昨夜未明に降った雨のお陰で、家を出ると風が心地よかった。
どこかに隠れていた意識がふと蘇るほどの大雨の影響だろう。
朝顔の花が大量に落ちていた。
クマゼミが今朝も叫んでいる。
蝉とは俺達のことだと言わんばかりに声高らかに。
淡々と仕事へのルーティンを辿りながら、季節を眺めているようで自分自身を眺めているようでもあった。
ちょうど、まだ人の心を想像することができない三才児にとって、見たもの聞いたことだけが、この世のすべてである様に
若い頃は、懇々と湧いてくるエネルギーに振り回されていて、社会のことなど構っているゆとりなんてなかった。
ところが人生も中年期と言っていいのは何歳くらいまでだろうと気になってくると、意識が周囲へと向く比重が高くなり始めたようだ。
遅すぎる芽生えかもしれないと、笑いがこぼれた。
蜂が耳元をかすめて飛んで行った。
今シーズンは、まだ向日葵を見ていないなぁ。