ブエルタ・ア・エスパーニャの第19ステージはレッドブルがスタートから完璧なコントロールを見せ、ラスト5kmでウラソフの牽引から解き放たれたログリッジが独走でステージ優勝をもぎ取りました。オコーナーは遅れ1分54秒差の2位へと後退することになりました。
難関とされる今日のステージでのリスクを回避するという意味でもこのステージのレッドブルの作戦は見事でした。序盤こそUAEも番手につけていましたが、強烈なレッドブルの牽引で徐々に遅れて行きました。山岳ポイントでは大きな動きは無くソレルが山岳賞をキープしていますが、UAEは今日のステージでは積極的に動く必要が出て来てしまいました。
ただ、ログリッジがマイヨ・ロホを手にしたことでレッドブルが集団をコントロールすることになりますし、明日は最終日の個人TTなのでアシストは出し尽くしても問題が無い状況ですから、そう簡単に逃がしてもらえるかは疑問です。
ログリッジは最終日のTTだけでも5秒差なら逆転が十分可能なので、無理をする必要はなかったのですが、この日の攻撃はリスク回避の意味合いが大きかったと見ています。オコーナーのデカトロンAG2Rの力ではプロトンのコントロールが出来ず、大きな逃げを許して来たことを考慮して、あえて自らがプロトンをコントロールすることで、大きな逃げのリスクを消し、混戦での落車などのリスクを回避するために速いペースを刻んでいたからです。
最後の1級に入ってもレッドブルはアシストを6枚も残していて、ハイペースで登り対づけました。このペースでは流石のカラパスもアタックが出来ず、ログリッジはウラソフと共に後続を引き離して行くのです。
間が空いたところでカラパスがアタックしますが、そこまでのペースが速過ぎてアタックにキレが無く、後続に追いつかれたばかりか、最後は遅れてしまいます。ただ、このカラパスのアタックで動き出した総合上位勢からオコーナーが遅れ始めます。結果、9位でゴールしたカラパスと総合2位のオコーナーとのタイム差は1分に縮まりましたから、今日のステージで総合表彰台は視界に入って来ました。
これまでブエルタで3連覇、昨年はジロ・デ・イタリアを征しているログリッジ。本当はツール・ド・フランスでマイヨジョーヌを獲得するためにボーラ・ハンスグローエへ今季移籍したログリッジですが、落車で無念のリタイヤ。来季はエヴェネプールの移籍が噂されているので、マイヨジョーヌ獲得は難しくなると思いますが、ブエルタの4度目の総合優勝はほぼ確実になりました。
おそらくマスが総合2位に上がり、3位表彰台をオコーナーとカラパスの争いになるでしょう。UAEは今日のステージ優勝と山岳賞を狙って来ると思いますが、頼みのシバコフがこの日も遅れ総合順位を落としてしまっているので、UAEの3大ツールの完全制覇の夢と消えました。今季はポガチャルのWツールとログリッジのブエルタ総合優勝で今年の3大ツールは全てスロベニア勢に持っていかれるという結果になりそうです。
ボーラはレッドブルという大型スポンサーを得て、来季はエヴェネプールの移籍が実現しそうなので、来季はポガチャルのUAEはエヴェネプールとログリッジのWエース体制のレッドブルと戦うことになるでしょう。
現時点でワールドランキング7位のレッドブルですが、来季はヴィスマを抜いて2位に上がって来ても不思議はありません。UAEはイネオスからジョナサン・ナルバエフを獲得するようですが、2年連続世界1のUAEですがそろそろポガチャル1強から脱却していかないと、レッドブルにその座を譲ることになるかもしれません。
今回のブエルタで期待していたデルトロが思ったような成績を残せず、アルメイダがコロナで離脱してしまうと、ステージ2勝に山岳賞という寂しい結果になりそうです。やはりポガチャルを欠くUAEは輝けないのかもしれません。
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