何年か前に自助、共助、公助が盛んに言われて「自己責任」だけが強調された記憶がある。いつの間にか消えてやれやれと思って
いたら管政権になってイの一番に言われ始めた。公助の責任者の口から冷たい世の中の到来を感じさせる。
内田樹氏のツイートが核心を突いている。自助、共助、公助の震源地はやはりあの人だった。
竹中平蔵が「7万円のベーシックインカム」を言い出したのは「BIというのはお上が下々に施すものである」という気後れを市民の間に刷り込むためです。市民から自尊感情を奪えば、それと一緒に政府に抗う気持ちも失われる。やることが徹底してます。
— 内田樹 (@levinassien) September 25, 2020
「ベーシック・インカム」(B.I)という言葉に出会ったのは数年前にフィンランドが導入実験を始めたというニュースでだった。
農家所得補償制度との類似性に興味を持った。
殆ど世の中に知られていないが、民主党政権の時に「農家所得補償制度」が導入された。まだ機能していたWTOが国際貿易を歪め
るような過剰な生産刺激政策にブレーキをかけるためにチェックを厳しくした時に各国が〝安全策〟とされた直接所得補償方式を
採り入れた。
日本は作物ごとの複雑な「価格保証制度」を一本化して、農家世帯単位で所得補償する仕組みでとにかくスタートした。
記憶も薄れたが、ざっくり基礎部分と品質部分の2階建てになっていて、作物毎の翌年の再生産に必要な経費にその年の品質向上
努力を金額加算して経営の安定を図ろうとするものだった。
欧米の政策に一歩近づいたかなと思ったが自民党政権に替わって廃止された。理由は分からない。制度が続き改良が加えられ来て
いれば家族経営がもっと生き残れたのではないかと思うことがある。
B.Iは個々人に対する最低限の生活保証金であり、不足はやってみたい仕事を見つけて働き、最終的に収入の合計に課税される。
「仕事」そのものを考えることにも繋がるとされる。
就業による打ち切りが無い、世代間の所得と労働の再配分が可能、保育・介護などの仕事の価値に見合った給与が必ずしも支払わ
れない職業への就業促進、AI社会の失業対策・・・等々のメリットがあるとされる。勿論、働く意欲の低下といった課題もある。
年金、雇用保険、育児給付金、疾病給付金などの既存のセーフティネットをどのように統合して財源を確保するか、給付水準をど
うするか等の難しい課題は山積しているようだが、貧富の格差を拡大してゆく新自由主義、グローバリズムの行き詰まりが見えて
きて、ヨーロッパ諸国だけでなく途上国でも議論が白熱しているという。
管政権は国民受けのするマイナーな政策にしか目を向けていない。竹中氏の7万円は根拠が分からない非現実的な数字だ。国の骨
組み、人生観に関わるB.Iを歪めた形で導入しようとしている気がしていて内田氏の指摘に頷いた。
先日、BS番組で小沢一郎氏がB.Iということではないが、減税などの“生活第一”の「財源は十分ある。」と発言していた。野党が一
つになって政権を取った暁には歪められたB.Iはあっさりと廃止して欲しいものだ。