如意樹の木陰

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水滸伝のこと

2006-04-27 22:42:54 | Weblog

昨日、佐藤春夫の水滸伝を探していた話をした。
この本は十代の後半に学校の図書館にあって、2回くらい読んだと思う。
佐藤春夫の本は難しいというイメージがあるが、この水滸伝は読み本風に書かれていてサクサク読める。
水滸伝は、いろいろな人が訳しているから、わざわざ佐藤春夫にこだわる必要はないと考えても、やはり欲しいものは欲しいのである。
佐藤春夫独特の良さがあるのだと思う。

《 追記 》 実はこの『佐藤春夫訳 新譯水滸伝』は佐藤春夫本人が訳したものではないらしいということをあとになって知りました。Wikipediaによれば協力者として名前の出ている村上知行の訳です。しかし、佐藤春夫が名前を貸すくらいですから、それなりに名文です。ちなみに、村上知行は中国文学の翻訳家で、amazonを検索するとたくさん出てきます。

水滸伝に似た物語は、子供の頃から読んでいる。
最初に読んだのはたぶん小学校の低学年で、絵本である。
このタイプのお話のポイントは、こうである。
旅の途中で、あるいは人生の途中で、仲間が出来る。仲間はそれぞれ個性的な特徴を持った人たちである。
その仲間たちが、それぞれの特徴を発揮する事によって、旅の困難を克服する事が出来て、ついに目的を達する。めでたしめでたし。

最初に読んだ絵本は、西洋風なお話だったと思う。
その後、里見八犬伝。
八犬伝はもともと水滸伝を下敷きにして滝沢馬琴が書いたものだから、話の内容は似ている。
里見八犬伝も絵本から始まって、だんだん小学校の図書館にある絵の少ない本に移っていったと思う。
子供の読む本には、あのおどろおどろしい「たまずさ」は出てこなかったように記憶している。

水滸伝の持つ雰囲気は、私の中ではこんな感じ。
季節は夏。人気のない街道のわき道を旅していると、遠くに茶屋の旗が風になびいている。
近くまで来てみれば、川辺の木立の中に、人里離れた場所にしてはこぎれいな店構えの、お酒も飲めれば食事も出来るような店がある。
肉を煮ているのだろう、よいにおいがしている。
愛想のよいおかみさんが奥から出て来る。
とりあえずのどが渇いたので冷やした濁り酒を一杯。
ところがこの濁り酒には痺れ薬が入っている。
実はこの店、店に出す肉がなくなると、しびれた客を肉にしてしまうという、とんでもないやつらの店。
そして、このとんでもないやつらが、水滸伝の108人のメンバーになってゆくわけだから、話はめちゃくちゃである。

学校を卒業したら図書館の水滸伝が読めなくなったので、その代わりに吉川英治の三国志にはまった。
こちらは、水滸伝ほどめちゃくちゃではなく、よく出来た読み物に作られていた。
水滸伝も三国志も登場人物が多いので、いまだに名前がよく覚えられないでいる。
たぶんもうこれから覚える事は出来ないだろう。


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