建交労長崎県本部

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石綿じん肺労災不支給取り消し川名訴訟不当判決!

2013年05月31日 16時47分51秒 | 活動報告
 宮崎地方裁判所において石綿じん肺労災不支給取り消しの裁判を闘っていた川名訴訟は、去る5月24日不当判決が下されました。原告、弁護団、建交労九州長崎分会は不当判決に対する声明を発表しました!

アスベスト労災認定川名訴訟・宮崎地裁判決についての声明

1、2013(平成25)年5月24日、宮崎地方裁判所民事第1部(内藤裕之裁判長)は、旭化成延岡工場で塩素ガス土管の配管補修作業に従事した故川名國夫さんの休業及び死亡は石綿(アスベスト)ばく露が原因ではないとして、遺族補償等給付を支給しないとした宮崎労働局・延岡労働基準監督署長の処分の取り消しを求めた原告川名勝代さん(延岡市在住)の請求を棄却する判決を言い渡しました。

2、國夫さんは、少なくとも、1948(昭和23)年1月から1964(昭和39)年8月までの16年7か月もの問、塩素ガス土管の継ぎ目やひび割れ、電解槽蓋の隙間を石綿布と目地材で目詰めする業務に従事し続け、2006(平成18)年8月に死亡しました。國夫さんは、生存中に延岡労働基準監督署長に対し休業補償給付等の請求をし、死亡後には妻の勝代さんが、遺族補償給付等の請求を行いましたが、死亡原因は「血管炎症候群に伴う問質性肺炎」であり、石綿ばく露との因果関係は認められないとして斥けられ、審査請求も再審査請求も斥けられたため、2010(平成22)年4月に提訴したものです。

3、國夫さんが従事した業務が、被告国の定める認定基準にいう「粉じん作業」及び「石綿ばく露作業」に該当すること、したがって國夫さんに、日常的な職業的石綿ばく露が認められることは、労働基準監督署、宮崎労働者災害補償保険審査官、労働保険審査会のいずれにおいても確認されています。
原告側は、國夫さんは石綿肺を発症したものであり、仮に顕微鏡的多発血管炎が認められるとしても、先行して発症していた石綿肺と両立し、顕微鏡的多発血管炎自体がむしろ石綿ばく露を主要な病因とするものと主張してきました。

4、ところが判決は、國夫さんが上記業務において石綿を扱っていたことを認定しながら、「その量が職業的(高濃度)と言い得る程度のものであったとまでは認められない」とし、また、國夫さんの疾病については、「顕微鏡的多発血管炎であると認めるのが相当である」上、「現段階において、一般的に顕微鏡的多発血管炎と石綿との関係が明らかになっているとは認められ」ず、業務上の疾病により死亡したとはいえないとして、原告の請求を棄却しました。

5、石綿関連疾患には長い潜伏期間があり、本人も石綿ばく露と疾患の関係に気付かず、石綿に関する専門知識や経験を持つ医師が少なく、往々にして石綿に関する情報のないまま診療が行われ、しかも当時の就業記録や医療記録が散逸したり証人確保が困難になるなど、石綿関連疾患の労災請求にはさまざまな困難を伴う事案が多く、被告国には、こうした石綿関連疾患の特徴に留意し、被災者救済の視点で適切に認定行政を行うことが強く求められます。
特に「間質性肺炎」と診断された症例の中には、進行した石綿肺が含まれている可能性が大いにありうるので、被災者の職業歴、石綿ばく露状況を丁寧に調査の上、職業的石綿ばく露が認められる事案については、積極的に石綿肺であるとして労災認定すべきです。

6、被告国は、これまで、労働者のいのちや健康よりも経済活動を優先させ、石綿の長期間の継続的な使用を許し必要な規制を怠り、石綿による被害を拡大させてきました。戦後の日本の高度経済成長を支え、国の発展に寄与した國夫さんをはじめとする多くの労働者が、石綿関連疾患によっていのちや健康を損ねてきました。
こうした被災者や遺族を救済する被告国の責任はより一層重いと言わねばなりませんが、原告側に高い立証のハードルを課して国の責任を免罪した今回の判決は、極めて残念なものというほかありません。

7、原告、弁護団、支援組織は、控訴の上、控訴審において不支給処分を取り消す判決を得るべく奮闘する決意です。引き続きご支援をよろしくお願いいたします。
2013(平成25)年5月29日
アスベスト労災認定川名訴訟原告・弁護団
全日本建設交運一般労働組合九州支部長崎分会

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