泥まみれの虎―宮崎駿の妄想ノート

2009年12月27日 01時04分23秒 | 巻四 模型・ミリタリー
宮崎駿の映画って、そんな観てる訳じゃない。
とくにここ10年くらいのは全く知らない。
だから、映画製作との関連での話は出来ない。

泥まみれの虎―宮崎駿の妄想ノート
宮崎 駿
大日本絵画

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単に戦車がカッコいいから好きなんだ、ということではなく
人類の恥部であり暗黒面である戦争=兵器を知らずして(安直に平和を語るな)。

…カッコ内は俺の脳内補完だが、
宮崎さんはこのように作中で「強弁」している。
その通りだと思う。
いまどき兵器にアレルギー反応する方々がどんだけいるのか知らないけれども、
そうした「人間のどうしようもなさ」を直視して初めてその先に平和論がある。
兵器は、その時点での国民性や経済状況や「必死さ」を残酷なまでに映し出す鏡なのだ。

---------- キリトリ -----------

カリウスはあくまで淡々と(精神論とか主義主張抜きで)
自分の職責を果たそうと務める。そんな人であると感じる。
寒さと疲労と空腹のなかで、
それでも自分の主体的判断で行動する。生きるために。使命を果たすために。
組織に対して言うべきことは言う。
そして最後は、与えられた条件の中で最善を尽くす。
美化され過ぎじゃないかと思うくらいに、でもやはり美しくカッコよい。
タイガー薬局を営む「その後のカリウス」爺も、カッコいい。
一方から見れば、それは単に侵略行為のひとつに過ぎないのだとしても、
その事実は受け止めつつ、
それでも人間カリウスの生きざまは勉強になる。戦争以外でも。

---------- キリトリ -----------

キャストはみんな豚、である。
だからいいんだな、と思う。
これが人間の姿だと、リアルすぎてちょっとキツイかも知れない。
ワンクッション置く、という意味と、
読む側の想像力が活躍する余地を与えてくれている、という意味がある。

---------- キリトリ -----------

戦車の中って、臭いんだな。ほんとに。
汗と油と煤と排泄物とシラミまみれの世界。
黒服の颯爽とした戦車兵、ってな単純な話ではない。
こういう感覚を視覚で教えてもらえるのは貴重。

---------- キリトリ -----------

後半に掲載されている「ハンスの帰還」もいい。
まるで、「カリオストロの城」あたりの追いかけっこを見ているかのようで、
静止しているマンガなのに「動いて」いるのだ。
ストーリーもいい。
カリウスの話にも通じるが、
与えられた(放り込まれた)状況の中で
けして諦めず、最後まで最善を尽くす姿には、
やはり胸を打たれずにいられない。

---------- キリトリ -----------

まあ、そうんなこんな真面目に論ずるまでもなく、
けっきょくやはり宮崎さんは戦車が大好きなんだと思う。
ブンブンドドドド ドッカーン が好きな人なのだ。
ティーガーはもちろん、
散々腐している4号にだって惚れ込んでいるはずだ。
この作品には、そんな戦車愛が溢れまくっている。

「あなたも、ほんっっっっとに好きですね(ニヤリ)」と
同好の一端にいる者としては微笑むしかない。
(宮崎さんと自分を同列にするとはあまりに僭越ではあれ)

---------- キリトリ -----------

また三鷹の森行きたいなあ。

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