春の陽射しに包まれた、ひんやりとした空気の中を駅へ向かう。
通勤の為に電車に乗るのは、私くらいに思える。
人波はどこへ流れていくのか。キラキラと光ってみえる。
揺れる白いマスクを見ていたら、
広告をプリントされたマスクってありだろうか
等とぼんやり考えていた。
定刻通りにひとつひとつ駅に止まっては発車していく。
私に与えられた時間は、あとどれくらいあるんだろうか。
春の空は黙って微笑んでいる。
鉄橋越しに土手で何かを摘んでいる人がみえる。
四季は巡る。死期も巡るのだろうか。
死後の物語をぼんやりと信じている。
人間であるからこそ見えない光や音があり、
また感じ取れる感覚がある。
今はこのシートの心地好さだけが私自身。