前回の続きです。
私の見た危険を予知した夢について、お話しておきます。
予知夢は、目が覚める直前に見る、ストーリーのないイメージだけの夢であることが多い。
そのときの夢は、私が車を運転していて、誰かを轢くような夢でした。
周囲の情景も何もなく、相手がどのような人かも全くわからず、ただ轢きそうになる時の緊迫したどうしようもない感じだけの夢でした。
予知夢に気づいていなければ「いやな夢を見た」で片付けられたでしょうが、私の場合にはそうはいきませんでした。
予知夢の可能性が高い以上、運転には普段以上に注意を払わざるを得ません。
しかし、1週間経ち、2週間経ち、ひと月も経てば、だんだん緊張感がなくなって、そのうちに夢の事は頭から消えてしまうようになってきます。
さて、夢を見てから1ヵ月半くらい経った晩秋の深夜、私は夜勤のために会社に向かって車を走らせていました。
走り慣れたいつもの道です。
田舎の道で、対向車もほとんど来ない。もちろん歩く人など全く見かけない。そういう道でした。
ただその日は、川を渡るあたりで急に霧が濃くなって、視界が一気に悪くなってきた。
それで、速度を落として車を走らせていると、前方の霧の中にうっすら白っぽく足だけが動くが見えた。
その足が対向車線側から私の車の前へゆっくりと横断している。
私はフルブレーキを踏み、祈るような気持ちで車が止まってくれるのを待った。
濡れてすべる路面でリヤを少し滑らせて、車は人にぶつかる20cmくらい前で止まりました。
そのときに、ものすごいデジャヴがあったのはいうまでもありません。
この話にはおまけがあります。私が轢きそうになったその人が、本当に生きている人間だったのかどうかわからないのです。
すぐそばに自動販売機があったので、その明かりで辺りは少し明るくなっていました。
姿は老婆でした。しかも秋の終わりだというのに、素足にぞうりを履いて麦藁帽子をかぶっている。
12時をまわった深夜なのに、まるでこれから田植えにでも出かけるようなスタイルです。
急停車した車の中で私が冷や汗をかいてぐったりしていると、その老婆は何事もなかったかのように車の前を渡り、助手席側の窓から私を覗き込んだのです。
その覗き込んだ顔には全く表情のようなものがなく、珍しいものを見るようなうつろなまなざし。
私は恐ろしくなって、その場から逃げ出しました。
幽霊を轢きそうになったような、そんな感じに襲われたわけです。
今でも思い出すと怖くなります。
たぶんその老婆は今でいう認知症の方で、しかも一人暮らしか何かで、夏のような支度でも周囲に気遣ってくれる人がいなかったのだろうと、そう思うのですか、それで怖さがなくなるわけではありません。
それ以降、私は夢を思い出そうとか、夢を覚えておこうとか、そういうことはやめてしまいました。
とりあえず事故はなかったわけだし、夢は夢としてほうっておいた方が人間らしく暮らせると思ったわけです。
私の見た危険を予知した夢について、お話しておきます。
予知夢は、目が覚める直前に見る、ストーリーのないイメージだけの夢であることが多い。
そのときの夢は、私が車を運転していて、誰かを轢くような夢でした。
周囲の情景も何もなく、相手がどのような人かも全くわからず、ただ轢きそうになる時の緊迫したどうしようもない感じだけの夢でした。
予知夢に気づいていなければ「いやな夢を見た」で片付けられたでしょうが、私の場合にはそうはいきませんでした。
予知夢の可能性が高い以上、運転には普段以上に注意を払わざるを得ません。
しかし、1週間経ち、2週間経ち、ひと月も経てば、だんだん緊張感がなくなって、そのうちに夢の事は頭から消えてしまうようになってきます。
さて、夢を見てから1ヵ月半くらい経った晩秋の深夜、私は夜勤のために会社に向かって車を走らせていました。
走り慣れたいつもの道です。
田舎の道で、対向車もほとんど来ない。もちろん歩く人など全く見かけない。そういう道でした。
ただその日は、川を渡るあたりで急に霧が濃くなって、視界が一気に悪くなってきた。
それで、速度を落として車を走らせていると、前方の霧の中にうっすら白っぽく足だけが動くが見えた。
その足が対向車線側から私の車の前へゆっくりと横断している。
私はフルブレーキを踏み、祈るような気持ちで車が止まってくれるのを待った。
濡れてすべる路面でリヤを少し滑らせて、車は人にぶつかる20cmくらい前で止まりました。
そのときに、ものすごいデジャヴがあったのはいうまでもありません。
この話にはおまけがあります。私が轢きそうになったその人が、本当に生きている人間だったのかどうかわからないのです。
すぐそばに自動販売機があったので、その明かりで辺りは少し明るくなっていました。
姿は老婆でした。しかも秋の終わりだというのに、素足にぞうりを履いて麦藁帽子をかぶっている。
12時をまわった深夜なのに、まるでこれから田植えにでも出かけるようなスタイルです。
急停車した車の中で私が冷や汗をかいてぐったりしていると、その老婆は何事もなかったかのように車の前を渡り、助手席側の窓から私を覗き込んだのです。
その覗き込んだ顔には全く表情のようなものがなく、珍しいものを見るようなうつろなまなざし。
私は恐ろしくなって、その場から逃げ出しました。
幽霊を轢きそうになったような、そんな感じに襲われたわけです。
今でも思い出すと怖くなります。
たぶんその老婆は今でいう認知症の方で、しかも一人暮らしか何かで、夏のような支度でも周囲に気遣ってくれる人がいなかったのだろうと、そう思うのですか、それで怖さがなくなるわけではありません。
それ以降、私は夢を思い出そうとか、夢を覚えておこうとか、そういうことはやめてしまいました。
とりあえず事故はなかったわけだし、夢は夢としてほうっておいた方が人間らしく暮らせると思ったわけです。