徒然日誌(旧:1日1コラ)

1日1枚画像を作成して投稿するつもりのブログ、改め、一日一つの雑学を報告するつもりのブログ。

理の月、旧世と懐古の町にて 7

2019-12-16 17:55:03 | 小説








 本文詳細↓



 ……蒼い月の、銀の庭。あなたは大いなる旧き者。
 ……誰もその名を呼ばないわ。だって私たちは小さな人形箱(ドールハウス)の住人だもの。
 ……旧き者を知るのは旧き者。私たちは知らないわ。
 ……開かずの錠に結ぶ金の鍵。それはあなたを呼ぶ名がなるのでしょう。
 ……教えてあげよう、教えてあげる。
 ……嫌われた森の奥深く、薔薇姫のもとを訪ねなさい。
 ……今はもう昔の無邪気な悪戯姫のところへと。

 煙にまかれたような奇妙な余韻を残して、エアリエルたちは去っていった。
 「まあそう容易くは教えてくれぬわな。とにもかくにも、嫌われた森にいる薔薇姫とやらのところへ行くしかあるまい」
 「そうだな。けど、薔薇姫ってことは、やっぱり例の呪いと関係があるのかな」
 「さあの。まあ罹るのは女子(おなご)だけと言うし、おぬしは大丈夫であろう」
 それからいろいろ聞いて回って、嫌われた森が東に広がる小高い山のことだと分かった。
 「どうして嫌われた森なんて呼ばれるんですか?」
 大工仕事をしていた人間の男性に尋ねてみると、
 「毒の沼があるとか鳥に化けた悪霊に仲間が攫われるとか、昔から曰くがあってエルフも近づかねえのさ」


コメント
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