楕円と円 By I.SATO

人生も自転車も下りが最高!
気の向くままに日常と趣味の自転車旅を綴ります。

ウポポイ

2020年07月13日 | 日記
 
 
白老町にあるポロト湖沿いの細い林道を奥に入ると静かな林間キャンプ場がある。
 
2007年の夏に「アイヌ民族博物館」で開催されていた“ポロトコタンの夜”を体験するために自転車で訪れたことがあった。
 
夜8時から9時まで、アイヌの住居であるチセは幻想的な雰囲気だった。
 
火の神への祈りで始まり、歌、鶴の舞、民族楽器のトンコリの演奏、最も重要な儀式であるイヨマンテの踊り、最後は自家製サケの薫製であるトゥバの試食、これらがアイヌ族の血を引く長老の解説で厳かに進行した。
 
このたび、辺り一帯がウポポイ(民族共生象徴空間)として整備され、「アイヌ民族博物館」が新装オープンになった。
 
観光資源に埋没することなく、北海道先住のアイヌ民族に伝わる自然と共生するイオル(居住空間)の精神文化と自決権を深く理解し、伝える施設として定着して欲しい。
 
北欧では先住民の言葉が学校で教えられ、国会議席が優先的に付与されていると聞く。この機会に議論を始めるべきだがそのような気運はない。
 
かつて、農業政策でも「ウタリ対策」というものがあった。“箱物”の環境施設整備が中心だったが、積極的に手を上げる地域もあれば、「知られたくない。」と静かにしている地域もあって複雑な思いをしたものだった。
 
アイヌ民族の人権を重んじる新法が長い闘いの末に制定されたのは、なんと10年ちよっと前のこと。落ち着いたら又自転車で『ウポポイ』を訪ねて先住民の歴史に触れる時間を持ちたい。