ねぇ、ロン。
初めて会ったのはいつだったっけね?
2年も経ってないかな。
まだまだ短い付き合いだったんだね。
ロン毛だから「ロン」
オスかメスかもわからなかったから、どっちでも大丈夫そうな名前にしたのよ。
警戒心が強くて、こっちの姿を見れば、すぐに逃げて隠れてしまう。
耳カットがなかったからTNRしなきゃとご飯をあげに通ったけれど、始めの頃は近づけもしなかったね。
一度、捕獲のチャンスがあったのに、あと少しのところで人が来て失敗しちゃって、それからはみんなで「もう手術済みなのかなぁ」「元々飼い猫だったのかも」と、いろんな憶測も飛んで、結局そのままになっちゃった。
ずっと通ってるうちに、逃げてばかりだったロンが少しずつ私を待っててくれるようになったよね。
茂みの中に身を潜めて、私が行くと鳴き声で居場所を教えてくれたよね。
私がそばにいるとご飯を食べてくれないから、ご飯を置いて、そこを離れて、ロンが食べ始めるのを飛雄馬のおねーちゃんのようにこっそり影から覗いて見てたんだよ。
でも、私がちょっと離れるとカラスがロンのご飯を狙うから、もどかしい時期があったんだよ(笑)
そのうち行けばすぐに出て来てくれて、ご飯のお皿を通り越して私のそばに寄ろうとしたこともあったよね。
最近では、ロンのすぐ目の前でご飯の用意をしても、おとなしく待っててくれるようになったよね。
少しずつロンとの距離が縮まってるのが嬉しかったよ。
他にもたくさんロンのお世話をしてくれてる人がいるって知って嬉しかったよ。
私以上にメチャクチャ懐いてる人がいるって知って嬉しかったよ。
急激に寒くなってきた頃、ロンがいつもの施設の屋根の下や茂みじゃなく、すぐ横のちょっとした瓦礫の下や奥まった場所にいるようになった時に、異変に気付いてあげてればよかったって後悔している。
足場が悪くて中に入れなくて、呼んでも寄って来てくれないから「お腹すいてないのかな」って思ったんだよ。
今までも、ご飯を食べずに横たわってて具合悪いのかなと思って、別の時間帯の餌やりさんに報告すると「夕方は元気に食べましたよ」って言われることがよくあったから。
でも、それから3日ほど姿を見せなくなってしまったよね。
みんなで心配していて、ロンに長年ご飯をあげてロンがとても懐いてるAさんにも聞いたりしてたんだ。
とてもとても寒い日の夜、ボランティア仲間ツテにAさんから「ロンが茂みの中でうずくまってる」って連絡が来て、すぐにキャリーバッグ持って駆けつけたよ。
暗闇の中、鳥目の私が黒猫を見つけられるか不安だったけど、いつもの施設に行ったら黒い何かが見えて。
でも、薄暗い外灯の明かりの中で、ただの影かなとも思って。
近づいたら尻尾が見えたから、ロンだってわかった。
でも、私がこんなに近づいても微動だにしない。
死んでるって思ったよ。
思わず「ロン!」って身体を触ったら、かすかに鳴いてかすかに反応して「生きてる!」ってわかって。
それがロンに初めて触れた瞬間だった。
スマホのライトで照らしながら、キャリーに入れようとしてたらAさんも駆けつけてきて。
すぐにボラ仲間を呼んで、ホッカイロで温めたり、車を出してもらったり。
ちょっと離れたAさん行きつけの病院にすぐ向かったよ。
先生は一目見るなり「あ〜もう結構歳いってるね。これは厳しいよ」と。
Aさんが言うように、ズバズバはっきり言う先生だなって思ったよ。
ぐったりしたロンを診て「おそらくもう長くない。とりあえず3日点滴して、それで回復の見込みがなければ、もう何やっても無駄だから、あとはもう看取ってあげたほうがいい」と。
先生にロンを託して、その後、みんなでロンの看取り先を相談しあったよ。
でも、看取り覚悟で引き取れるおうちってなかなか見つからない。
うちがその役目を担うはずだったのに、今はまること男爵を保護しちゃってるから、そんな環境でロンの最期の時間を過ごさせてあげられるのかも難しくて。
それでもね、どこもなければ無理してでもうちで…って思ったよ。
これで奇跡的にロンが回復しちゃったりなんかしたらどうしよ〜(嬉)って思いながらも、密かに3匹飼うシュミレーションもしてたんだよ。
ロンを病院に預けて1日。
夜、病院から電話が来た。
こんな時間にこんなタイミングで電話が来るなんて嫌な予感しかしない。
おそるおそる電話に出たよ。
「やっぱりね、ダメだったわ」
12月14日、21時頃、永眠。
あぁ、ロンちゃん…!
家で看取れず、病院で逝かせてしまったね…!
ごめんね、ごめんね!
覚悟はしていたはずなのに、その晩は寝られなかったよ…!
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