楕円と円 By I.SATO

人生も自転車も下りが最高!
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道のパーティ券購入問題

2025年02月02日 | 日記
自民党議員の裏金事件が明かになっている最中にまだこんなことが行われていたのかと30年前の不正経理事件の渦中にいたOBとして驚き、残念に思う。

私費の親睦団体である道の本庁各部の部課長会が政治家のパーティー券を購入していたことが北海道新聞で何度か報道されている。
道によると2024年度に少なくとも22枚購入していたという。


不正経理の背景には、役所には接待費のような予算は無く、当時、出始めた携帯パソコンのような高価な備品の購入予算も少ないこと等があった。
そのため、旅費予算を架空の出張(カラ出張)により現金化して手当てしていたが、これが〝官官接待〟として毎朝のように新聞、テレビで報道され、社会の指弾を浴びた。

全庁を挙げて調査し、管理職は数年に亘って返還すべき不正経理額として30億円くらいを毎月の給料から返済した。


当時、再発防止のための文書がいくつか出た。
1996年2月の〝改善プログラム〟ではパーティ券の購入は一切禁止したはずだし、会議の後の懇親の場の参加についても、領収書はもとより、参加費の上限、集まりの態様などについて事細かく定められ、出欠の判断に迷うものは新たに設置された担当部署へ適否を照会し、事後報告も義務付けされていた。
かなり神経質になって対応していた記憶がある。

報道によると、鈴木知事は〝改善プログラム〟は「不正経理の改善に向けて取り組むための方針」との認識を示し、1995年12月と2020年10月に発出した通達が「内規」であり、ここには部課長会のパーティ券購入に関する規定は無いので内規違反ではないとの見解から「全庁調査は考えていない」という。


しかし、無理があるのではないか。
役所は通常、政策など何かを行う時にはまず関係法令に照らし、基本的な内容が実施要綱により定められ、具体的には実施要領、さらに補足するものとして事務連絡が発出され、これらを一体的に運用して取り進められる。

今回のケースを当てはめると1995年の文書が「内規」としても、その具体的な運用は翌1996年に発出された〝改善プログラム〟であると考えるのが普通であり、実際、この問題についても現場はそのように動いていた。

そして何より公務員は全体の奉仕者であり、公平公正でなければならないという基本からも例え私費で運営する部課長会でも特定の政治家のパーティへ券を購入するのは適切さを欠いている。


「内規」なのか「方針」なのかは全庁調査が必要かどうかの拠り所ではない。
「止めよう」と決めた事を「再びやっていた」のである。
鈴木知事は早くこの問題を終わらせようとするのではなく、不祥事の再発防止のためにも全庁調査を行って道民に経緯を説明し、職員には意識の再徹底を図って欲しいものだ。