カーボンというと軽いものと考えてしまいがちですが、使用しているカーボンの量が多ければ当然重くなります。例えば同じカーボンホイールでもリム高が24mmのリムと50mmのディープリムではカーボンの使用量が多い分50mmのリム形状のホイールの方が重量が重くなります。リムの高さが高いということはスポークの長さは逆に短くなりますので、重量は重くても空気抵抗が軽減されるため、高速での走行に向いています。スポークは空気を攪拌し乱流を引き起こすので、高速になればなるほど空気抵抗を大きくしてしまうのです。これはスポークの材質や重量よりスポークの長さを含めた形状や本数に大きく影響されるようです。ディープリムのホイールは高速走行でこそメリットがでるホイールなのです。ディープとは本来深いという意味ですが、ハブ側にリムが深く伸びた形状のためにこう呼ばれています。
一方、速度が期待できない坂路では空気抵抗よりホイールの重さが影響します。坂道では高級なホイールより軽量なホイールの方がいいということになります。高級=軽量にならないのがディープリム・ホイールの特徴かもしれません。また、リムの形状やスポークの本数以外にも重要なことがあります。ホイールはリムとスポークだけで出来ている訳ではありません。リムとスポークを中心で支え回転の軸となっているのがハブです。従ってハブの摩擦抵抗が大きくてもパワーロスが起きますから、いくら軽量なホイールでもハブの性能が悪ければホイールの軽さは意味を持たなくなります。私がSHIMANOのホイールに拘るのは軽さよりもハブの良さ故なのです。DURA ACEで使用されているハブはおそらく世界最高と言っても過言ではないと思います。
最近では間を取って30mmというリム高の製品が完成車に使われるケースが増えて来ています。GIANTでもTCR ADVANCED SEやTCR SL1にSRAMのS30 RACEというホイールが装着されています。このホイールはフロントが645gで69,900円、リアが785gで75,600円です。前後で1430gという重量はSHIMANOのWH-7900-C24-CLの1395gと比べても重くできています。WH-7900-C24-CLの価格が前後セットで96,705円ですから割高感は否めません。レース志向の高い人ならともかく、私のようなホビーライダーにとっての最大の敵はなんといっても坂道ですから、より快適にロングライドを楽しむ為には高級なホイールより軽量なホイールを選びたいと思っています。そういう意味ではTCR CPMPOSITE SEやTCR SL2にA-CLASSのALX440SLが装着されていることにも納得が行きます。個人的には軽さよりハブを重視しているのでWH-6700を考えていますが、坂道で少しでも楽をしたいならALX440SLもいいなぁと思います。
ロードバイクやそのパーツ購入を検討する場合、もう一度軽さの意味を考えてみることも大切ではないかと思います。特に軽さ=値段の高さになる自転車の世界では、軽いものは素晴らしいものと考えてしまいがちですが、100gを軽くするのに十数万円かかることもあるフレームから1万数千円で100g以上軽いものも手に入るサドルまで100gの持つ意味は様々です。極端な例を挙げればTCR ADVANCED SL SEなどに装着されているZIPPの303 Tubularというホイールですが、重量は前後で1171gとリム高45mmとしては破格の軽さを実現しています。が、このホイールの価格は前後セットで何と378,000円とTCR ADVANCED SEが買えてしまう金額となります。じゃこのホイールでガンガン走れるかというとやはり耐久性が心配です。プロ選手のように1日で使い捨てるというならともかく、数年乗ることを考えるなら相当に神経を使う走りを強いられることになりそうです。まぁ、こうしたホイールを履いている人は、ホイールは複数持ち、ケースバイケースで使い分けるのでしょうが・・・
DURA ACEにもWH-7900-C50というホイールがありますが、チューブラータイプのTUが前後1396gで価格が219,633円、クリンチャータイプのCLが前後1662gで171,842円です。対費用効果を考えるなら前後1395gで96,705円のWH-7900-C24-CLがやはりお奨めです。ハブは上位モデルと全く同じで、リム素材とリムの高さが違うだけで10万円の価格差は大きいと思います。WH-7900-C50はレース志向の強い人の決戦用ホイールという位置づけになると思っています。私が購入を検討しているWH-6700はULTEGRAグレ-ドでフリーハブ素材がチタンからアルミにリム素材がアルミ/カーボンラミネートからアルミに替わり、重量が1651gと重たくはなりますが、フリーハブの構造はDURA ACEに準じているのでTCR2に装着するのなら十分なホイールだと考えているところです。ヒルクライムを考えているのなら無理をしてもWH-7900-C24-CLにしてもいいかもしれません。先日、講習会で手にしたMAVICのR-SYSもカーボンフォーク採用で1390gと軽量で非常に魅力的ではあるのですが、価格がペアで147,000円ですからWH-7900-C24-CLとの5万円近い差は決定的です。
軽さを求めるなら自分の目的をまず明確にする必要があると思っています。少なくともフレームを100g軽くするのに十数万円投資するのなら、その分でいいホイールやタイヤを買った方がいいと考えています。カーボンにするとしてもGIANTならADVANCEDで十分。COMPOSITEで問題がなければTCR COMPOSITEをホイールも含めてDURA ACE化することも十分可能だと思っています。FULL DURA ACE化にかかる費用はホイールを含めれば30万円弱になるので、生涯最後の贅沢になるかもしれませんが、できるならTCR ADVANCED SEをDURA化かRED化できればもう思い残すことはありません・・・
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