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暴落の予兆?投資の神様・バフェットが「現金50兆円」貯め込む理由 マーケット分析で浮かび上がってきたこと

2024年12月19日 14時42分44秒 | 社会

暴落の予兆?投資の神様・バフェットが「現金50兆円」貯め込む理由 マーケット分析で浮かび上がってきたこと

yahoo news  2024/12/19(木)   東洋経済オンライン 藤尾 明彦 :東洋経済記者

著名投資家であるウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハザウェイ手元資金を増やしている。アップルやバンク・オブ・アメリカの株式を売却し、保有する広義の現金は2024年9月末で約50兆円に膨らんだ。なぜ「現金シフト」を進めるのか金融アナリストの田渕直也氏に聞いた。

 

※記事の内容は東洋経済の解説動画『手元資金50兆円! バフェットはどう動く?』から一部を抜粋したものです。外部配信先では動画を視聴できない場合があるため、東洋経済オンライン内、または東洋経済オンラインのYouTubeでご覧ください。

動画を見る】手元資金50兆円!バフェットはどう動く?/バフェットの投資手法/株価は割高/株価暴落を見据えている?/金利復活の影響

 

■アメリカの株価は割高

 ――バフェットの手元資金を増やす動きについてどう見ていますか。

 手元資金は基本的に短期国債がほとんどだと思いますが、それ以外の債券を含めると総資産の50%超を占めている。株式から現金への非常に大胆なシフトだと思います。

 現金にシフトしている大きな理由は、アメリカの株価が割高になっているという判断があること。もう1つ、金利が復活していることも大きな要因です。

 ――割高と判断できるのは、どういう理由からなのでしょうか。

 判定基準はいろいろあると思いますが、バフェットがわりと好んでいるといわれてるのが、バフェット指数(当該国の株式時価総額÷当該国の名目GDP×100)と呼ばれるものです。この値が100を超えると危険といわれるのですが、今は210あります。

 バフェットがどの基準を見て割高と判断してるかはわからないのですが、今の株式市場は経済規模に対して非常に割高だという判断はできます。

 それから、株式と債券の利回りを比較したときにどちらが有利かを判断できる基準としてイールドスプレッド(株式益利回り-債券利回り)があります。

 イールドスプレッドはいろいろな定義があって、人によって計算式も違うのですが、私がよく使っている指標は、S&P500の益利回り(PERの逆数)から債券利回りを引いたものです。

 10年ものの債券で計算すると、マイナス1%程度になっています。株式投資の利回りが債券に比べて低くなっている、つまり割高になっているということです。マイナスになったのが22年ぶりなので、これも株価が割高になっているという判断基準の1つになると思います。

あともう1つ、私が個人的に株式の割高・割安を判定するうえで最も信頼性が高いと思っているのはCAPEレシオで、これはPER(株価収益率)の一種です。

 通常のPERは今の利益に対して株価が何倍かを計算したものですが、短期の業績動向によって、数値が大きく変動してしまう問題があります。

 CAPE指数はそれを排除するため、過去10年の平均利益に対して株価が何倍になってるかを計算します。これが20~25倍を超えると危険といわれているのですが、今は39倍です。ということで、アメリカの株価についていろいろな指標が割高だと示唆しています。

 

■3つの指標が高い水準になっている理由

 ただ、なぜ割高といわれるような高い水準になっているのか、理由もあるんです。

 1つ目に紹介したバフェット指数が大きくぶれないとされるのは、GDPに占める企業利益の割合が時代とともに大きく変わらないだろうという前提条件があります。

 ところが、現実には労働分配率が低下し、企業の取り分である企業利益が上がっています。「マグニフィセント7(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、エヌビディア、テスラ、メタ・プラットフォームズ)」といわれるような利益率の高い巨大企業の株式市場でのプレゼンスが上がっていて、バフェット指数も時代とともに上がっていかざるをえない。

 なので、100超えは危険という基準が今の時代には当てはまらないと思うのですが、じゃあどこまで上がっても大丈夫なのかといえば、そんなことはない。どこに警戒水準があるかはわからないが、今は200を超えていて「これはそろそろ危険なのではないか」という判断はできると思います。

 それから2つ目のイールドスプレッドは22年ぶりにマイナスになりましたが、企業の利益成長期待が高い時代にはマイナスのスプレッドは十分ありうる。では今のマイナスのスプレッドは何によって生まれてるのか。おそらくAIブームだと思います。

生成AIは技術的にも大きなブレイクスルーですし、産業構造もどんどん変わっていくでしょうし、生産性もどんどん向上していくかもしれない。

 一方で「AIブームって本当にものになるの?」というところはまだ見えてない。そこの期待がはげ落ちたら「マイナスのイールドスプレッドって何だったんだろう?  結局、株価は割高だったね」となる可能性は十分にあると思っています。

 3つ目のCAPEレシオについても20~25倍は危険といいましたが、時代とともに上がっていくトレンドになっていて、1990年代以降の平均では30倍ぐらいになっている。

 なぜそうなっているのかといえば、最大の理由はカネ余りだと私は思っています。実際の経済活動には使われないお金が余っていて、債券市場や株式市場に流れ込まざるをえない。これが世界的な金利の低下や株価の割高に結びついている。

 

■株価は割高→暴落とはならない

 ただ注意しなければいけないのは、カネ余りの時代で割高になったから株価が暴落するという短絡的な関係はなかなか成り立たないと思います。株価が下がると、待ち構えていた資金がバーッと入ってくるので、おそらく下落局面はわりとすぐ済んでしまう

 では、割高とはどういうことなのかいうと、これは株式投資収益率が低下するということです。CAPEレシオはPERの一種で、PERが上がるということは企業の成長率を先読みして株価に織り込んでいくということ。つまり利益を先食いするということなので、PERが上がれば上がるほどこれから5~10年で見た株式投資収益率は下がっていくことになる。

 バフェットは短期的な相場の予想に頼らない人なので、暴落を予想して株式から現金にシフトしているのではなく、ここから先は株式の収益率も下がっていくはずだと思って現金や債券にシフトしているのではないかと私は考えています。

 

動画内ではこのほかにも『金利復活の影響』『94歳バフェット「次の一手」』『バフェットのまねをするのはありなのか』『日本人も米国債を買うべきか』について聞いています。


「コロナ対策の事後検証」布製マスクの「製造過程」になぜメスを入れたのか?田中弥生・会計検査院長

2024年12月19日 12時35分01秒 | 社会

布製マスクの「製造過程」になぜメスを入れたのか?...田中弥生・会計検査院長に聞く「コロナ対策の事後検証」

Yahoo news  2024/12/19(木) ニューズウィーク日本版  田中弥生+土居丈朗

<布製マスクの在庫は注目されたが、製造過程についてはあまり報道されていない...『アステイオン』101号の特集「コロナ禍を経済学で検証する」より3回に分けて転載。本編は第1回目>【田中弥生 + 土居丈朗】

 

布製マスク配布事業、持続化給付金事業、病床確保事業、巨額の予備費など、新型コロナ対策には財政支出が多額に投じられたが、その財政運営に会計検査院がメスを入れたことが話題になった。その一端について、田中弥生・会計検査院長に本誌編集委員の土居丈朗・慶應義塾大学教授が聞いた。

   ◇ ◇ ◇

▲コロナ禍初期段階の会計検査院の対応について

■土居 2019年度末頃のコロナ禍初期から新型コロナ対策が財政的にも注目され始めていましたが、当時は検査官であられて、新型コロナ対策に関して、会計検査院として何らかの対応が必要になるという予兆はあったのでしょうか。

■田中 会計検査院は憲法90条に基づき、独立した立場から国の財政を監督する機関です。きちんと検査をして、次のパンデミックや災害のために教訓として歴史に残る記録を残さなければならないということを当初から議論していました。

■土居 混乱状態のなかで記録を残すことがすでに議論されていたとは驚きです。しかし、これから何が起こるかも分からないなかでは難しかったのではないでしょうか。

■田中 まずはそもそも新型コロナ対策に対して、何らかの指摘をするかどうかについて議論しました。コロナ禍が始まったばかりの試行錯誤している段階で「あれもこれも駄目」とは言えないだろう、と。ですから、初年度は見守ることになりました。

2021年秋に公表した令和2年度(2020年度)決算検査報告の第4章に「特定検査状況(特定検査対象に関する検査状況)」という項目があります。

これは「状況を見守ること」に関する項目で、「GoToキャンペーン事業」や「持続化給付金事業」などを入れました。翌年にはある程度状況が見え、判断ができるだろう。もし何かを指摘するのであれば、2022年(令和3年度決算検査報告)以降になるであろうことは幹部職員らとも当初から議論していました。

 

▲布製マスク配布事業について

■土居 新型コロナ対策の中では、最初に布製マスク配布事業が話題になりました。これについては検査官、または会計検査院としてどのように動いたのでしょうか。

■田中 布製マスクの良し悪し、配布の是非については会計検査院としてジャッジしないことにしました。むしろ、どれほどの費用が使われたのか、製造過程や契約で問題がなかったか、配布のプロセスに課題がなかったか、そして在庫の管理がどうなっているかに注目しました。その中で法的またはシステム上の問題がある場合に指摘することにしました。

会計検査院は毎年、国のすべての収入と支出の決算を検査しますが、政策そのものを頭から評価することはしません。また、布製マスク配布事業は「特定検査状況」として記され、少し緩やかな所見になりました。

■土居 会計検査院は正確性、合規性、経済性、効率性、有効性という5つの観点を掲げて検査を行なっている。実に会計検査院らしい目線で布製マスク配布事業の分析と検査をブレずにされたという印象です。この件については、何か反響はありましたか。

■田中 布製マスクはメディアでもかなり取り上げられ、在庫が8200万枚も余ったことが注目されました。しかし、布製マスク配布事業に1044億円もの予算が投じられたことはあまり報道されていません。我々は在庫に至る前段階、つまり製造契約の問題にも注目しました。

驚いたのは、契約に当たって仕様書がなかった点です。口頭で伝えるだけで製造が進められ、瑕疵(かし)担保責任が明確でなかったため、後に不良品が出ても修繕や交換に応じてもらえないケースもありました。結局、検品作業を厚生労働省が自ら行なうことになったのです。

当初、厚生労働省が数億円を払って検品会社に委託しましたが、世論の批判を受け、最終的にはメーカーが負担する形での契約に変更しました。しかし、この対応にかかる費用も非常に大きく、仕様書を作らなかったことや瑕疵担保責任を明記しなかったことで、結果的にコストが増大してしまいました。

■土居 混乱の最中とはいえ、法律に厳しい霞が関にしては、特に契約上の瑕疵担保条項については凡ミスに見えますね。

■田中 これは検査報告にも記載しましたが、一部のメーカーでは短期間で布を調達し、納品するリスクが大きすぎるとして、瑕疵担保条項を削除するよう求めたそうです。緊急ということもあり、仕方なく条項を削除した結果、問題が残ってしまったのです。また、契約相手方の見積額と同額をそのまま予定価格にしてしまったという問題もありました。

■土居 前例のない事態のなか、マスクの緊急製造という初めての新型コロナ対策では、厳しく指摘できなかったという事例ですね。

 

持続化給付金事業について

『アステイオン101』号 Newsweek Japan

■土居 2020年度に、新型コロナ対策で会計検査院が重点的に取り組んだ項目は他にありますか?

■田中 いわゆる新型コロナ対策関連経費の中で、1つ挙げるとすれば持続化給付金事業です。

持続化給付金は423万件に対して計5兆5500億円が給付されましたが(2021年3月末まで)、背後では多層の再委託が行われています。

受託者である一般社団法人サービスデザイン推進協議会から大手広告代理店・電通などに99.8%再委託し、そこから更に9階層に及んで延べ723者が関与していました。

このような多重階層では受託者が管理するのは困難であるとして、再委託の範囲や仕事の適切性を明確にすべきだと申し上げました。

■土居 その後、2021年度や2022年度にも補正予算を通じて作られた基金でも同様のケースが見られました。持続化給付金事業ほどではないにせよ、基金の運営における再委託の問題がまだ残っているように思います。

■田中 2023年秋に「令和4年度(2022年度)決算検査報告」を公表し、「特定検査状況」として報告したガソリン価格を安定させるための燃料油価格激変緩和対策事業ですね。

6兆2000億円の予算が組まれ、一般社団法人全国石油協会が、基金設置法人として選ばれました。そして、同協会と博報堂との間で委託契約が結ばれ、受託者である博報堂を通じて別の大手広告代理店に77.0%再委託していました。

委託の内容ですが、主に補助金申請の処理とガソリンの販売価格の調査です。ガソリンは卸売事業者(石油輸入業者)が30社しかありませんが、ガソリンスタンドは全国に約2万8500店あります(検査当時)。ですから、ガソリンの価格や売上に基づいて卸売事業者に交付する補助金を調整し、頻繁に補助金の申請を行う必要がありました。また、ガソリンの販売価格の調査を全ガソリンスタンドに対して行なうことになっていました。

■土居 一回一回の申請ごとに交付事務が必要という構図ですよね。持続化給付金事業の場合は100万円から200万円規模の給付金が423万者に交付されました。再委託に関して所管省庁のモニタリングの甘さがあったのではないでしょうか。

■田中 それには、霞が関の体力不足も影響しています。実はGoToキャンペーン事業では、イート事業を実施する農林水産省が144件のすべての契約事務を自力で行おうとしました。GoToEatキャンペーン準備室に配置された職員を9人から最大20人に増員して対応しましたが、検査時点で半分以上にあたる85件の契約事務が完了していませんでした。

この事例は、トランザクションコスト(取引費用)の観点からも、すべての業務を省庁が自力で行なうことの難しさを示しています。ですから、委託そのものが悪いわけではないということです。

■土居 なるほど、そういった背景があるのですね。どういう形で民間に財政支出をするかはケース・バイ・ケースですが、ルーズに予算を出してはいけないというのが、今回の新型コロナ対策の関連事業からの教訓ですね。

 

▲コロナ病床確保事業について

■土居 コロナ患者を受け入れる病床として確保していたのに使用されなかった、いわゆる「幽霊病床」も話題になりました。

そもそも、医療機関が得る診療報酬は医療行為に対する報酬であり、患者がおらず空床だと診療報酬が支払えないことから、診療報酬とは別に補助金という形で、コロナ病床として確保した医療機関に対して病床確保料を支払ったわけです。

病床確保料に関する検査も会計検査院は行なったと聞きました。具体的にどのような形で検査をしたのでしょうか。

■田中 コロナ病床確保事業には、補助対象期間にコロナ患者等の入院受入体制が整い「即応病床」として確保された病床(以下、「確保病床」)と、コロナ患者等を受け入れるために看護職員等が従来配置されていた病棟を閉鎖したり、多床室の一部の病床を空床としたりしたために休止した「休止病床」の2種類があります。

コロナ患者用の病床を確保すると、他の患者を受け入れられなくなるため、その間に稼働できない病床にも補助金が出されました。

まず補助金の財源や制度を確認し、その上で執行状況を調べました。病床確保事業の対象とされた病院や医療機関は全国で3483施設ありましたが、そのうち計496の大規模医療機関(国立大学病院や独立行政法人が設置する医療機関など)を中心に検査し、随時報告という形で2023年1月に報告をまとめました。

しかし、当時、検査対象となった市区町村の医療関係の部局や民間のクリニックは僅かで、主たる実地検査の対象に含まれていません。

■土居 実地検査の対象に含めなかったのは、要請したけれども受け入れてもらえなかったということでしょうか。

■田中 市区町村については特に配慮し、コロナワクチン接種が始まった年には実地検査を控えました。また、2021年には全国知事会から会計検査を控えてほしいとの提言もありました。

■土居 それでは自治体の都合で「来てほしくない」と断っているように見えますね。国費を使っている以上、会計検査を受けるのもやむを得ないと思ってくれないのでしょうか。

■田中 現場に負担をかけないために、できる限り中小規模の病院への実地検査は控えました。しかし、都道府県の担当部局は情報収集や医療機関間連携で重要な調整機能を果たしていたため、実地検査に協力してもらいました。

実際に確保病床と休止病床に対して1日当たり最大43万6000円の補助金が支払われました。さらに、コロナ患者を実際に受け入れて稼働した際には、看護師の人件費等として、1ベッド当たり1500万円が支給されました。独立行政法人国立病院機構には、計1800億円の補助金が投入されています。

都道府県にヒアリングを行なったところ、次にいつ患者が増えるか分からない中で病床を減らし、その後、感染が拡大した際に病院にベッドを確保してほしいと再度頼むことが難しい、と。その結果、病床は増え続けたのですが、事態がどう動くか分からない中でこれを責めることはできません。

また、検査対象となった補助金交付対象の病院の病床利用率は全国平均で約60%でした。しかし、中には病床利用率が50%未満の病院もありました。

■土居 補助金を受けて病床を確保した割には、病床利用率が50%未満という病院があったというところが、まさに「幽霊病床」と呼ばれた所以ですね。補助金をもらうだけもらいながら患者を受け入れられなかったということもありえますよね。

■田中 その理由についてもアンケートを取ったところ、そもそもコロナ患者が来なかったり、病院内でクラスターが発生したり、専門病院とのミスマッチが原因で受け入れができなかったという回答がありました。

■土居 そうした事情は、外部の専門家に報告を読んでいただき、さらに実態を解明してもらうことを期待したいところですね。

■田中 我々はあくまで国の収入と支出を検査する機関であり、政策の妥当性そのものを評価する立場になく、アンケート調査以上のことはしていません。しかし、この報告をご専門の先生方に見ていただければ、これからの医療体制の在り方を検討していただく1つの情報源になるのではないかと思っています。


兼業で過労自殺、労災認定 名古屋北労基署が心理的負荷を「合算」

2024年12月19日 11時53分32秒 | 社会

兼業で過労自殺、労災認定 名古屋北労基署が心理的負荷を「合算」

2024年12月16日 中日新聞

 

 岐阜大の研究者と大手航空測量会社の技術者を兼業していた愛知県の男性=当時(60)=が精神疾患を発症して自殺したのは、2職場での心理的負荷が重なったためとして、名古屋北労働基準監督署が負荷を総合評価し労災認定していたことが、関係者への取材で分かった。

 労災認定を巡っては、2020年改正の労働者災害補償保険法で、複数職場の業務上の心理的負荷などを合算し、総合的に判断できるようになった。遺族側の代理人弁護士によると、法改正以降、負荷を総合評価し、過労自殺が労災認定された事例は珍しいという。

 代理人弁護士によると、認定は今年4月11日付。男性は19年12月ごろから航空測量会社「パスコ」(東京)と岐阜大で兼業しており、21年5月にうつ病を発症した末に自ら命を絶った

 パスコでは、橋梁(きょうりょう)の点検調査業務に従事したが、社内に橋梁の専門部署がなく、データの処理から取りまとめを1人で担当しなくてはいけない状況だった。同時に、岐阜大では、担当の准教授からパワーハラスメントを受けていたという。

 労基署は、各職場での心理的負荷の強度は3段階で真ん中の「中」と評価し、いずれも「恒常的な長時間労働は認められない」とした。だが、2職場の業務の内容や時間的近接の度合いなどを総合的に検討し、合わせた負荷は「強」にあたると認定した。

 副業や兼業は、国の働き方改革の一環で推進され、総務省による22年の調査では副業を持つ人は約305万人で5年前より約60万人増加複数の会社にまたがる労働時間や業務負担の管理や把握は難しいが、過重労働につながりかねず、実態に沿った労災認定が求められてきた。厚生労働省によると、法改正から23年度までに複数職場の負荷を総合評価し労災認定した死亡事案は4件で、脳や心臓の疾患によるものだった。

 代理人の立野(たちの)嘉英弁護士は「複数の職場から生じるストレスの蓄積について、どのように健康管理できるか、議論を深める必要がある」とコメント。男性の20代長男は「教育機関として立場が弱い教職員・学生の環境改善を望む」と話しているという。

 パスコは「労基署から直接的な指導などはなく、詳細については確認中」、岐阜大は「適切に対応しており、労基署から指導を受けていない。詳細については個人情報の観点から差し控える」としている。

 独立行政法人「労働政策研究・研修機構」(東京)による22年の調査では、副業をしている人は、仕事をしている人の6%。女性は男性より2・3ポイント高い7・4%で、年齢が高いほど割合が高かった。副業をしている人の本業は非正社員が41%。本業の勤め先に副業を知らせていない人は37・5%だった。

 

負荷の合算は画期的な事例

 南山大・緒方桂子教授(労働法)の話 2020年の制度改正以来、業務の質的な負荷を合算し、労災認定された事例は聞いたことがなく画期的。今後、同様の認定事例も出てくるとみられ、労働者にとっては救済される可能性が広がった。使用者側は、パワハラなどをせず従業員を適切に処遇するのは前提として、兼業する労働者の全体の労働時間を把握しておく必要がある

使用者側にも難しい問題

 専修大・広石忠司教授(人事管理論)の話 兼業や副業が増える中、懸念が現実になった雇う側と雇われる側の力関係があり、兼業の労働者が使用者に労働時間や業務量の配慮を求めるのは難しい一方、使用者がどこまで労働時間管理や安全配慮義務を負うかも難しい問題兼業や副業を積極的に進めてきた国は、こうした事態をどれほど考えていたのか疑問である。

 

「困るのは自分」申告ためらう兼業者 国の想定と乖離する現実とは

2024年12月16日 朝日新聞 華野優気 山本逸生

 

 国は「働き方改革」の一環として副業・兼業を推し進める。「起業やイノベーションの促進」が旗印だ。しかし、実際は生活のためにやむなく仕事をかけ持ちする人がほとんどで、目的との乖離(かいり)が起きている。

「兼業で過労自殺」労災認定 法改正して初、心理的な負荷を「合算」

 大阪府交野市の男性(52)は、同市でごみ収集業務の会計年度任用職員として働く。朝8時45分から午後5時まで勤務し、週4日はそこから府外の運送会社へ向かう。10時まで倉庫での仕分けにあたり、帰宅すると11時近くになる。休憩は昼の1時間だけだ。

 妻と長女の3人暮らし。年収は、副業を合わせて400万円ほど。妻もパートで働くが、長女が通う私立大の学費の支払いもあり、生活に余裕はない

 自治体には正職員としての採用を求めているが、認められていない通算で法定労働時間を超えているが、もらえるはずの割増賃金の支払いもない。「『嫌なら辞めろ』と言われれば困るのは自分。我慢するしかない」

(以下有料記事)


八丈島・青ヶ島への旅④ヘリから眺める青ヶ島・八丈島 島寿司・大里の玉石垣・樫立温泉・中之郷温泉

2024年12月19日 08時52分07秒 | 東京都

八丈島(八丈富士・三原山)と八丈小島。青ヶ島ヘリポートから。東京都青ヶ島村。

2024年12月1日(日)。

7時30分から「あおがしま屋」別棟で和朝食。半分ビュッフェスタイルだ。朝食後に宿代などを精算した。女将の夫は愛知県の三河地方の出身で、私と同年らしい。くろしお丸は先週は月・火のみ運航で、夫は八丈島からくろしお丸で今日帰るという。女性の一人客は、その往路便で帰るという。この時期は、だいたい月・火のみの運航になってしまうようだ。キャンプをするつもりもあったと言うと、以前キャンプ場で泊まり、「あおがしま屋」でも泊まった女性がいたという。船ならともかくヘリだとテントなどは運べないよね、と言うと、郵便局に送る人もいるという。

9時30分過ぎに青ヶ島ヘリポートに着くと、昨日と同様好天に恵まれて、八丈島と八丈小島がくっきりと見えていた。

青ヶ島ヘリポートに着陸する東邦航空「愛ランドシャトル」。

東邦航空「愛ランドシャトル」の八丈島空港9時55分発青ヶ島10時15分着のヘリは待合室から見ると点のような形で近付いてきた。ヘリポートに近づくと右側に回り込んでしばらく見えなくなったが、あっという間にヘリポートに着陸してきた。

着陸前に待合室のガラスドアで着陸を待っている乗客が2人いたので、私は中に入るように声をかけた。制限エリア外に決まっているからだ。ガラスドアに一番近い位置にいたので、数人が撮影するのかと思い、ドアを開けたままにしていたら、「寒い風が入ってくるからガラスドアを閉めろ」と私に注意する人物がいて、係員にアピールした。係員がガラスドアを閉めて待つように規定されていると言ったので、ドアは閉められた。事故でヘリのローターが飛んでくることもないわけではないので当然だろう。ガラスドアから着陸風景を撮影すること自体は規制されていないようで、撮影したのは私一人だけだった。

青ヶ島発は10時20分、八丈島空港着は10時40分で、ほぼ定刻どおり出発した。往路便も復路便も操縦士後方窓側であった。

青ヶ島を出たあとに、そういえばと思ってカメラを青ヶ島方向に向けて撮影した。後方に手を向けただけなので、どう映っているかは分からなかったが、うまく撮影されていた。

中央奥は尾山展望公園や大凸部などの外輪山北部で、丸山などのカルデラは見えない。中央上部の反射している人工物は取水場などの水道施設である。その下が東西に分かれた岡部地区で、建物が点在している。その下はジョウマン共同牧場の牧草地帯だろう。

青ヶ島を出て一直線に八丈島へ向かっているので、八丈小島・八丈富士・三原山は常時見えていた。八丈小島と八丈島の間は想像以上に広い。

八丈島の樫立・中之郷エリアか。

明日葉そば。八丈島空港レストラン。

1000円。それなりに美味い。羽田空港から八丈島空港に着いた11月30日にレストランのメニューサンプルを見たら島寿司と明日葉そばのセットが一番人気で2000円と書いてあったので、空港に着いて注文しようとしたら、なかった。予約で売り切れたという。島寿司が食べたかった、というと「八丈ストア」にはあるはずだという。

「バスパ」という八丈町営バスの路線バス・3温泉フリー利用できる1000円のフリー乗車券を活用するつもりで旅行前からバスの時刻表を見てシュミレーションを繰り返してきたせいで、11時22分八丈島空港バス停乗車、11時29分八丈ストアーバス停下車で、島寿司購入後、徒歩で11時51分護神バス停発に乗車し樫立温泉(ふれあいの湯)下車の行程を実行することにした。

バスに乗った途端、八丈島歴史民俗資料館が12月1日から長期休館になったという掲示に驚いた。知っていれば11月30日に見学していた。約2年後に大賀郷の「歴史民俗資料館」バス停近くに新設されるという。末吉温泉休業と同じくショックを受けた。

「八丈ストア」。三根(みつね)地区西端、八丈島空港東端近くにある。「スーパーあさぬま」より車の数が多い。内部の品ぞろえも多かった。島寿司コーナーを教えてもらって、覗いてみると松・竹・梅のように魚の種類が分かれて並んでいたので一番安い「かっぽれ」1080円を購入した。

島寿司「かっぽれ」1080円。

大里のバス停で中之郷方面行きバスを待つ間に食べた。大東島で島寿司は食べたことがあるので味は分かっていた。

天照皇大神宮護神バス停がある交差点から見えた。

大坂トンネル手前から眺める八丈小島。

樫立温泉(ふれあいの湯)。建物前にバス停がある。

温泉の浴槽は広い。湯質も良かった。ツアー団体の客もいた。このあと、バスで大里へ。

大里の玉石垣。六方積みという手法で横長の玉石が規則正しく積み上げられている。かつて、流人が積み上げたという言い伝えが残っている。

きりがないので、適当に切り上げて、青ヶ島が見えるという中之郷温泉「やすらぎの湯」に行くことにした。13時50分過ぎに大里で乗車して14時3分ごろ「中田商店前」で下車し、海岸へ下っていった。前日の青ヶ島徒歩旅行で3万歩以上歩いていたので、荷物全部を入れたデイパックを背負って坂道を下るのはつらかった。

海岸近くから眺める青ヶ島。

「やすらぎの湯」への案内標識は一つもないが、ひたすら坂道を下ると建物があった。左に行きかけたが間違いと分かったので建物を右から左へ巻いてさらに下った。この近辺に「名号墓」というものがあった。

名号墓。

本日初めて史跡らしきものに出会った。

14時40分頃に中之郷温泉「やすらぎの湯」に着いた。

湯質は平凡だが、窓の外には海の中に青ヶ島が浮かんでいた。入ったときは2人程度だったが、すぐに10人近くになった。外に出ると車が10台ほど駐車していた。

バス通りまで坂を登っていくと40代ぐらいの入浴帰りの女性が抜いていった。途中で魚をさばいている料理人らしき老人と親しく話をして横道に入っていったので地元の人だろう。

学校帰りの中高生にも挨拶されながら、1時間ほどかけてバス通りにたどり着いた。バス停近くの「八丈ストア・ミニミニ店」でCGCの安いペットボトル茶を購入した。16時38分のバスに乗車して、大賀郷の「大脇前」で下車し、八丈島の観光を終えた。

翌朝は底土港から竹芝桟橋への旅客船で帰ることにした。

八丈島・青ヶ島への旅③青ヶ島の絶景 二重カルデラ 尾山展望公園