建交労長崎県本部

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第26回なくせじん肺全国キャラバン長崎行動!

2015年10月03日 09時44分55秒 | 活動報告

じん肺キャラバン長崎実行委員会は10月1日お昼に出陣集会、午後2時から県知事要請、午後4時から長崎市長要請、午後6時半からじん肺・アスベスト学習集会を開催しました。10月2日は、午前に長崎労働局、午後から県医師会に要請をおこないました。

<50人が集まり出陣集会>

 長崎市の中町公園で開催された出陣集会には、長崎地区労、県労連、自治労連、高教組、民医労、自交総連、民医連、国民救援会、じん肺・アスベスト根絶三菱長船の会、長船患者会、じん肺弁護団、トンネルじん肺根絶長崎原告団、西日本石炭じん肺長崎請求団、建交労から50人が参加しました。建交労長崎県本部の飯田省吾書記長の司会で始まり、地区労の加世田和志書記長が連帯あいさつ、村里正昭じん肺キャラバン事務局長が26キャラバン行動について提案と報告をおこないました。西日本請求団山口等団長、トンネル原告団松田哲朗副団長が決意表明を述べ、最後に中里研哉キャラバン事務局次長の閉会あいさつと団結ガンバロウで集会を終わりました。

 <長崎県知事要請>

 知事要請には、横山巖代表世話人を筆頭に11団体、29名が参加しました。 県側からは村崎かおり県産業労働部雇用労働政策課参事他6人が出席しました。事前に提出していた全国統一要求書4項目と独自要請4項目に県側が回答し、意見交換を行いました。

1、「私たちの提言」の実行を国に求めることには「労働局に伝える」と回答

2、(1)トンネル基金については「労働局に伝える」と回答

2、(2)トンネル建設工事の労働時間の件では「適切に行っている」と言いながら、長崎実行委員会独自要請の中では「36協定は工期短縮のために11時間拘束10時間になっていると平然と回答」し何もわかっていない発注者としての回答に怒り心頭でした。

3、アスベスト使用の解体などの処理については「リサイクル法に基づき労働局との連携をしている」「市町が直接の窓口」などと無責任な回答をおこないました。

4、石綿ポスターについては「キャラバン要請があって初めて知り、労働局から数枚入手したので、庁舎に貼った。厚労省にも枚数を増やすように言ってください」と逆にお願いされる始末でした。

 長崎実行委員会が独自に要請している4項目は1、「じん肺根絶を内閣総理大臣に求める首長署名への署名。知事との面会の機会を」2、「県医師会や医療機関に肺がん、間質性肺炎などの胸部疾患はキチンと問診で職歴を行うよう指導を」3、「県発注のトンネル工事は」4、「県発注のトンネル工事での労働時間の実態は」です。これに対し1、「要請する立場にない」「知事に伝える」。2、「市町を通じやっている。呼吸器疾患では職歴の問診が行われている」。3、「現在掘っているトンネルと予定されているトンネルは7か所ある」。4は「工期短縮のために36協定で11時間拘束10時間労働となっている」と平然と回答しました。要請団は、県の認識がじん肺根絶を真剣に考えていないことを問題にし、「首長署名は、すべての市長、町長が署名している。何年も要請し続けているのに署名しない理由はどこにあるのか」との追及に「九州の他の県知事がしていないので」と本音をこぼしました。県発注のトンネル現場の視察の具体化などを今後、詰めることになりました。

<長崎市長要請>

 長崎市長要請には、県知事要請と同様、横山巖代表世話人をはじめ10団体27名が参加。市側からは、建築部建築指導課、市民健康部地域保健課、商工部産業雇用政策課、市民健康部地域医療室から部長クラスが応対しました。

 実行委員会は、会独自の5項目にわたる「じん肺・アスベスト根絶に関する要請書」を事前に提出し、文書回答を受けての意見交換をおこないました。

 要請項目は1、2「アスベスト使用の建築物が何件あるのか、あるなら分かるようハザードマップの作成と住民への周知を」3、「石綿被害の請求を知らせるポスター、リーフレットの件」4、「長崎市最大の企業三菱長崎造船所㈱に対する対策」、5、長崎市立の医療機関で、肺がんや間質性肺炎の患者に対する職歴問診を」でした。

 事前の回答で市側は1、2について「国基準の1,000㎥以上、市独自の1,000㎥未満を調査し分析した結果71件が判明。そのうち対策実施済は32件、未実施が39件」「毎年100件程度の未確認の建物と未対策の所有者に補助金等の説明を実施している」「ハザードマップで民間建築物の公表は風評被害のため困難」と回答しました。3、「厚労省から送付されたポスターとリーフレットは掲示し窓口に備え付けている」。4、「長崎市の地域経済の発展を支え続けてきた造船業において、じん肺患者が生まれ、長い間苦しまれていることを思いますと心痛に耐えません」「指導監督をおこなう立場ではないが国に働きかけていく」「様々な機会をとらえて、企業に対して、安全衛生についてなお一層の配慮をお願いしてまいる」5、「市立病院では医師が必要に応じて職歴の確認を行っている」「今後も引き続き呼吸器内科の外来などに周知徹底する」。

 事前の回答を受け、より深い意見交換ができ、ハザードマップの件は「大阪などに例があるので調べてほしい」という要望をおこないました。「三菱造船所には直接船などの注文をすることはないので、発注者ということでは話をすることができないが、要請があったことは機会があれば伝えることはできる」と述べました。「間質性肺炎は様々な原因で起こる病理名なので、粉じん作業のことやじん肺が関係していることを患者の側から積極的に医師にアプローチをするのがよいのでは」という保健所長(医師)からのアドバイスがありました。

 <じん肺・アスベスト学習会>

 じん肺・アスベスト学習会は、1日午後6時半から長崎商工会館ホールで開催され、14団体62名が参加しました。

 長崎民医労の藤田久美子書記長の司会で始まり、横山巖代表世話人の開会あいさつ、長崎県労連大場雅信議長の連帯あいさつ、中里研哉事務局次長の第26回キャラバン報告と続きました。大場議長は「科学の教師時代、実験室の金網や体育館に石綿が使われていた」と語りました。

 引き続き長崎大学環境科学部の戸田清教授による記念講演が行われました。戸田教授は、キャラバン実行委員会の代表世話人としても大任を引き受けてもらっています。戸田教授は、「長崎の5大災害に学ぶ」と題して「①原爆、②カネミ油症、③じん肺・アスベスト、④長崎大水害、⑤雲仙普賢岳災害」を「5大災害」として、学生に講義をしていると述べ、詳細な資料と文献を紹介しながら講演をおこないました。そして、「④⑤は自然災害と人災の合併」「カネミ油症は、五島という限定的な地域に起こったため水俣病のような公害運動として広がらなかった」「原爆はアメリカの戦争犯罪。これを招いた日本政府は『招爆責任』」「三菱重工長崎造船所はアスベスト労災認定件数全国最多企業」などなど様々な文献を引用して、わずか1時間の講演時間を駆使して熱く語りました。

 トンネルじん肺根絶原告の松田哲朗さんの決意表明、「過労死をなくそう!長崎県民のつどい」実行委員会の大塚正一事務局長の訴えと続き、最後は国民救援会の都浩治さん(実行委員会事務局)が閉会あいさつを述べ、中身の濃い学習会を終了しました。

<長崎労働局要請>

 2日午前10時から長崎労働局要請をおこない、横山巖代表委員をはじめ8団体23名が参加しました。労働局からは、監督課長、健康課長、労災課長ら10名が出席しました。事前に提出していた全国統一要求書5項目と独自要請17項目にわたって意見交換を行いました。

 楠本監督課長は、10月1日に全国監督課長会議があり「改めてトンネル現場の粉じん対策について指導があった」「36協定締結理由についても、工期短縮のためなどで恒常的な残業は認めないなど厳格な適用をする」「自らすべてのトンネル現場に説明に行く」と回答しました。

 「厚労省が進めているCT検査問題」について池田健康課長は「当局の範疇を超える問題で回答も何もできない」と述べましたが「委託事業が長崎大学の芦澤教授を中心に行われているのはじん肺患者が多い地域だからか」との問いに「そうだと思う」と述べました。「CT万能論は、じん肺を長年診てきた医師や研究者からも批判があっているので本省にきちんと伝えるよう」求めました。

 健康課長は「局管内の石綿手帳交付は2,019人で、新規で122人に交付した」「じん肺健康手帳による検診委託医療機関は30院所、石綿手帳では24院所で増えていない」と述べました。ハザードマップについては、「いい案であるが労働局の所管ではないので」と述べました。

 「間質性肺炎の認定について」田崎労災補償課長は、「間質性肺炎全てを不支給にしているわけではない」「インフルエンザ接種を補償の対象にするのは予防なので無理」と述べました。

 村里事務局長は「この間三菱長崎重工で働いた人たちが中皮腫や肺がんでたくさん亡くなっている。長年一緒に働いてきた同級生も右肺全摘の中皮腫手術を受けた」と手術後の生々しい写真を掲げ、対策の必要性を訴えました。。

 トンネル現場の36協定問題は、この間の運動の成果が表れていると感じました。

<県医師会要請>

 県医師会要請には、村里事務局長をはじめ5団体6名が参加しました。医師会側からは長谷川宏常任理事(開業医)と牟田幹久常任理事(開業医)が出席しました。

 長谷川理事は「産業医の研修で防じんマスクの使い方、石綿疾患の学習などが行われている」「インフルエンザ予防接種は、基礎疾患のあるじん肺患者は当然優先的に受けられる」、じん肺患者に発症した間質性肺炎は、原因の明らかなびまん性肺炎として特発性間質性肺炎から除外するよう会員に周知徹底をするようにとの要請には、「行政からの指導があればできるが、医師会からはできない」と述べました。

 村里事務局長は、長崎では三菱長崎造船所で中皮腫や肺がんなどが多発していることと仲間の生々しい手術痕の写真を見せながら、じん肺根絶を訴えました。長崎民医連の山口喜久雄事務局長は「アスベスト国際会議で喉頭がんと卵巣がんが関連がんと位置付けられている」と紹介し、中里事務局次長は「じん肺研究者の中では、自己免疫疾患としてのじん肺が指摘されている」と紹介しました。



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