今、ヴォネガットの「ローズウォーターさん、あなたに神のおめぐみを」(God bless you, Mr. Rosewater)を読み返している。アメリカ南部の台風被害をずっとニュースで見ているうちに思い出した、わけではない。図書館で「タイムクエイク」(TIMEQUAKE)を借りて読んだあと、手近にあったからだ。
ヴォネガットは、著書を一、二行読んだだけで、アメリカ人とわかる。
「ローズウォーター」は、学生の頃、栗本慎一郎が激賞していたので買ってみたが、当時は感傷的過ぎると感じ、またいわゆるSFとは違うことから一度読んで抛っておいた。
「タイムクエイク」は著者が、自分にとって最後の小説 と宣言した本だ。やはり感傷的で、ちょっと説教くさい。それでも、この本が出版されたのは1997年なのだが、とうとう来るところまで来てしまった今の世の中を生きていると、共感せざるを得ない。
世界の時間が10年前に逆戻りしてしまって、しかも戻った10年間を「前に一度やったのと同じことを、もう一度自動的に繰り返させられる」状態になってしまう。問題は、そうやって半ば機械のようにやり直した10年間が終わったあと、「自分の自由意志でどうすればいいのか判断できなくなってしまった」人が続出したこと。その繰り返した期間と言うのが1991年~2001年となっていて、なんだか日本人への皮肉にも思える。
<抜粋>※訳:浅倉久志
「それでもやっぱり聞きたいな。おれがなにをとりもどしたかを」
「わしはあんたが自由意志をとりもどしたといったんだ」
「自由意志、自由意志、自由意志」プリンスはふしぎそうに顔をしかめて復唱した。「前から不思議でね、おれがもっているものはなんだろうと。いま、その名前がわかった」
「さっきわしがいったことは、どうか忘れてくれ」トラウトはいった。「それより早く人助けを!」
「知ってるかね、その自由意志をどうすりゃいいかを?」とプリンスはいった。
「いや」とトラウトは答えた。
「自分のけつの穴へつっこめばいい」
<ここまで>
最後の「自分の」は原文ではどう書かれているのかな。
ヴォネガットは、現代の若者の境遇 -正確な定義は難しいが- についても語っている。
<抜粋>
この世界が怖気づいた人びとでこんなに超満員になり、自然と人工のまぬけ落としがこんなにぎっしり仕掛けられている現在、私が話したエデンの園のイメージは、あの若い聴衆からすれば、なんと無意味なものに思えたことだろうが。
<ここまで>
ヴォネガットは実は、理数系の仕事をしている家族に生まれ、やはり理数系の学部を卒業している。
<抜粋>
「たとえあんたが一時間かかったとしても、かつてあの二つの天体のあった場所から場所へ、なにかが旅をしたわけだ。控えめに見積もっても、光の百万倍のスピードで」
「なにが旅をしたんです?」
「あんたの意識さ」
<ここまで>
小説から抜粋するというのは、やっぱりすごく間抜けなことだし、見落としたり、解釈が間違っていたりしていることも多いことも自覚している。だからまたしばらくしたら読み返すつもりではいる。
ヴォネガットは、著書を一、二行読んだだけで、アメリカ人とわかる。
「ローズウォーター」は、学生の頃、栗本慎一郎が激賞していたので買ってみたが、当時は感傷的過ぎると感じ、またいわゆるSFとは違うことから一度読んで抛っておいた。
「タイムクエイク」は著者が、自分にとって最後の小説 と宣言した本だ。やはり感傷的で、ちょっと説教くさい。それでも、この本が出版されたのは1997年なのだが、とうとう来るところまで来てしまった今の世の中を生きていると、共感せざるを得ない。
世界の時間が10年前に逆戻りしてしまって、しかも戻った10年間を「前に一度やったのと同じことを、もう一度自動的に繰り返させられる」状態になってしまう。問題は、そうやって半ば機械のようにやり直した10年間が終わったあと、「自分の自由意志でどうすればいいのか判断できなくなってしまった」人が続出したこと。その繰り返した期間と言うのが1991年~2001年となっていて、なんだか日本人への皮肉にも思える。
<抜粋>※訳:浅倉久志
「それでもやっぱり聞きたいな。おれがなにをとりもどしたかを」
「わしはあんたが自由意志をとりもどしたといったんだ」
「自由意志、自由意志、自由意志」プリンスはふしぎそうに顔をしかめて復唱した。「前から不思議でね、おれがもっているものはなんだろうと。いま、その名前がわかった」
「さっきわしがいったことは、どうか忘れてくれ」トラウトはいった。「それより早く人助けを!」
「知ってるかね、その自由意志をどうすりゃいいかを?」とプリンスはいった。
「いや」とトラウトは答えた。
「自分のけつの穴へつっこめばいい」
<ここまで>
最後の「自分の」は原文ではどう書かれているのかな。
ヴォネガットは、現代の若者の境遇 -正確な定義は難しいが- についても語っている。
<抜粋>
この世界が怖気づいた人びとでこんなに超満員になり、自然と人工のまぬけ落としがこんなにぎっしり仕掛けられている現在、私が話したエデンの園のイメージは、あの若い聴衆からすれば、なんと無意味なものに思えたことだろうが。
<ここまで>
ヴォネガットは実は、理数系の仕事をしている家族に生まれ、やはり理数系の学部を卒業している。
<抜粋>
「たとえあんたが一時間かかったとしても、かつてあの二つの天体のあった場所から場所へ、なにかが旅をしたわけだ。控えめに見積もっても、光の百万倍のスピードで」
「なにが旅をしたんです?」
「あんたの意識さ」
<ここまで>
小説から抜粋するというのは、やっぱりすごく間抜けなことだし、見落としたり、解釈が間違っていたりしていることも多いことも自覚している。だからまたしばらくしたら読み返すつもりではいる。
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