哀愁

かつて劇団で共に芝居をしていた後輩とのお別れ。
突然の訃報に、悲しみより驚きの方が大きい。

在団中は、年下で後輩の彼にいつも弄られてからかわれて、腹を立てながらも内心はそんなやり取りを楽しんでた。
憎めない奴だった。
もう何年も会ってなかったし、この先も余程の偶然でもない限り会える機会もないと思ってたけど、まさかこんなに早く、こんなに急に、こんな形で対面する事になるなんて想像もしてなかったよ。
遺影を見るまで、全然実感がなかった。
「私、誰のお通夜に来てるんだ！？」って。
息子に先立たれた親御さんやご家族の事を思うと胸が張り裂けそうになる。
手を合わせながら、かつての仕返しに軽く悪態ついてやった。
この親不孝者！
ただでさえ気持ちが辛いのに、お通夜の直前に雨まで降らせて皆に嫌がらせしてんじゃないわよ！
「はぁ～？またまた～ちずさんってば！」と、もう二度とヘラヘラ笑って答えてもらえないのが寂しい。

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