With the I Ching

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ギリシャの財政危機

2010-05-05 21:34:45 | 日記/随筆
最近ニュースで何度も取り上げられているので皆さんもご存知のように、今ギリシャが国家的な財政危機を迎えています。政府の苦肉の増税策により公務員などのデモやストライキが頻発している。その上、各国との連携体制も怪しく、国家としての信用を取り戻せるのかも厳しい状態にあります。


易経の風雷益の項に、そうした状況を暗示する言葉が書かれています。読み下し文や解釈には諸説ありますが、とりあえず以下二つを『易経(下)』(高田真治・後藤基巳 訳、岩波文庫)より引用します。

「益六三。これを益すに凶事をもってすれば、咎なし。孚ありて中行なれば、公に告ぐるに圭を用うる。」「象に曰く、益すに凶事をもってすとは、固くこれを有するなり。」

「益上九。これを益すことなし。あるいはこれを撃つ。心を立つること恒なし。凶なり。」「象に曰く、これを益すことなしとは、偏辞なればなり。あるいはこれを撃つとは、外より来るなり。」

六三は、「凶事」というのがポイントで、この読解の仕方によって意味合いが変わります。
天変地異などの災害によって危機に見舞われた際に、近隣各国へ献上品(圭)を携えて援助を請う、と読む方もおられますし(本田済さんなど)、凶事をデモやストライキのような上位への反抗と読む方もいます。まあ、その両方であるとも解釈できるかもしれませんが、易とサビアンとの関係を見ると、僕自身は後者の説が有力かなと思っています。

上九は、先の六三と相対する立場を表しています。今のギリシャで言えば、軒並みの増税によって国民のデモやストライキを受けている政府側ということになるでしょう。当然、これに対する六三が市民側です。

そんな訳で、最近のギリシャのニュースを知った時に、ふとこの卦爻を思い出したのでした。でも、TBSサイトのギリシャでは公務員のデモなど相次ぐというニュースの最後でも触れられているように、実はギリシャの財政よりも日本のそれのほうが酷い状態にあるわけで、確かに「対岸の火事」で傍観しているわけにはいきませんね。

序列の上では、風雷益の次は沢天夬です。
この卦は、最上位にある陰を下から陽の軍勢が攻め立てるという形であることから、権威を落とすとか、「覚悟しろ!」という感じで断罪するみたいな雰囲気があります。急激な展開がもたらされる卦ですが、実際にはそれに先立つ潜在的な鬱憤があり、沢天夬とはその感情が一気に吐き出される瞬間だとも言えると思います。

なので、もしギリシャの現状が悪化の一途を辿るならば、風雷益から進行して沢天夬の状況になっていく恐れもあります。また、それはこの国、日本にも言えることなのですが・・・。


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