2020年2月11日にWHOが新型コロナウイルスの名称を「covid-19」に決定した。
Corona、Virus、Disease(病気)、見つかったのが2019年。
何故かマスコミ報道では殆ど使われない。“新型”がやはり目新しさがあるからだろうか。しかし、ウイルスと人間の付き合いは古い。
いつもステイホームの暮らしだが、学生時代を思い出しつつ、いくつかの書き物を読んでみた。
ウイルスがいたから人類は進化したのではないか、という仮説が興味深かった。ウイルスは遺伝子を持っているが自分でタンパク質を造れない。そこが〝生物でない〟所以だ。
なので人間などの宿主の細胞に侵入し、リボソームの力を借りてタンパク質を造る。つまり増殖する。その過程でどうやら宿主の遺伝子を獲得し、やがて別の宿主に持ち込む。
生物界とウイルス界では、そうしたことが〝水平的に〟繰り返されて宿主は本来持っていなかった遺伝子をウイルスを経由して獲得し、進化してきたというわけだ。因みに親子は“縦”の遺伝子移動になる。
ヒトのゲノムのおそらく3割はウイルス由来の遺伝子があるらしく、ある種の大型のウイルスには使われていないが本来持っていないリボソームを獲得したものが確認されているという。
こうして考えると、“ウイルスと戦う”という言葉が個人的にはしっくりこない。人間(宿主)とウイルスは共生し、いわばパートナーとも思えるからだ。
ウイルスは増殖し過ぎると宿主を殺してしまい自分も困る。そこの間合いのようなものがあるらしい。衝撃だった仮説は、「食べ物も環境も満ち足りているとその生物は増殖を続け、やがて生存競争により絶滅する憂き目に遭うが、ウイルスに感染することにより個体数が適当に保たれ、今日まで進化してきたのではないか。」というものだ。
このことは「covid-19」を若年層に症状が出にくく、高齢者が重症化するということに直ちに結びつけるほど単純なものではないとは思うが、人間にどのような作用を及ぼしたかはこの先数万年というスパンで考えることらしい。
さし当たって、感染拡大を抑えなくてはならない。経済を回さなくてはならない。高齢者を守らなくてはならない。
ウイルスの撲滅は無理なことは皆分かっている。何も「新しい生活様式」などと力まなくても、個々人の手洗い、マスク、顔を触らないで感染はかなり抑えられるという説に賛成である。