大好き!

美しい自然とともに

きっと良くなる!

2010-12-11 11:35:08 | 日記
 リハビリ病院にいたとき僕とは違う部屋にいた男性のことである。

その人はいつも身ぎれいにして、顔かたちもなかなかな美男子であった。

年は僕と同年代であろうと思われ、他の人と同じように車椅子にいつも乗って、ある程度自由に病棟内を動いていた。

ある程度というのは、確か右手足が不自由で、やることにはどうしても制約があったのである。


 その人は僕とは決定的に違うところがあった。

それは、喋ると、違うのである。どのように聞いても幼児なのだ。小学校低学年よりもっと下に思えた。

きっと、倒れたとき,頭のその部分が壊れたのだろう。

考えていることや、聞いていることまで、幼児なのかは分からないが、顔を洗ったり、食事をすることは、普通に行っていた。

でも、その人をみていると痛ましさを感じてしまった。


 ある日、奥さんが車椅子を押していた、きっと、お見舞いに来ていたのだろう。仲良く話をされていた。

そんな奥さんに、見かけた事の無い男の人が話しかけていた。どうもボランティアに来られた人のようだった。

「奥さん!大変ですね。でも、ご主人きっと直りますよ。元のようになりますよ。」

それを聞いて奥さんは、パッと顔が明るくなった。

傍にいた僕は一瞬何がなんだか分からなかった。何時の間にか、この人は治らないのだろうなと、心の中で決めていたのだ。

この時の別人のように明るい顔になった奥さんの顔は今でも鮮明に覚えている。


 「ご主人の症状は僕と同じですね、僕はもっとひどかったのですよ。

僕の時は担当の先生が、エロ本好きか、というので、いいえと言うと、それではこれかと、パソコンを与えてくれたのです。

興味を持てるものが大事なようでした。それから数年で今のようになったのですよ。

3ヶ月では無理かもしれないけれど2~3年のうちには良くなってくると思いますよ。」

この男の人は僕の目には、どう見ても麻痺のないしっかりした普通の人だった。

その後この車椅子の男性は他の施設に移ってでリハビリを続けているらしい。


 最近、あの時痛ましく思ったのは間違いだったように思っている。

僕もあの人も体の一部が悪いだけなのだ。努力すれば必ず良くなる、

痛ましく思うのでなく、励まし合って一緒に少しでも前に進まねばいけなかったのだ。


 こんなことが在ってから、どんな人でも今の様子で先のことを勝手に決めてはいけないなと考えるようになった。

完治したその人と、笑いながらこの頃の話でも出来る時が来たら良いなと思っている。


どんな人にも素晴しい未来が必ず訪れる。それは僕の 大好き なのである。
 


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