熊本に住む妻の親戚から『木鍬』(コクワ、さるなし)を食べてみたいとリクエストがあり送った。
子供の頃はどこの裏山にも山ぶどうとコクワがあって遊んでいる時のおやつだったが今は殆ど見かけない。
一昨年、農家の手伝いに行った時の昼休みに何十年ぶりかで近くの防風林で見つけて「コクワ酒」を作った。3年目に入って薄黄色から琥珀色に染まってきた。
季節の変わり目や祝い事の時に盃一杯を呑んでいる。
今年も成っていた。
キウイフルーツそのものだ。
環境経済学の本で自然に手を加えると必ずどこかでリアクションが起きているということを読んだ記憶がある。吉本隆明も同様のことを述べている。
最近は若い哲学者の書いた『人新世の「資本論」』が話題となった。
あまりに単略的な経済思想が社会の歪みを生み出した。
必要なものだけ、量だけ自然から頂くという“イオル思想”を持つアイヌはことの本質を良く知っている民族であることを思う。
畑をもっと広げたらコクワは無くなる。
摘み取りながらそんなことを思った秋の一日だった。