
ネタとして風聴して回ったらしく
店長の耳にも届いたらしい。
まったく。娘よ、
あとで倉庫裏にでも呼び出すことにしよう。

〇〇ちゃんを庇ったらしいじゃないですか。

店長、バンビのような大きな瞳を向ける。

いぇ。庇ったというか、
私が勝手にイラついただけです。

まあ。〇〇ちゃんは、
何かと口が悪い〇〇さんのせいで
辞めようと思ってたけれど、
うみさんがいるなら
頑張ろうかなと言っていたようですので
結果オーライなんですけど。

あ。それは。
責任が重いので勘弁して下さい。

ふふ。うみさんはいつも通りでいいですよ。

店長のピンクな唇から笑みが溢れる。

問題があるのは〇〇さんの方なんです。
確かに今回の言い方はイラつくと思います。

〇〇さんがなんて言ったか
実は覚えてないんですよね
頭の中が沸騰したせいで。

え、そうなの?店長は笑い
内容を教えてくれた。

そんなに酷かったかな、
誇張されている気がするんですけど。

まあ、私も人から聞いた話なんで
少し盛られているかもしれませんが。
チームワークを乱すには充分な内容です。

それで。
と、店長が切り出す。

酷いお願いかもしれませんが、
〇〇さんと今後は
もめないでもらいたいんです。

わぉ。

そうきたか。
私は思わず呟く。

勝手なお願いだとは分かっています。
でも〇〇さんと揉める可能性があるのは
今回のように、
歳が近くて歴が長いうみさんです。
(他のスタッフは大分年下)
〇〇さんの性格とあの言い方は
残念ながら多分治らないでしょう。
だから、柔軟な方のうみさんの方に
お願いするしかないんです。

わーぉ。

私はもう一度呟く。

分かってます。本当にごめんなさい。

店長はその美しいこうべを下げる。

〇〇さんは口が悪いとはいえ、
レジも早いし荷出しも早い
スタッフ不足の今、辞められては困る。
お店を回さなければならない
店長がそう考えるのは分かる。

いぇ、口車に乗った私が悪いですから。
それに私は、
言いたいことも言えない
チキン野郎なんだと
いうことが今回わかりましたんで。
もうしません。

ふふふ。
店長の天使の調べと頬笑み。

それは喧嘩をしたくないって
自然とブレーキがかかったんじゃないん
ですか?

まあ、ポジティブに捉えると。
。。。うまいですね。店長。

ふふふ。店長の長いまつ毛が揺れる。
揺れる揺れる。そして私が酔う笑

いつも。うみさんに負担をかけさせて
すいません。頼りにしてます。

うわぁ。そう締め括られると
なんも言えないなぁ。

この借りは、年末の査定で(時給アップ)
形にしますので。

うわぁ、うまいなぁ。
なんも言えないじゃないですか。
でも今回の件は私が悪いです。
申し訳ありませんでした。

失礼します。
私は事務所から退出しようとすると

うみさん。

店長が呼び止める。

私ってずるいですか?
店長の心情が揺れる。

店長はそれぐらいが丁度いいかと
思います。むしろ。

私は素直に答える。

ふふふ。大好きです。うみさん。

奇遇ですね。私もそうです。

大人な遊びを交わす。

そうして店長はパソコンに向かい
私はレジに向かった。










だだのチキン野郎。

2020-06-27 13:43:00 | 日記

日頃から
何かと突っかかってくる同僚がいる。
(少し年上)

受け取る私の感触としては、
彼女は私の事が気に入らないのだろうな
と思ってはいる。
(年下の私の方が歴が長い為に何かと
目の上のタンコブな状態のようだから)

嫌いならそれで話しかけてこなければ
いいのに。よせばいいのに、
どうして敢えて話しかけてくるのか。
私は訳がわからない。

挑んでくるあなたは戦士なのですか?
それともこれは
一風変わった愛情表現なのですか?
問いたいところだけど、そんな油、
どっぷりと疲れそうだから言わない。

ああ、それとも
そういう話し方しか出来ない人なのか。
まあその両方だと思うとすごくしっくりくる。

店舗倉庫での雑談タイム。

私は若い娘スタッフと、異国な国の
夢の世界の住人についての話題に
花を咲かせていた。

(彼女は最近知った大人気グループに
興味津々なご様子。)

彼女は、
そのグループの事を熱心に伝え、
一緒に沼に浸りましょうと勧誘し、
私は、
いやいやその程度のプレゼンじゃ
私の心はなびかねぇよ?笑という
一連の遊びに興じていた。

そこに通りかかった例の彼女。
ふふんと笑ってみせてから、
会話に入り混んできた。
そうして、まったくいつも通りの
突っかかる話し方で切りかかってきた。

今回は強烈だったと思う。
なんだか爆弾すぎて衝撃波だけが残り
内容をあまり覚えていないくらい笑

私は愛想程度の苦笑いをした。
でも隣にいた
若いスタッフの傷ついた顔を見たとき、
私の頭が沸騰した。気持ちはすっかり
「私の娘になにしてくれてんの!」である。

そして嗚呼。よせばいいのに
有り余る母性本能が災いして
避けていたリングに片足突っ込んだ。

いやぁ、
ハマればめちゃくちゃ楽しいのに
〇〇さんとこの話が出来ないなんて
めちゃくちゃ残念。

と、私。したら彼女が、

いやー無理。無理。無理。
あんな細くて白くて女みたいな集団、
好きになるなんて。
顔もみーんな整形顔じゃん。みんな一緒。
と答えたから、

(これは彼女の個人的感想でかつ、
そんな話し方しか出来ない方だということで
ご容赦ください)

いやー、マジで、
〇〇さんが思ったことを咀嚼せずに
話しだすことがめちゃくちゃ残念。

と、マスクの下の私の口が勝手に動いた。
私は何を言ってるのだ?馬鹿か?と思った。
その中途半端な返しのせいで
場に微妙な空気が流れた。(ような気がする)
恥ずかしいわ。私は喧嘩のやり方を知らない。

我に返った私は、
さてさて仕事に戻ろうかね。
手押しカートを押して退場する。

〇〇さんの
咀嚼ってなにー?という言葉を背に。

またイラっとする。

いい年して咀嚼もシラねぇのかよ。
後で辞書を開けよ。ついでに
空気を読むという言葉も検索しておけよ
的なことが頭によぎったのだが、
唇を噛んで留まった。私。負けである。
戦意喪失してしまっている。

中途半端なおかげで、
彼女はその後もお変わりなく過ごし、
中途半端なおかげで、
私は消化不良のまま過ごした。

一緒にいた娘スタッフは、
うみさんが喧嘩おっ始めるかと思いました。
耐えてましたね。ありがとうございます。
←何がありがとうございますなんだ?
私には訳がわからない。

消化不良だったので、こうして記している。
文字におこすと中途半端ぶりか鮮やかで
私はがっかりする。

いい年して、
私は喧嘩の仕方を知らない。
いや、いい年して
異論反論オブジェクションが出来ない。

こうして記すだけの、
ただのチキン野郎なのである。








旅の終わりに。

2020-06-26 14:47:00 | 日記
未だに、
髪と心までもしっかりケアしてくれる
ゴットハンドな美容師さんに出会っていない。

否、正確にいうと
この島で未だ出会っていない。

ゴットと認めたその彼女は
遠く離れた懐かしの場所で
今でも確かにハサミをふるっているのだけど、
私がその土地を離れてしまった今、
彼女に触れてもらうことが出来ない。

髪色がすっかり退化してしまった時、
毛先が末広がりに傷んできた時、
私は微かな苛立ちを感じて
そして少し傷ついたような気持ちにも
なる。

だからもうどうでもいいやと
半ば投げやり気味と
それでも少しの希望と共に、
島中の美容室を漂流している。

さて。

また髪が鬱陶しくなってきた。
根元の白髪も目立つ。
人前にでる仕事をしている故、
身なりは最低限整えておかなくてはならない。
私は重い腰をあげる。

早く髪を切れるようになりたいです。
(入店して暫くはまだカットできる
権利を与えてもらえないらしい)
その人に似合っている髪型を提案して
喜んでもらいたいんです。

前回、
カラーをお願いしたお店で
やたら元気よく接客していた
少し小生意気な印象を感じた
若い美容師の言葉をふと思い出す。

今回はそこに行ってみることにしよう。
近いうちにカットも任せてもらえそうだ
と言っていた事だし。

気分は
キャバなお店の御贔屓の女の子が
ある日突然辞めてしまっていて
え、そうなの?じゃあまあ、
前回ヘルプでついてた
新人のこの娘でいいや、とボーイに 
貰った名刺を渡すサラリーマンの気分だ。
(そんな気分だろ?私の中のおじさんよ)

とにかく。予約の電話をして、
指名は誰になさいますか?との問いに
前回カラーをお願いした方でお願いします。
と答える。

店に到着する。
いらっしゃいませ。お久しぶりです。
そう言われても目の前のその子が
あの新人さんなのか記憶が確かではない
私は曖昧な笑顔で勧められた席に座る。

しかし開始数分で、
その小生意気な喋り方で彼女だと確信した。

私は早速切り出す。
ねえ、前回言ったこと覚えてる?
今日はその為に来たんだと。
私はすっかりチャラいキャラで居直る。

彼女は嬉しそうにウンウンと頷く。
任せて下さいと請け負う。

私は彼女を軽く刺激する。
私には心を寄せた相手が居たことを。←笑
彼女を超える人を探す為に
島の美容室を漂流し始めて数年だと。

大丈夫です。
シュミレーション、出来ました。
彼女は私を上から下まで
じっくりと見ながら請け負う。

カットしたのは何人いるの?

気分はすっかり、
新人キャバ嬢を品定めしている
サラリーマンのそれのようだ。

うみさんが初めてです。

ほう、私の名前を覚えているのか。
(まあカルテを確認したら分かることだけど)
しかも苗字ではなく下の名前を呼ぶとは。
なかなかハイリスクハイリターンな技だ。
まあ。掴みとしてはバッチリだけど。
私の中のおじさんがニヤける。

しかし。キャバ嬢の初客なら
なんだかウキウキしそう(私論)だけど、
初めてのカット客はなんだか。
なんだか。な。大丈夫かな。

うみさんが予約の電話をしたとき、
指名が入ったならやってみるか?
って店長から許可が下りたんです。

ああ、それで。
さっきからチラチラとこちらを見ている
艶黒髪ロングな女性の存在に合点がいった。
あの方、店長ね。

彼女は相変わらず、
小生意気なマシンガントークを
炸裂させながら、
それとは反対に丁寧に施術をしていく。

丁寧だね。
なんだかそうされると嬉しくなる。

一応、感想を述べる。

多分、ね。出来上がりは、
私が想像した通りになると思うのだけど、
まあ、それはどうでもいいや。
髪の毛なんてすぐ伸びるし。
という心の声はそっと胸にしまう。

そうして、やはり。

出来上がりは、
若い子が似合いそうな、前髪パツンな
元気いっぱいのボブカットであった。
これは、
化粧の仕方を一新しないといけないかな。

ありがとうございました!

本日カットデビューのその子は
達成感満載の顔で送り出してくれた。

まあ、いいや。初客のよしみで
今度からこの子にお願いしようかな。
次は、カタログを見ながらディスカッション
したらいいや。マダムカットってやつ。

漂流は終わりにしよう。

私はその足で、
元気いっぱいのパッツン前髪に合わせる
べく、ハイパーにグリングリンに上がる
マスカラを求めに行った。










ふと思う

2020-06-25 13:32:00 | 日記
気づいたのだがお仕事中に
イライラすることが無くなったな、と。
ベースが戻ってきたな。と思った。

いくら忍耐と根性が売りの
昭和の女でも、コロナ、コロナな
3か月はほんとにキツかったかも。

(もっとも命の危険を伴う
職業に従事していた方や
仕事が激減した方々に比べたら
私のイライラ加減なんぞ
屁でもないことは忘れてはならない)

年齢的にお局の域である私は
その年齢に伴うハズであろう
経験値でなんとかしてくれと
難癖をつけてくるお客様の対応に
あてられることがよくあった。

この場合。
現場スタッフが対応するより
店長や社員が対応することが誠意なのだが
過度な人手不足のために、
しがないただのスタッフのワタクシめが
駆り出されるのだが、

このワタクシめの誇るべき、
大変恰幅のよろしい体型と
妙齢なお年頃であることが功を奏して、
「あんたじゃ話にならない!
店長呼んでこいよ!」類の
大変エキサイティングな場面に発展する
事なく、すませることが出来たことは
大変ありがたい。

しかしながら、
理不尽な理由で怒鳴り散らすお客様の場合、
インカムで、
「業務連絡でーす。7番コーナーに
殴ると結構痛いぐらい硬い何かを
もってきて貰えませんかー?」
と言ってしまいたいの怒りは何度かあった。

この3か月の激務とお客様の態度により
精神的にもう無理です。
と辞めたスタッフは2人居た。

お店はチームワークで成り立つ。

辞めたスタッフの気持ちは痛いほど
分かりながらも、それによって、
チームワークはさらにガタ落ちたことも事実。
休憩室のゴミ箱は栄養ドリンク瓶が
溢れ出していたし。みんな頑張ったよね。

今、ようやく取り戻しつつある。
青白い顔をしていた店長も
ようやく笑顔を見せるようになった。

もう少しだ。もう少し。
 

少し年上の友達。

2020-06-20 09:46:00 | 日記
ねぇ。うみちゃん。
その件についてはじっくり
研究してからトークしたいから
そうね、
3日ほど待ってくれないかしら。

電話口、
彼女が芝居口調でそう告げるときは
私はすっかり嬉しくなる。

だって
本当に研究(動画鑑賞)してくれるから。
そうしてそれに生じた私の心理などを
彼女なりの考察をしてくれるから。

まあ、
3日というのはお互いの予定があるし
守られる事はないけれど
次回の電話まで持ち越しという意味なのだ。
彼女はそれをきちんと守る。

私はうみちゃんマニアだからね。
私ほど、うみちゃんを解る人は
いないくらいになりたいの。
 
彼女はキラーワードを放つ。
ほんとにもう。なんて人なんだ。

そんな嬉しくなっちゃうセリフ、
他の女の子にも言っているんでしょ?
私が即席芝居を始めると、

僕がそんな事をしたい相手は
君だけだよ。マイハニー。
彼女も応戦してくれる。

これはもう彼女の特出した性質だ。
彼女は相手を楽しませる術を知っている。
それ故に彼女の周りには、
いつも人がいた。幾重にも。
彼女にそれを告げると、悲しいことに
イケメンだけは寄ってこないのよね。
と嘆く。そんなことはないのに。

そんな彼女の考察によると

長い手足を生かした迫力ダンスが
武器の人物に心が揺さぶれた時は
私が消化不良でくすぶっている時だそうで

癒しボイスに癒されている時は
やはりそのものズバリで
癒されたいのだそうで
もっと色々をセーブしなさいなと
優しく諭される。

私が新しく誰かを挙げるたび

見つけたね。

彼女はそう言う。
(そうして冒頭のセリフを放つ)

うみちゃんはそうやって
自分に折り合いをつけるのよ。
彼らを彼女たちを視聴することで
自分の心の中のモヤモヤを消化してるのね。

ちょっと大袈裟すぎたかしら。
彼女は笑う。

そうして
注意深く言葉を選びながら続ける。

うみちゃんって、
昔はストレス溜め込んでしまって
ぶっ倒れたりしてたから、ね。
それが今では愛でる対象を見つけて、
うまい具合に
消化できるようになったみたいで
私は少し安心してるよ。

それでもね。うみちゃん。
彼女は続ける。

彼らは、危険よ。とささやく。

素敵過ぎて、自分のリアルな世界が
霞んでしまう。と嘆く。

あまりに素敵過ぎて、
私はすっかり性欲が爆発しちゃうのよ。←笑
彼女は下ネタもさらりと披露する。

どうしたらいいのかしら。
この身体と心の火照りは。
彼らはこの責任をとってはくれないのよ。
煽るだけ煽っておいて放置なのよ。
罪よね。これは。

うみちゃんはそんな事ないの?

覚えていないだけかもしれないけど
それはないね。と答えると。

まあ。もったいないわ。と続ける。

あのねぇ、
夢の中でそれが爆発してごらんなさいな
その辺の思春期小娘が見る夢と違って
自分の経験値と相まってそりゃあもう
エロいんだから。イケメンとのそれは。

彼がね。
〇〇〇〇とイケメンボイスで
囁きながら、〇〇を✖️✖️してさ。。
(自粛規制)彼女は、下ネタを恐れない。

うみちゃんも早く頭の中の規制を
取っ払えばいいのに。天国よ。

いつかそんなヘブンな夢を味わいたい
ものである。

最近流行のリモートでの会話。
彼女はビールをグイッとあおってから、
手のひらで口元をぬぐった。
なんだかその仕草に色気を感じた。