水の張られた田んぼが、次々に走って行く。
窓を開けて土の香りで満たす。
芝桜が彩りを添えている。
野良仕事をしに帰ってきた。
街でこの話をすると、大抵気の毒がられる。
自然の深さは、手入れを通して付き合ってみたところで、必ずわかるものではないし、私自身も怪しいもんだ。
田舎へ行けば、季節季節の生き物が出迎えてくれる。
今ならウグイスの声が響き、雨蛙が喉を動かし、魚が列をなしている。
外来種駆除とか、生物多様性だのと言われる度に、
何故か生き物が減っていくのも実感としてわかる。
朝晩はまだ暖房器具が恋しくなる寒さがある。
自然との付き合いは、心地好いものばかりではない。
風や水や食物を通して自然とつながっている生活があるだけ。